【大学受験2024】「夏を制する者は受験を制す」合格者が語る夏休みの過ごし方…国公立大学1年生編

 夏休みは受験生にとっての天王山。夏休みの過ごし方が合否を左右するとも言われる。そんな重要な夏休みを、難関国公立大学に合格した人たちはどのように過ごしたのか。駿台で学び、第1志望の東大・一橋大・横浜市立大医学部に今年の春合格した1年生3人に話を聞いた。

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【大学受験2024】「夏を制する者は受験を制す」合格者が語る夏休みの過ごし方…国公立大学1年生編
  • 【大学受験2024】「夏を制する者は受験を制す」合格者が語る夏休みの過ごし方…国公立大学1年生編
  • オンライン取材のようす。大沼さん(上段左)、榮前田さん(上段左)、長友さん(下段)
  • 榮前田さんの2022年7月の1週間のスケジュール
  • 榮前田さんの学校のある日、講習のある日、講習のない日のスケジュール
  • 長友さんの2022年8月の1週間のスケジュール
  • 受験生にエールを送ってくれた長友さん(左)、大沼さん(右上段)、榮前田さん(右下段)

 夏休みは受験生にとっての天王山。夏休みの過ごし方が合否を左右するとも言われる。

 そんな重要な夏休みを、難関国公立大学に合格した人たちはどのように過ごしたのか。駿台で学び、第1志望の東京大学・一橋大学・横浜市立大学医学部に今年の春合格した1年生3人に話を聞いた。

【話を聞いた人】
大沼巧さん:東京大学理科一類1年(新潟県立新潟高校出身・1浪)
長友俊哲さん:一橋大学商学部1年(東京私立海城高校出身・現役)
榮前田結さん:横浜市立大学医学部1年(横浜市立サイエンスフロンティア高校出身・現役)

【目次】
1年前の夏休みに立てた目標は
夏休みはスケジュール管理が肝心
勉強をする場所、息抜きも大切
高1・2年生からやっておきたいこと
夏休みの過ごし方が秋以降の伸びにつながる



1年前の夏休みに立てた目標は

--皆さんは今春、第一志望に合格されていますが、受験生だった昨年の夏休み前は、成績や学習の進み具合など、どんなようすだったのでしょうか。

榮前田さん:私は5月に受けた駿台全国模試でD判定という結果でした。苦手な英語が足を引っ張り、数学は応用問題になると手も足も出ない状態でした。一方で理科は得意科目で、そこそこ得点できていました。学校の授業がとてもわかりやすかったのと、理系に特化した学校で2年生では研究活動にも取り組んだので、自然と高度な知識が身に付いたからかもしれません。とはいえ、夏休み前は過去問は手付かずのまま、志望校対策というよりはまだ満遍なく勉強していて、志望校合格まではだいぶ遠いなという感触でした。

長友さん:僕は、夏休み前は大学別模試(※)は受けていなかったのですが、一般的な記述型の駿台全国模試ではAかB判定が取れていました。一見順調そうに見えるかもしれませんが、実は記述型の模試では英語だけで稼いでいる状況でした。僕は中学校の2年間、親の仕事の都合でインドネシアのインターナショナルスクールに通ったこともあって、英語は得意科目でした。一橋大学商学部を志望したのも、そんな英語力を生かせて留学もできる、グローバルリーダー育成のための「渋沢スカラープログラム」に魅力を感じたからです。一方で、共通テスト型のマーク型模試になると、このころはまったく演習ができておらず、成績はふるいませんでした。国語の古文や社会など勉強不足の科目もあり、「英語だけに頼っていてはまずい」という危機感は強く感じていました。

※大学別模試:特定の難関大学受験者向けに実施される模試。各大学の出題傾向に沿った試験になっている。

大沼さん:僕は1浪で、昨年1年間は新潟から上京し、下宿をしながら駿台お茶の水校に通っていました。高3の夏休み前は、一般的な駿台全国模試だとB判定なのに、大学別模試だとことごとくE判定という惨状で、この差が埋まらないまま本番を迎えてしまいました。昨年は夏休み前に受けた他塾の大学別模試でA判定が出ました。ただし、僕の場合も長友くんと似ていて、このころは得意科目の物理で差を付けている状態でした。理科は現役生が後半にかけて追い上げてくる科目なので、まったく安心できませんでした。数学は安定感、化学はスピードが足りず、万が一得意の物理で崩れてしまったら非常に危ういという状況でした。

オンライン取材のようす。大沼さん(上段左)、榮前田さん(上段左)、長友さん(下段)

--夏休みにはどのような目標を立てたのですか。

榮前田さん:志望校に合格するためには限られた時間を戦略的に使わなければいけない。私の場合は合格ラインまで随分遠いと感じていたので、まずは過去問を解いて傾向をつかもうと、夏休み中に赤本を1周することを目標にしました。さらに苦手な英語については、単語をしっかり覚えることと、自分の苦手分野をきちんと把握すること、応用になると解けない数学は、発展問題に積極的に取り組むことを目標にしました。

長友さん:僕は2学期から実践演習に入れるように、夏休みには1学期までの勉強内容を完全に定着させることを目標にしました。特に数学については、フォーカスゴールドや青チャートといった標準的な問題集を使い、特に不安が残っていた微積分の分野は秋の模試で完答することを目標に、復習を徹底するようにしました。

大沼さん:僕は駿台のクラス担任から、「後期は授業が実践形式になり、難易度が上がってくるので、夏休みが終わるまでには前期の内容をしっかり定着させるべき」というアドバイスを受けました。そこで、僕の場合もやはり夏休みには全科目の基礎固めを目標にし、前期のテキストをこれ以上ないくらい復習することにしました。

夏休みはスケジュール管理が肝心

--夏休みには学校や塾の夏期講習もありますが、皆さんはどんなスケジュールでしたか。

大沼さん:現役時代の夏休みは、週の終わりに翌週1週間分のスケジュールをきっちりと決めていました。でも実際には課題を詰め込み過ぎたうえ、スケジュールどおりに終えられないと負い目を感じてしまい、逆に調子を崩してしまったんです。その反省から、浪人時代には毎日最低限やることを決め、1日6時間くらいで達成できるようなゆるいスケジュールの組み方で、自分に期待しすぎず、気持ちに焦りを感じないようにしました。

榮前田さん:私は夏休みを大きく2つに区切り、前半に講習を詰めて、後半に復習と過去問演習をやることにしました。学校でも夏期講習があったので、駿台と学校と両方で講習を受けるとその日中に復習が追いつかない日もありましたが、夏休みの前半に講習を集中させ、後半でじっくり見直すようにしました。

 私自身、夏休みは割とうまくいったほうだと感じているのですが、それは私も柔軟なスケジュールの組み方をしたからだと思います。私の場合、月曜日は先週できなかったことをやる消化日と決め、手書きのスケジュール帳に書き出したタスクリストの中で、こなし切れなかったものは月曜日にやっていました。また、スケジュール帳には、少しでも時間が余ったときにできたら良いなと思うこともリストにしてメモしておき、隙間時間にこなすようにしました。

榮前田さんの2022年7月の1週間のスケジュール
榮前田さんの学校のある日、講習のある日、講習のない日のスケジュール

長友さん:僕は、駿台を含めて2つの塾と学校とで、勧められるままにいろいろな講習を取ったので、朝は学校、午後は駿台、夜は他塾というハードスケジュールになり、今振り返るとちょっと詰め込みすぎたかなという反省はあります。復習は移動中や講習と講習の合間などの隙間時間にやっていたものの、なかなか十分な時間を確保できませんでした。

 一方で、積み残したものは後でやれば良いと割り切り、目の前の授業に全力でひとつずつ集中したことで内容が定着しやすくなり、結果的には効率良く学習できたような気がします。夏に受講した講座はすべて、秋以降の勉強にとても役立ちました

長友さんの2022年8月の1週間のスケジュール

--夏期講習の取り方へのアドバイスがあれば教えてください。

大沼さん:駿台では夏期講習は1ターム4~5日ずつで区切られているのですが、取る講座は各ターム1コマだけにし、自習の時間を十分確保できるようにしました。特に講習は前後の予習・復習がとても大事です。夏期講習には魅力的な講座がたくさんあるのですが、詰めすぎても中途半端に終わるだけなので、本当に取る必要があるかどうか、自習ではできない内容なのかを見極め、必要なものを絞ることも大事だと思います。

榮前田さん:私も大沼さんと同じく、夏期講習は予習と復習ができて1回の講習だと思っていたので、1ターム1コマまでにとどめました。また、夏休み中に志望校の傾向を掴んでおくことはとても重要だと思うので、志望校の講座があるなら取ることをお勧めします。夏休みは長いようで短く、あっという間です。だからこそ授業中は、どうでも良いことまでメモをするくらいの勢いで集中し、そのノートをもとに授業を自分で説明できるくらいにしておく姿勢も大事かなと思います。

長友さん:僕も、特に現役生は、大学別の対策講座は絶対に取ったほうが良いと思います。駿台の大学別の対策講座では過去問を扱います。特に現役生は過去問をいつ始めれば良いかわからない人が多いと思いますが、夏期講習でひととおり幅広く触れられると、「志望校ではこういうタイプの問題が出るのか」という実感が得られます。

 また、これも榮前田さんの意見と近いかもしれませんが、「講座を取ったらお値段以上の元を取る」というマインドセットが大事だと思います。そうすると自然に授業に集中でき、授業のようすを後から自分で再現しやすくなるんです。僕も授業中はできる限りたくさんメモを取るようにしていましたし、僕自身はそのような授業の受け方が、秋以降から直前期にかけての伸びに繋がった気がします。

夏を制する者は受験を制す
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勉強をする場所、息抜きも大切

--皆さんは夏休みの間、おもにどこで勉強していましたか。

榮前田さん:私は決まった場所はなく、今日は駿台に行く気分じゃないから図書館に行こうとか、たまにマックに行ったりとか、いろいろな場所でやっていました。

大沼さん:僕の場合はずっと駿台の自習室にいましたが、お茶の水にはいくつも建物があって、僕が通っていた3号館だけでも開放型のタイプから個室に近いタイプのものまで自習室が複数あるので、気分を変えたいときは駿台の中で動いていました。

長友さん:僕はあまり家にいる時間がなかったので、塾の自習室かスタバでやっていました。親目線で見ると、周りがザワザワしているカフェで勉強するなんて「本当にはかどるの?!」と思われるかもしれません。僕も親からちゃんと勉強しているのか疑われていましたが(笑)、実際にはものすごく集中できました。

--皆さん意外と色々な場所を移動していたんですね。忙しい夏休み中の息抜きにはどんなことをしていましたか。

榮前田さん:私にとっては学校で友達と話したり、部活に行ってバスケをしたりすることが最高の息抜きでした。夏休みの終わりには文化祭の準備で楽しくなりすぎて、スケジュールが崩れてしまったのが反省点ではあるのですが(笑)。学校、駿台、図書館、家と移動して場所を変えるのも、勉強で教科を変えるのも気分転換になりましたね。

大沼さん:僕は1学期の平日は駿台の授業が朝から夕方までびっしり埋まっていて、土日に予習復習をまとめてやるので休む時間がほとんどありませんでした。

 それに比べて夏は自分でスケジュールが柔軟に組みやすかったので、夏の間こそしっかり休むようにしました。講習と講習の間に授業のない日があると、丸1日何も考えず、何も勉強せず過ごしたら、かえってモチベーションが上がりましたね。

 また、先ほど言ったように夏休みは1日6時間というゆるいスケジュールだった分、調子良く9時間位はかどった日の翌日は少し余裕ができ、長めの散歩に出ることもありました。高校を卒業するまで東京には来たことがなかったので、お茶の水から少し足を伸ばしていろいろなエリアを1人であちこち歩くとリフレッシュでき、気持ち良かったですね。

長友さん:僕は野球が好きで、自分が好きなチームの速報を見ては一喜一憂するのがいちばんの息抜きでした。また、学校の有志で、高3の3月にハーフマラソンを走るというプロジェクトがあり、忙しい合間を縫って友達と朝早く学校に行って走ったりもしていました。夏休みはタイトなスケジュールだった分、移動時間などに好きな音楽を聴くことも多かったですね。僕らはロボットじゃないので、勉強するだけなんてそもそも無理ですから、息抜きはとても大事だと思います。

--受験生時代を振り返って、親御さんに感謝していることはありますか。

榮前田さん:真っ先に言いたいのは「ご飯を作ってくれてありがとう」いうこと。また、うちは両親とも勉強には口出しせず、私がやりたいようにやらせてくれたこともありがたかったです。医学部受験は、もし私立に行くことになれば学費が高く、奨学金を借りる必要もあったのですが、それでも私が行きたいなら応援すると私の意志を最後まで尊重してくれました。

長友さん:僕も榮前田さんと同じく、お弁当を含め、掃除や洗濯など食事や身の回りの世話をしてくれたことについては本当に感謝しています。そして、ここで全国の受験生を代表してお伝えしたいのは、「親が思っている以上に子供はちゃんと頑張っているので、口出ししないであげてほしい」ということです。カフェでも勉強ははかどるので(笑)、どうかお子さんのことを信頼し、応援してあげてください。

大沼さん:僕の場合は東京で1年間浪人させてくれたことです。浪人は伸びないと言われているけれど、僕は駿台での1年間ですごく伸びました。実は現役のとき、慶應義塾大学の理工学部に合格していたのですが、「そこに行くかもう1年頑張るかは自分で決めたら良い」と、親は何も言わなかったんです。それに、新潟にもっと安く通える予備校があったのに、「同じ高校の知り合いがたくさんいて環境がまったく変わらないから」という勝手な理由でも東京に行かせてくれて、金銭面で1年間支え続けてくれたことには頭が上がりません。東京に1人で浪人しに行くって、親も結構不安だったんじゃないかと思うのですが、何も干渉せず自由にやらせてくれたおかげで、とても心地良く勉強に集中できました。

高1・2年生からやっておきたいこと

--受験までに時間のある高1・2年生に向けて伝えたいことはありますか。

大沼さん:毎日少しずつでも良いので、勉強する習慣をつけておきましょう。そして、まだ時間のある高1・2のうちに、自分にどんな勉強法が合っているのかを知っておくと良いでしょう。学校の授業をベースにやるのか、あるいは自習で先取りをするのか。また、参考書や問題集はどんなタイプのものが自分には理解しやすいかなど、ある程度「量」をこなしながら効率的な勉強の仕方を模索しておくと、受験学年で「質」の高い勉強ができるようになると思います。

榮前田さん:高1・2の間は部活や学校行事で忙しいとは思いますが、忙しい中でも時間をやりくりして勉強を続けてください。特に英語と数学はやっておいて損はないですし、私のように英語で苦労しないよう、単語でも毎日少しずつ努力しましょう。また、現役生は理科が弱いと言われるので、自主的に予習を進めておくと良いと思います。

長友さん:僕も高1・2のうちに英語と数学はしっかりやっておくと、高3になった時のアドバンテージになると思います。でも一方で、高校生のその時にしかできないことを楽しんでほしいですね。僕の学年は高校の3年間、コロナ禍でさまざまな制限があって、高校生らしいイベントがあまりできなかったので、皆さんには一生に一度しかない貴重な高校生活を目一杯満喫してほしいです。

中3~高2生対象
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夏休みの過ごし方が秋以降の伸びにつながる

--夏休みを目前にした受験生に向けて、アドバイスをお願いします。

大沼さん:浪人生も含めて、まずはしっかりと毎日勉強する習慣を付けること。息抜きと言いながらずるずると休んでしまいがちなので、休むと決めたら全力で休み、メリハリを付けることが大切です。また、僕のような公立高校にいる現役生は、都市部の中高一貫校に比べて進度が遅いかもしれませんが、秋以降、2次試験の実践演習が始められるよう、夏休み中に自主的に進んで基礎を固めてください

榮前田さん:受験本番までにまとまった時間が取れるのは、実は夏休みだけです。冬休みは共通テスト対策に追われ、そのまま入試本番に突入します。夏休みこそ、しっかりこれまでの復習に取り組みましょう。私がお勧めしたいのは、夏休みの間に自分の限界を知るために死ぬ気で勉強してみることです。体調を崩して良いのは夏休みまでなので、私の場合は1週間くらい1日15時間勉強を続けてみました。さすがに辛かったですが、それ以降は毎日12時間くらい勉強しても平気になりました。一度自分の限界を知ると、どれくらいの時間が効率良く勉強できるかが体感でわかるので、興味があれば試してみてください。

「夏休みの過ごし方が今後の伸びにつながることを信じて、頑張ってほしい」とエールをいただいた

長沼さん:夏休みに頑張った成果は、すぐには現れないかもしれません。けれど、先輩や周りの友達を見る限り、夏休みの頑張りは間違いなく合格につながると思います。夏休みはあっという間ですが、夏休みの過ごし方が今後の伸びにつながることを信じて、頑張ってほしいです。

--ありがとうございました。


 3人とも、それぞれの特性に合った過ごし方をしていたようすが伺えた。そして、夏休みは秋以降の実践演習に備えて地道に基礎の復習を徹底し、オンとオフ、集中と息抜きを上手に切り替えながら、効率良く学習を進めていたことが印象的だった。先輩たちの体験を参考に、勉強法やスケジュールなど、自分に合ったスタイルを見つけて、悔いのない夏休みを過ごしてほしい。

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《加藤紀子》

加藤紀子

京都市出まれ。東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、経済産業省『未来の教室』など、教育分野を中心に様々なメディアで取材・執筆。初の自著『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)は17万部のベストセラーに。現在はリセマムで編集長を務める。

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