「水と大地とエネルギーと人のつながり」から持続可能な社会を考える…J-POWERエコ×エネ体験ツアー水力編@奥只見 学生ツアー

 J-POWER(電源開発)が主催する「エコ×エネ体験ツアー水力編@奥只見 学生ツアー」は自然とエネルギーのつながりについて「見て×触れて×考えて」楽しみながら学ぶプログラム。全国から集まった27名の学生たちの3日間をレポートする。

教育・受験 大学生
PR
J-POWERエコ×エネ体験ツアー水力編@奥只見 学生ツアー(2023年8月29日~31日)
  • J-POWERエコ×エネ体験ツアー水力編@奥只見 学生ツアー(2023年8月29日~31日)
  •  学生たちはJR浦佐駅でスタッフに迎えられ、バスで奥只見へ
  • バスの中では奥只見ダム建設時に作られた道路「シルバーライン」などに関するクイズが行われ、学生たちの緊張も一気にほどけた
  • バスの中では奥只見ダム建設時に作られた道路「シルバーライン」に関するクイズが行われ、学生たちの緊張も一気にほどけた
  • 銀山平を愛した開高健が好んだ“開高めし”を食べた後は観光船で奥只見ダム・発電所へ向かう
  • 自分のことを紹介し、お互いを徐々に理解していく学生たち
  • 天候がとても良く、奥只見湖からダムを観察する貴重な機会となった
  • 降船後に向かう天端が見えた

 J-POWER(電源開発)が社会貢献活動の一環として取り組むエコ×エネ体験ツアーは、コロナ禍でのオンライン開催を経て今年から対面ツアーを再開した。「エコ×エネ体験ツアー水力編@奥只見 学生ツアー(2023年8月29日~31日)」は、高専生、大学生、大学院生を対象に、J-POWERの社員と環境教育の専門家らが協働で、自然とエネルギーについて「見て×触れて×考えて」楽しみながら学ぶ体験学習プログラム。奥只見ダム・発電所、銀山平の森、宿泊地のネイチャーカレッジ緑の学園など新潟県魚沼市周辺を舞台に、暮らしを支える自然とエネルギーを知り、そのつながりに気付くことを目的としている。

 環境問題や社会課題にひとりひとりが興味・関心をもち、真剣に考える時間と仲間を求め全国から集まった学生たちの3日間をレポートする。

学生27名が自然とエネルギーのつながりを体験

 学校や学部・専攻が異なる多様な学生たち27名が全国から集まった。また今回は開催以来初めて、日本で学ぶ留学生2名が参加した。ツアー中は学生もスタッフも全員、自身が名付けたキャンプネームが書かれた名札をかけ、互いに呼び合った。文中はキャンプネームのままで紹介する。

参加者27名のキャンプネーム

 いのくん、よっきー、はるみち、さっちゃん、ひより、アリ、よっちゃん、かじ、ダニエル、せいじゅ、まっきー、なんけ、しおり、あると、ばっきー、びっきー、はなちゃん、あおい、はるか、わいわい、はるっぴ、こばりん、たくと、ましま、キリマンジャロ、なる、むた


【目次】
1日目:奥只見ダムと発電所見学~エネルギーと環境、社会課題を考える
2日目:銀山平ブナの森探索~森と電気のつながりを知る実験教室~3つの講義「環境教育概論」「エコパーク概論」「行動化に向けた取り組みのヒント」~ナイトハイク
3日目:朝の散歩「エコパーク」散策~行動化へのディスカッション「エコとエネの共生する社会を実現するには」~「私たちのエコ×エネ宣言」

1日目:奥只見ダムと発電所でエネルギーを知る

 学生たちはJR浦佐駅でスタッフに迎えられ、バスで奥只見へ向かう。J-POWERの多比良氏(キャンプネーム:シゲさん)による開会のあいさつでツアーが始まった。

 ツアーの進行は山梨県北杜市清里で自然体験や環境教育を展開するキープ協会の小野氏(キャンプネーム:おのの)が務めた。「おのの」の呼びかけに学生たちは元気いっぱい。バスの中では奥只見ダム建設時に作られた道路「シルバーライン」などに関するクイズが行われ、学生たちの緊張も一気にほどけた。

銀山平を愛した開高健が好んだ“開高めし”を食べた後は遊覧船で奥只見ダム・発電所へ向かう

 銀山平キャンプ場管理棟での昼食は、小説家の開高健が好んだ“開高めし”。食後は清々しい空気の中、銀山平船着場に徒歩で移動した。

 銀山平船着場から遊覧船に乗って奥只見湖をわたり、奥只見ダム・発電所へ向かう。乗船前に学生たちは、キャンプネーム、今夢中になっているもの、自分のエネルギーの元になるもの、このツアーで得たいものなどをペアになって紹介しあった。

自分のことを紹介し、お互いを徐々に理解していく学生たち

壮観な奥只見ダムと発電所を見学

 いよいよ奥只見ダムと発電所の見学へ。奥只見ダムは重力式コンクリートダムで長さが480m、高さは157mと日本最大級。ダム湖にある大量の水の落差を生かして電気をつくるため、地下深くに発電所がある。

天候がとても良く、奥只見湖からダムを観察する貴重な機会となった
降船後に向かう天端が見えた
見学前に小出電力所の川内所長の挨拶。ダム内部に入る前にペアで安全を確認

 ダムの頂上である天端(てんば)から奥只見湖(ダム湖)を観察。ダムの大きさなどの説明に加え、湖面に浮かぶ流木がチップや木炭に再利用されることなどが解説された。その後、ダム内部をエレベーターで降下。ダムは水と接しているためダム内の連絡通路の空気や側溝に流れる水は冷たかった。内部の温度は1年を通じて一定という。J-POWERグループの元社員で工学博士の髙倉氏(キャンプネーム:ドクター)による水力発電の仕組みを理解する実験も体験した。

薄暗い通路を歩いてさらに深くにある発電所に向かう。ダムの底の冷たさを肌で感じたほか、水力発電実験も行った
搬入口から外に出て奥只見ダムを見上げると、その大きさに圧倒される

 発電機室に着くと、模型で発電の仕組みが解説された。学生たちは大きく重い水車を回転させるために大量の水の力が必要であることを理解した。また、発電機は当初1~3号機が設置されたが、電力の需要ピークの増大に対応するため4号機を増設したことも解説された。

運転中の発電機に手を当てると振動を感じることができた
ダムに風があたって上昇気流が発生。枯葉を落とすと一気に舞い上がる
天端の上で福島県と新潟県の県境をジャンプ!
「奥只見電力館」では、奥只見ダムが建設された当時の貴重な映像を視聴。学生たちは厳しい自然の中でダムが建設されたことを知った
夕食には地元の山の幸が並んだ。越後もち豚とコシヒカリがとてもおいしい

自分事としてエネルギーと環境、社会課題を考える

 夕食後、「シゲさん」の講義「エネルギーと環境・社会問題について考える」では、「気候変動問題への対応からは今後、さらなる再生可能エネルギーの拡大が求められるが、発電方法はそれぞれに一長一短がある。また、エネルギーの問題は社会課題とも密接に関連する」と話があった。その後、J-POWERがカーボンニュートラルと水素社会の実現に向けて取り組む「J-POWER “BLUE MISSION 2050”」を事例とともに紹介。「シゲさん」は持続可能な社会を実現するために、まず社会課題に関心をもち、自分事として捉え、利他の精神を忘れずに行動することが大切だと伝えた。

夕食後は自己紹介に続いて「シゲさん」の講義「エネルギーと環境・社会問題について考える」
1日目の振り返り後は交流会。学生たちの笑い声が絶えなかった

1日目終了後のインタビュー

「コミュニティデザインに生かしたい」ましまさん
 コミュニティデザインを学んでいます。家庭からのCO2排出を減らしたいが、そのために太陽光パネル設置することは経済的負担が大きいとの問題意識があり、何か解決のためのヒントがないかと参加しました。ダムの大きさに感動したり、初めて会った人たちと交流したりした経験をこれからの学びに生かしていきたいです。


「いろいろな視点をもつ人との交流に期待」こばりんさん
 
いろいろな視点をもつ人や他の専門家と交流すれば新たな視点が得られると思い参加しました。機械専攻なのですが、発電所見学では、これまで机上で勉強してきた内容と実物がつながり、モチベーションが高まりました。ドローンを平和に使うという目標に向けて頑張ります。


2日目:「森の体験プログラム」ブナの森で癒される

 2日目は朝食後に銀山平の森へ向かう。ブナの森の中で自然とエネルギーのつながりを体感するプログラムだ。

朝食をしっかりとって、森の散策前に準備体操
森の入り口にある尾瀬三郎の像。多いときは像の首あたりまで雪が積もるという
自分で集めた葉っぱを使って、葉の大きさや形、匂いなどを比べて勝敗を決める「葉っぱっぱじゃんけん」

 さまざまな生き物のすみかやどんな植物がいるかを確認しながら、さらにブナの森の奥に進む。目的地に到着すると深呼吸。音や風、匂いなど、豊かな自然を五感で感じる。

ブナの森。自然の豊かさに心から癒される
雪の重みで幹が曲がったブナの木に寝転がり、しばし休息
学生たちが「今」感じていることを一文字で表現した「一筆入魂」。造語や感情を表した絵も

「ドクター」による「森と電気のつながりを知る実験教室」

 自然を全身で感じた後は、「ドクター」による「森と電気のつながりを知る実験教室」。森に住む多くの生き物や水がフワフワの柔らかい土をつくる。その森の土とグラウンドなどの固い土をそれぞれ紙で模したものを用いて、水の染み込みやすさや空気の通りやすさを比較。森の土の方が水の染み込みや空気の通りが良く、植物の成長に適した量の水も保持されることがわかった。この森の土に染み込んだ水が地下水となってダム湖に溜められ発電に利用される。

森と電気のつながりを体感
昼食前に学生は尾瀬三郎の寸劇を即興で披露。今いる場所の歴史を感じながら食事を楽しんだ

エコとエネを体験した2日間の振り返り

 緑の学園の教室棟に戻り、これまでの2日間を振り返る。各自これまでのプログラムを振り返り感じたことを踏まえ、どんな社会をつくりたいかを考え、グループディスカッションへと移行した。

グループディスカッションでこれまでを振り返り、学生ひとりひとりが自分の考えを整理していく

 ディスカッションの次は、今までの体験から気付いた課題をいかに自分事として捉え、行動につなげていくかを考える座学の時間。次の3つの講義が行われ、学生たちは真剣に聞き入っていた。

体験から行動化へ。「ラビット」による「環境教育概論」

 キープ協会の関根氏(キャンプネーム:ラビット)はまず“体験”の本質的な意味や大切さを伝えた。また、環境教育の“環境”の定義は扱う範囲が広く、社会で起こる問題は多岐にわたることを指摘。そこで「ラビット」は環境教育を「関係教育」と言い換え、社会で起こる問題は関係性が切れる状態だとした。そしてもっとも恐れるべき「無関心」を防ぐために、環境教育を通じて全世代に「感受性・想像力・複眼的思考」を養うことが重要であると説いた一方、負の側面から見たネガティブな情報が社会や自然嫌いにつながり、かえって無関心を生むといった反作用もあると紹介した。それらを踏まえ、“行動化”に向けては物事を複眼的に考え、自分の領域を広げることが大事であると結んだ。

環境教育は「関係教育」。ユーモアをまじえて話す「ラビット」

自然環境と人間の共生とは。「シゲさん」による「エコパーク概論」

 奥只見の湿地には希少な生物が生息していた。2003年の4号機増設工事の際にイヌワシの繁殖に影響を与えないよう騒音などに配慮したほか、希少種の保護と植生の維持を目的に、時間をかけて工事残土の埋立地に湿地を移植し、人工的に「エコパーク」として復元した。当初は難しいと言われていた生態系の移植がかない、今も自然環境との共生を図っている。この「エコパーク」には翌日朝の散歩で訪れた。

「エコパーク」がどのようにしてつくられたのかを「シゲさん」が解説

「ドクター」による講義「行動化に向けた取り組みのヒント」

 「ドクター」からはまず、インドネシアのスラバヤをはじめとする自身の開発途上国の廃棄物管理改善の事例が紹介された。生ゴミを堆肥にする「髙倉式コンポスト(Takakura Composting Method)」で地域環境の改善に向け、「ドクター」自身がコミュニティの中に入って、現地の人を巻き込んだことで、緑豊かな町並みが実現したという。学生に向けては、大学は自らが探求力と創造力を磨く場であることを伝えたうえで、キャリア形成には専門性の近い領域を起点として、いろいろな知見を獲得して埋めていくという考え方を紹介。最後に「知識は実行してこそ価値がある。ただし知識は行動の基盤であることを認識しておかなければならない」という言葉を贈った。

「ドクター」は「行動化」に向けて実践的なメッセージを贈った

明かりのない世界を体験した「ナイトハイク」

 夕食後は、暗闇の中でさまざまな植物のようすを観察、生き物の音にも耳をすませる「ナイトハイク」。各自がアスファルトの上にシートを敷いて横になって夜空を見上げる。大きな自然に包まれながら、自分自身を振り返る有意義な時間になった。

明かりのない中、寝転がって星空を見上げた感想を伝えあった
交流会ではコロナ禍ではなかなかできなかった、学生同士やスタッフとのコミュニケーションを存分に楽しんだ

2日目終了後インタビュー

「対面ツアーを心待ちにしていた」あるとさん
 オンラインで火力編と水力編に参加し、やっと対面ツアーに参加できました。ダム・発電所見学、ナイトハイク、いずれのプログラムもやはり対面が良いなと実感しました。学生同士のディスカッションにも刺激をもらいました。何に対しても意見をもって、無関心ではない姿勢をもち続けたいです。


「多様性を実感できて自分を解放できた」あおいさん
 初めて参加しました。最初のバスの中のクイズで大きい声を出して良いんだと感じ、本当に自分を解放できました。ダム湖の大きさ、ダム湖と発電所が作られた過程を実際に見て学び、その技術力に驚きました。皆との交流から感じた多様性の大切さを今後の学生生活に生かしたいです。


3日目:エコパーク散策から行動化宣言へ

 朝の散歩では、ダム建設後に希少生物の保護や植生の維持を目的として生まれた「エコパーク」に向かう。清々しい空気の中、ナイトハイクで見聞きした動植物の変化を確かめながら、水草や希少な生き物がいる自然豊かな池へと進んでいった。

早朝の澄んだ空気を吸い込み、「エコパーク」をゆっくりと探索する

 今はエコパークには陸地化が進む池もあり、そのまま自然に任せるのか、池を整備するのか、「解決策に正解はない」と「ドクター」は学生たちに伝えた。自然環境をどう残していくかという問いを、各自もち帰ったのではないだろうか。

行動化へのディスカッション「エコとエネの共生する社会を実現するには」

 3日間の振り返りとして、目指すべき持続可能な社会を「〇〇社会」と自分の言葉で言い換え、ひとりひとりが教室内を巡りながら1対1でその考えを共有。さらに考えがあう人同士が集まり、6つのグループに分かれた。

考えがあう人同士に分かれ6グループに。床に座り込みプレゼンテーションポスターを作る

 「持続可能な社会」の実現に向けて、どう行動していくかをグループでディスカッションし、プレゼンテーションポスターを作成。各グループの発表はさまざまで、それを受け、皆が自分自身に新たな問いかけをしているようだった。

「開発って必要?」(メンバー:むた、なる、はるか、いのくん、まっきー、あると)

 寸劇で笑いを誘いながら、弱いものから搾取する資本主義の問題点を指摘。その解決には意識→知識→行動といったアプローチが必要だとした。

「500年後の人類が幸福であること」(メンバー:かじ、こばりん、せいじゅ、よっきー、はるみち、はるっぴ)

 500年後を目標として「教育による次世代の環境ネイティブの育成」が必要と結論付け、身近でできるエコとエネの意識改革を合コンの設定によるショートコントで面白おかしく表現した。

「未来社会」(メンバー:アリ、しおり、なんけ、わいわい)

 変わり続ける未来にするためには、まず「学び・考え続けること」。専門分野を極め、自分の考えをもつ。次に「伝えること」。相手にあわせてわかりやすく、興味をもってもらい、他分野とつながることもあげた。

「作品(発生した問題を解決できる社会基盤)をつくる」(メンバー:さっちゃん、はなちゃん、びっきー、ひより)

 人類は持続可能な社会という“作品”を作り続ける途上であり、自分の周辺に関心を向け、理解し認めあい、問題意識を共有して自分事として行動するプロセスを示した。自分事とするための具体的行動プロセスとして、情報収集やネガティブ思考からポジティブ思考への転換とその習慣化、背景知識・専門性を高める努力、利他的精神の涵養などが大切であると述べた。

「MONO」(メンバー:あおい、キリマンジャロ、ましま)

 「物=MONO」をコンセプトに循環社会の実現を目指すとした。エコ×エネ体験ツアーのシステムを生かしてSNSで種をまき、学びが森になって考え方を広げる、というもの。個々の具体的な取り組みとしては地元の物販などで接点をもつことなどがあげられた。

「自然と人の価値観」(よっちゃん、たくと、ダニエル、ばっきー)

 自然と人の中心にはエコフレンドリー(Eco-Friendly)という価値観があり、「心」(座学)と「体」(体験)と「技」(技術)でつながる。その価値観もまた世界各地に存在し、環境問題に国境はないことが示された。

最終日の昼食はダムカレー

ブナの木の手紙に書いた「私たちのエコ×エネ宣言」

 最後のプログラムは3日間の体験を通じて、学生時代の間に成し遂げたいことをブナの葉っぱを模した紙に記入し、奥只見湖とその周辺のブナの森に見立てた台紙に貼っていく。

ひとりひとりの行動目標を発表「私たちのエコ×エネ宣言」

 「自然の魅力を伝える映像を撮る」「ブログを通じて関心を広げる」「アンテナを張って知識を増やす」「地方紙に意見を投稿する」などの具体的な行動が数多く表明された。

 最後に「おのの」は“エネルギー”には「力の元」「元気」「行動する力」という3つの意味があると紹介。3日間一緒に過ごした学生たちのエネルギーをたたえながら、大きな拍手と共にプログラムは終了した。

最終日終了後インタビュー

「野外教育家を目指す」わいわいさん
 野外教育家を目指しているので、スタッフの方々がどのようにこのツアーを運営しているのか、学びになりました。自然の貴重さを教えるだけでなく、いじめや不登校などに苦しむ子供たちのケアにも関わり、いつか起業したいという夢があるのですが、今回の体験でさらにその思いが強くなりました。


「環境や社会の問題解決にできることを」なるさん
 環境問題や社会問題に関心があり参加しました。ダムと発電所見学、ブナの森探索、ナイトハイクなど、さまざまな体験から、人間が自然の中にいることを実感しました。私は今、服の大量廃棄問題を解決するために不要になった服をリメイクするブランドを運営しているのですが、自分のブランドでも持続可能な社会のためにできることをしようと思います。


「改めて対面ツアーでの手応えと良さを実感」J-POWER「シゲさん」

 学生たちはエネルギッシュでとても良かったと感じました。我々からの問いかけに対して、その場の雰囲気を含めた反応が直接伝わってきますので、運営側としても対面ツアーでの手応えと良さを改めて実感しました。また、日本語でのコミュニケーションが難しい留学生が困らないよう、学生たちが積極的に声をかけ、サポートをしていた姿は素晴らしかったです。わずかな期間でも学生たちの視野が広がり、学びあう姿を見て、成長が感じられたこともうれしかったことの1つです。

 学生編は、エネルギーや環境問題をはじめとした社会課題に関心をもち、持続可能な社会の実現に向けて行動できる人が増えていってほしいと思い、ツアーを開催しています。今後もこうした体験・交流・学びあいの場を続けていきたいと思います。学生の皆さんの参加をお待ちしています。

「多様な学生が交流する中で成長が感じられることもうれしい」と語るJ-POWERの多比良氏

 取材を通じて感じたのは、出身や専門分野の異なる人たちと出会うことの大切さ。コロナ禍で不自由な高校生時代、大学生時代を経験した、全国から集まった若者たちは、失われた時間を取り戻すように語りあい、笑いあい、学びあい、生き生きと過ごしていた。

 小学生から大人まで、新しい接点を生み出すJ-POWER主催のエコ×エネ体験プロジェクト。サイエンスカフェ「エコ×エネ・カフェ」、「エコ×エネ体験ツアー」学生編、小学生親子編、教師編に、今後も世界中から多くの人が参加し、数多くの出会いが実現することを期待したい。
ひととエネルギーと環境を“つなぐ”
J-POWERエコ×エネ体験プロジェクト

《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

+ 続きを読む

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top