東大生のタブレット勉強法3選…「勉強した気になった」で終わらない賢い使い方

 GIGAスクール構想により、小中学校の生徒は1人1台のタブレット端末を持つようになった。生徒用モバイルICT端末を導入している高校は88.6%にのぼり、かなり浸透してきていることがわかっている。東大生に聞いた、タブレット端末を活用した効率的な勉強方法とは。

教育・受験 小学生
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  • 西岡壱誠 著「いっせー先生と学ぶ 中学社会のきほん」(文英堂)より
  • 手書き文字をOCRスキャンすれば、文字化されて検索ができるようになる

 GIGAスクール構想により、小中学校の生徒は1人1台のタブレット端末を持つようになった。生徒用モバイルICT端末を導入している高校は88.6%*にのぼり、浸透してきていることがわかっている。*「全国の高等学校におけるICT活用実態調査」(旺文社)2023年2月28日発表の調査結果より

 この影響からか、筆者(全国で教育支援事業を行っている 東大生集団 カルペ・ディエム代表 西岡壱誠)が学校現場に行くと、生徒がタブレットで情報を検索したり、オンラインで授業資料を配布したり、タブレットでノートを取っている、といった光景も珍しいものではなくなっているように感じる。

 今や、生徒が学校でタブレットを使って学習することは当たり前になっているのだ。しかし、そんな便利なツールではあるものの、使い方を間違えるとただの「遊び」のためのツールになってしまう危険性がある。

 学校現場に行って学校の先生から直接話を聞くと、YouTubeで動画を観たり、ゲームをしたりすることにしか使わないということもあれば、黒板を書き写さずに写真を撮るだけで「勉強した」気になってしまう生徒も多くなってしまっているのが実情だという。

 そんな中で、東大生たちの多くは、タブレット端末をうまく扱うことで東大受験を突破している。タブレット端末で自分の学習を効率化して、勉強の質を上げ、受験を突破しているのだ。今回は、東大生たちがどのようにタブレット端末を使って勉強をしているのか、タブレット端末をうまく使った勉強法について、3つの方法を紹介する。

東大生のタブレット勉強法3選

1.穴埋め問題を作る勉強法

 1つ目は、穴埋め問題を作る勉強法だ。この勉強法は非常にシンプルだ。

 黒板の画像や教科書やノートのページを写真に取り、その中で重要な単語や次のテストで出題されそうな箇所を黒で塗り潰す。こうすれば、普通の黒板・教科書の1ページが穴埋め問題へと早変わりするというわけだ。

 そうして保存した画像を見て、「穴埋め問題」という形で解いてみるのである。

 そして、その問題で答えられなかったものには「★」「○」などの印をつけておき、「覚えられていないものだから復習しなければならない」ということで、保存しておくのだ。

 ただ授業を聞いているだけの状態や、本を読んで理解した気になって終わってしまうだけでは、覚えられる事はなかなかないだろう。だが、このようにしてタブレットを活用して問題をとく習慣をつけておくと、記憶にも残りやすいというわけだ。

 定期テストの勉強にも最適だ。多くの場合、授業を題材にして学校の定期テストは作られるわけだが、その多くの問題で穴埋め問題が出題される。理科や社会などでは特に、穴埋め問題ばかりのテストも少なくない。そんな中で、穴埋め問題を作って対策する習慣があれば、テストでも同じように問題が解けるようになる、というわけだ。

黒板の画像や教科書やノートのページを写真に撮り、重要な単語や次のテストで出題されそうな箇所を塗り潰せば、自作の穴埋め問題へと早変わり/西岡壱誠 著「いっせー先生と学ぶ 中学社会のきほん」(文英堂)より

 また、東大生の中には、授業後の10分休みの間に、黒板の画像を使って穴埋め問題を解くという訓練をしていた人がいた。毎回の10分休みですぐに復習することで、記憶の定着を図っていたのである。このようにして瞬時に問題を作成・復習をするフローが身に付いていれば、たしかに成績も上がるだろう。

 注目したいのは、こうした瞬間的な復習方法を可能にするには、タブレットを活用しないと難しいということだ。紙ではここまですぐには実践できないだろう。このように短期間で効率的に復習することができるという点で、この方法は有用だ。

 また、もうひとつタブレット学習ならではと言えるポイントがある。

 それは、何度も繰り返し実践できるということだ。教科書の練習問題で穴埋め問題があったとして、1回やっただけでは身に付かないことが多い。そうなると何度かやりたいところだが、そのために1からノートを作っていると確認するのも面倒くさくなってしまう。ノートの冊数も増えてしまい、管理も大変になってしまう。

 しかし、画像やノートアプリなら、スキャンしたデータをコピーして、書き込みをすべて消去すれば元通りまっさらな状態で問題のとき直しが可能になる。2回目を解くときに授業で聴いたことをきちんと覚えているかどうか、振り返りながら問題を解くことができるようになるわけだ。タブレット学習は、復習と相性が良いと言える。

2.できなかった問題まとめ画像フォルダ

 「1」に関連して、穴埋め問題を作って解けなかった問題を画像としてまとめて、「できなかった問題まとめ画像フォルダ」を作っておく東大生もいた。

 穴埋め問題の中で、自分が解けないもの、自分の弱点となるような問題をまとめておくことで、効率的な復習ができるというわけだ。

 また、同じような方法で、小テストや模試の問題の中で、自分が苦戦したもの・できなかったものをまとめておくという方法も有効だと言えるだろう。ちょっとした間違いや、あとで復習したい問題などを写真で撮っておくようにする。そしてあとでまとめて復習する、というわけだ。

 すべての問題を復習する事は、現実的に考えて時間がかかってしまってうまくはいかないだろう。だからこそ、このようにできなかったものだけをフォルダ化しておくことには、大きな意味があると言えそうだ。

 さて、もう少し具体的に東大生の実践していた手法を紹介しよう1日の終わりに毎日このファイルを30分確認し、その中から「この問題は、もう復習しなくても良いだろう」というものは削除し、それ以外のものはそのまま保存。次の日にも同じように復習をするときまで残しておくようにする、というものだ。こうすることで、毎日のように自分の弱点と重点的に向き合うことができるようになるというわけだ。

 ここまでの手法は多くの東大生が実践していた方法だったが、その中でも文系の東大生がユニークなやり方をしていた。それは、「7回復習」というものだった。画像を削除するタイミングを、「7回見たら消す」というルールで対応するというのだ。

 彼曰く、「自分の場合、毎晩復習していたので、1週間復習すれば、7回復習したことになりました。そして、7回も復習したら、覚えられている場合が多かったんですよね。自分は優柔不断なので、そうやって消すタイミングを設けておかないと、どんどん復習しなければならないものが増えてきてしまって、復習の時間が嵩んでしまったんですよね。だから、7回復習で終わり、というルールを思い切って作ったんです。面白いもので、8回以上は見ないと決めるから、7回目で覚えなければならない、という意識が生まれたんです。そのおかげで、うまく暗記できるようになったんですよね」とのこと。

 たしかに、一定のルールがあったほうが効率的になると言えるので、彼の方法は有効なものだと言えそうだ。

3.OCRで、手書き文字を検索できるように

 また、東大生が活用していた機能の1つに、「OCR処理」というものがあった。OCR処理とは、スキャンした画像の中にあるテキストを、デジタルな文字データへと変換するという技術であり、これを使って自分の書いた文字をデータに変換しているのだ。

 OCRスキャンのアプリを使い、先ほどの例と同じように、ノートや黒板の写真を撮る。

 こうすることで、手書きした文字が認識されて、検索ができるようにしてくれるのだ。

 この画像でいえば、「go abroad」と検索すると、このようにノートのどこに「go abroad」と書いていたのかを教えてくれるというわけである。

手書き文字をOCRスキャンすれば、文字化されて検索ができるようになる

 たとえば英語の勉強をしているときに「あれ? この表現どこかで見たような気がする。でも、思い出せない!」となった経験がある方もいるだろう。せっかく思い出せたのに、ちゃんと復習できない状態でスルーしてしまうのはとてももったいないと言える。そういうときにこそ、この検索が役に立つ。今までのノートの中で、いつどこで自分がメモをしていたのか、同じような表現をどこで使っていたのか、検索をかけることでメモしていたものが検索結果で表示されるわけだ。これで、いつ、どのタイミングで、どの例文で見た表現なのか復習できるようになり、復習の効率がとても上がると言える。 

 また、副次的な効果として期待できるのが、「ノートをていねいに書こう」という意識が生まれるというポイントだ。当たり前の話ではあるのだが、ノートの字があまりにも汚ければ、文字として認識してもらえない場合や、違う文字として認識されてしまうことがある。だからこそ、自分の書いた文字が、しっかりと文字として認識してもらえるように書かなければ、という意識が生まれて、字をていねいに書こうとする努力もするようになるのだ。こうした努力が、入試でのケアレスミスの防止や試験官への心象の向上に繋がる可能性があり、大きな効果があると言えるだろう。

 いかがだっただろうか。「復習」という分野において、タブレット学習の効果は大きいと言えるだろう。ぜひ、参考にしてみてもらえればと思う。

《西岡壱誠(カルペ・ディエム)》

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