世帯年収200万未満が6割…ひとり親家庭の実態

 グッドネーバーズ・ジャパンは2024年3月7日、「ひとり親世帯の収入に関するアンケート」の調査結果を公表した。物価上昇などの影響で、食事や子供の教育環境が制限されるなど、困窮した生活を送る家庭が多いことがわかった。

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グッドごはんを利用するひとり親家庭の保護者の就労のみによる2023年の年収(手取り)の調査結果
  • グッドごはんを利用するひとり親家庭の保護者の就労のみによる2023年の年収(手取り)の調査結果
  • 回答者の就労形態
  • 物価上昇による家計への影響
  • 物価上昇による家計への影響での対策

 グッドネーバーズ・ジャパンは2024年3月7日、「ひとり親世帯の収入に関するアンケート」の調査結果を公表した。物価上昇などの影響で、食事や子供の教育環境が制限されるなど、困窮した生活を送る家庭が多いことがわかった。

 グッドネーバーズ・ジャパンは2017年より、低所得のひとり親家庭への食品支援事業「グッドごはん」を運営し、ひとり親家庭へ食品配付を行っている。

 今回は「グッドごはん」利用者のひとり親家庭を対象に、「ひとり親世帯の収入に関するアンケート」調査を行った。調査期間は、2024年2月2日~2月18日。回答方法は、オンラインによるアンケート回答フォームへの入力。回答者数2,391名(女性 2,302名、男性 53名)。年代は、20代 86名、30代 564名、40代 1,185名、50代 531名、60代以上 10名。地域は、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉など) 1,251名、近畿(大阪・京都・兵庫・奈良など)925名、九州(佐賀・福岡など)215名。いずれも無回答を除く。

 就労者による「2023年の年収(手取り)」は、「1円以上100万円未満」25.1%、「100万円以上200万円未満」43.4%、「200万円以上300万円未満」が24.6%で、就労収入の低い世帯が大きな割合を占めていることがわかった。

 また「就労形態について」は、「非正規雇用」の就労者が55.2%、「正規雇用」が22.3%で、回答者の半数以上が非正規雇用で就労している結果となった。家事や子育てを1人で担う場合が多いことで、仕事に費やす時間を思うように確保できない場合や、家族の介護や自身の健康問題など理由により、就労へのハードルが高くなるケースがあるという。

 「最近の物価上昇で家計はどのように変化したか」については、「非常に苦しくなった」が60.1%、「やや苦しくなった」が34.6%と、ほとんどの人が苦しくなったと感じていることがわかった。

 「物価上昇でとっている(とった)行動」については、「家で冷暖房器具を使うことを控えている」が64.2%、「肉や魚、野菜を買い控えている」が62.1%、「自分の食事の量を減らしている」が56.1%、「子供の習い事を断念した」が38.8%などの結果となった。健康的な生活が脅かされるほどの状況や、子供の進学や習い事など将来にわたる影響が懸念されるほど困難に直面している場合があることがわかった。

 困窮を招く要素は複雑に絡み合っており、一度貧困に陥ると、その状態から自力で脱却することは容易ではないという。また、今般の物価上昇などの社会不安による影響を受けやすく、さらに脆弱な立場に置かれやすい。今後は、社会全体で困窮家庭に目を向け、貧困問題の改善に取り組むことが求められるとしている。

《宮内みりる》

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