駿台から巣立つ、2024年度東大合格者の素顔に迫る

 2024年3月10日は東京大学の合格発表日。駿台予備学校お茶の水校3号館(東大専門校舎)では、卒業を祝う会(合格者慰労会)が開催された。合格発表の興奮が冷めやらぬ中、東京大学応援部による応援パフォーマンスや、人気英語科講師による祝福と激励のこもった講演が開催されるなど、会場はお祝いムードに包まれた。

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駿台から巣立つ、2024年度東大合格者の素顔に迫る
  • 駿台から巣立つ、2024年度東大合格者の素顔に迫る
  • 英語科の大島保彦講師による講演「言語の宇宙の道しるべ」には、教室からあふれるほど生徒が集まった
  • 大島講師は、「多様性・ダイバーシティを大事にしてほしい」と、駿台卒業生たちに祝福と激励の言葉を投げかけた
  • 駿台の東大専門校舎で行われた、卒業を祝う会(合格者祝賀会)会場のようす
  • 池上晃太朗さん(埼玉県立浦和高等学校、浪人、東京大学理科一類合格)
  • 角間小紅さん(石川県立金沢泉丘高校、浪人、東京大学文科二類合格)
  • (国立筑波大学附属坂戸高等学校、浪人、東京大学理科一類合格)
  • 杉田武蔵さん(青森県立八戸高校、浪人、東京大学文科三類合格)

 2024年3月10日は東京大学の合格発表日。駿台予備学校(以下、駿台)のお茶の水校3号館(東大専門校舎)では、卒業を祝う会(合格者慰労会)が開催された。合格発表の興奮が冷めやらぬ中、東京大学応援部による応援パフォーマンスや、人気英語科講師による祝福と激励のこもった講演が開催されるなど、会場はお祝いムードに包まれた。

例年、東大合格者を輩出する駿台予備学校

 駿台の発表によると、今年度の東京大学の一般選抜は、志願者数9,432人(うち女子は2,096人)に対し、合計2,993人(同582人)が合格。倍率は3.19倍だった。科類別では文科一類402人、文科二類355人、文科三類471人、理科一類1,119人、理科二類548人、理科三類98人。前年度の志願者数9306人(同2,092人)に対し、合格者2,997人(同653人)、倍率3.14倍に比べて、やや志願者数が増え、倍率も上昇する結果となった。ただし、女子比率は昨年度は2割を超えたものの、今年度は2割には及ばなかった。

 駿台は、今年も東京大学合格者を多数輩出。中でも、東大専門校舎である「お茶の水校3号館」からは毎年、数多くの卒業生を東京大学へ送り出している。同校舎で行われた慰労会では、集まった合格者がクラス担任やスタッフたちとともに喜びを分かち合った。

英語科の大島保彦講師による講演「言語の宇宙の道しるべ」には、教室からあふれるほど生徒が集まった

 慰労会では、東京大学応援部が応援パフォーマンスを実施。応援部は応援団とチアリーダー、ブラスバンドの構成で、部員たちから東大合格者に向け迫力あるエールを送り、大学生活を大いに楽しみ、実りあるものにしてほしいと力強く呼びかけた。

 また、英語科の大島保彦講師による「言語の宇宙の道しるべ」と題した講演では、多言語にわたる外国語学習や、倫理学、論理学の知見も交えた教養について語られた。これには多くの生徒が殺到し、教室に入りきれずに通路にあふれる聴衆も出るほど、大変な人気ぶりだった。

 大島講師は、「1つに絞りこむ必要はまったくない。何かに集中すると世界が平面化してしまう。さまざまなことに取り組むことでバランスが取れるので、多様性・ダイバーシティを大事にしてほしい」と述べ、4月から大学という新しい環境で幅広い学問領域に触れる卒業生たちに向けて、祝福と激励の言葉を投げかけた。

大島講師は、「多様性・ダイバーシティを大事にしてほしい」と、駿台卒業生たちに祝福と激励の言葉を投げかけた

駿台から巣立つ東大合格者の多様な素顔とは

 ここからは、多様なバックグラウンドをもつ、東大合格者7人の合格までのサクセスストーリーを紹介していこう。

「勉強への向き合い方」が身に付いた

池上晃太朗さん:埼玉県立浦和高等学校、浪人、東京大学理科一類合格

1.東大を志望した理由
 小学生のころから毎年五月祭に参加し、東大を身近に感じていました。いろいろなものを幅広く学ぶことが好きなので、教養学部で学んだ後に進路が決められる「進学選択」という東大独自の制度も魅力的でした。
 東大は最先端の研究が行われている場所であり、優秀な教授陣による高い教育を受けられること、そしてさまざまな分野の専門家や学生との交流を通じて、自分の視野を広げ、深い知識と独自の視点を身に付けることができると考えました。

2.駿台を選んだ理由
 高校の先輩が数多く通い、東大に合格していることが最大の理由です。同級生の多くも浪人先を駿台に決めていたため、気心の知れた仲間がいるというメリットもありました。駿台には長い歴史があり、講師は高い専門性をもっている精鋭ぞろいなうえ、大手であるが故の豊富な情報量にも期待がもてました。頻繁に実施される面談やカウンセリングにも魅力を感じました。

3.駿台に通って、身に付いたこと・自分が成長したと感じること
 身に付いたことはなんといっても「勉強への向き合い方」で、人生に大きな意味を成したと思っています。毎日の授業で「未来への投資だ」と思って先生の言葉をメモしていたことが直前期になってかなり効いたので、すぐにはわからなくても「意味があるかもしれない」と考えて行動する大切さを実感しました。
 成長したところは「自分で作った型に囚われず、柔軟に修正を重ね、進化し続ける」ことができるようになったこと。これまでは、ノートを綺麗に取ろうとするなど、自分のやり方に固執して自分で自分の首を絞める癖があったのですが、先生方の言葉や自主学習を通して、悪習から抜け出すことができました。

4.将来の夢
 ものづくりで世界を少しでも良くすること。今興味があるのは機械による人工臓器などで、「ロボットをつくる」ことを軸に、成長性が高く未開拓の分野で、面白いと感じるものをやりたいです。そのためにも他分野との壁が少ない東大で学び、多種多様な専門をもつ人と交流し、自分の知を深め、多様性をもち続けたいです。

挫折を経験したからこそ強くなれた

角間小紅さん:石川県立金沢泉丘高等学校、浪人、東京大学文科二類合格

1.東大を志望した理由
 最初に東大を志望したきっかけは、将来の夢が何も決まっていなかったからです。自分は経済がやりたいのか、文学がやりたいのかまったくわからなくて志望学部を決められませんでした。そこで知ったのが、東大の「進学選択」という制度です。2年間幅広く勉強したうえで、自分の将来の道筋を決められることに魅力を感じ、東大を第一志望にしました。

2.駿台を選んだ理由
 高校の恩師が駿台を勧めてくれました。確かに駿台は、予備校の中でも合格実績はトップクラスの大手だし、特にお茶の水校3号館は東大志望の受験生が全国から集まるので良い環境だろうと考えました。最終的な決め手は、高校時代に使っていたお気に入りの参考書が3冊とも駿台講師の著書だったことです。

3.駿台に通って、身に付いたこと・自分が成長したと感じること
 浪人というのは、人生における最初の大きな挫折でした。第一志望に合格するという目標を一度は諦めかけたのですが、駿台に通ったことで、勉強面での成長はもちろん、精神面でも一段強くなれたと思います。挫折を味わったからこそ、同じような境遇にある人の気持ちを理解でき、その人たちを助けられるようになると思いました。

4.将来の夢
 大学生活を通して変わる可能性もありますが、今の夢は教師になることです。私は高校生活で先生方にたくさん支えてもらい、心の底から楽しいと思える高校生活を送ることができました。学校というものは生徒にとっては家に次ぐ居場所となる場所です。その居場所を少しでも心地良いものにするために、教師になりたいと思っています。学校現場はブラックだ、なんて言葉をよく聞きますが、その環境をボトムアップで変えられるような教師になりたいです。

駿台での幅広い学びで人生の幅が広がった

白石尚嗣さん:国立筑波大学附属坂戸高等学校、浪人、東京大学理科一類合格

1.東大を志望した理由
 小学校では勉強ができる方だったので、漠然と東大への憧れを抱いてはいたものの、中学・高校の受験を経て、その目標からは遠ざかっていました。ところが高1のとき、コロナ禍で暇になったのをきっかけに再び勉強するようになり、模試で良い成績が取れたことで手応えを感じて、東大に挑戦しようと決めました。現役時は合格まであと9点だったので、もう1年頑張ることにしました。

2.駿台を選んだ理由
 親も駿台に通っていたので、駿台には縁を感じていました。高校時代には英語と数学の授業を取り、高3からは東大専門校舎であるお茶の水校3号館に通いました。浪人を決めたときも、親からは「駿台だったら大丈夫だろう」と応援してくれました。

3.駿台に通って、身に付いたこと・自分が成長したと感じること
 成績向上はもちろんですが、駿台は自分にとって「プレ東大」とも言えるような、豊かな学びの環境だったなと思います。現役時代は「東大で物理をやる」と進路を1本に決めていたのですが、浪人時代には駿台の授業で和歌の奥深さに触れるなど、幅広い学びに価値観が揺さぶれられて、いろいろな世界に興味をもてるようになりました。中でも、「受験英語の道しるべ」という特設単科講座では、「東大に落ちて早稲田に行き、そこで教授になった」といった駿台卒業生の多様な人生談に触れ、東大という学歴以上に、自分が何をやるかがいちばん大事であり、今ここで学んでいることや経験していることすべてに意味があると気付かされました。浪人中もあまり根を詰め過ぎず、自分探しができた充実の1年になりました。

4.将来の夢
 まだはっきりとは決まっていませんが、駿台で学問への興味の幅が広がったので、東大では聞いたこともないような授業をとって楽しみたいです。理系で合格しましたが、「進学選択」の制度を生かし、文系の科類も含めて広い視野で進路を模索したいと思っています。

寮生活で仲間と励まし合い受験を乗り切る

杉田武蔵さん:青森県立八戸高等学校、浪人、東京大学文科三類合格

1.東大を志望した理由
 高校生のころ、早く夢を決めなければいけないという焦りと不安が募っていました。そんなときに知ったのが、東大の「進学選択」という制度でした。幅広い学問を学び、3年次から専門を決める制度は、進路が未確定な学生に多くの選択肢を提供してくれます。前期の教養課程でじっくりと自分のやりたいことを定めていきたいというのが、東大を志した最大の動機です。

2.駿台を選んだ理由
 地方出身なので情報が少なく、浪人が決まったときには「駿台は模試が難しくてなんか凄そう」と、それほど深く考えずに選びました。入学してみると、周りの駿台生や授業のレベルが高く、程よい緊張感をもって毎日の授業や演習に臨むことができ、結果につながったので大満足です。寮生だったため、仲良くなったほかの寮生と互いに切磋琢磨し、辛いときには励まし合える関係となって受験を乗りきることができました。そのような仲間を得られたのも、駿台を選んで良かったところです。

3.駿台に通って、身に付いたこと・自分が成長したと感じること
 駿台でいちばん伸びた教科は地歴です。僕は日本史・世界史選択でしたが、現役のときはただ闇雲に教科書の暗記に走ったことが多々あり、結果としてあまり点数が伸びませんでした。そのため、浪人での1年間は地歴を得点源にできるよう、気合いを入れて頑張りました。駿台の指導は暗記に留まらず、必ず出来事を原因と繋いで因果性を明確にさせます。理解が難しいところもありましたが、講師の授業を受け、現役のときには曖昧になっていたところが理解できたときの快感は格別でした。おかげで入試本番にも自信をもって臨めました。

4.将来の夢
 世界の色々なところを見て回りたいという思いがあるので、国際的な仕事に就いてみたいです。それによって培った国際的な視野を、日本社会に還元していきたいです。これから前期の教養課程でさまざまな価値観をもった人たちと触れ合うことで、具体的に決定していきたいと思います。

切磋琢磨し合える仲間と鍛えられたメンタル

竹内龍平さん:福井県立武生高等学校、浪人、東京大学理科二類合格

1.東大を志望した理由
 東大を意識し始めたのは高2の秋ごろです。最初は純粋な憧れだけで目指していたのですが、一度不合格になり、改めて東大に入りたい理由を考えました。元々学問には興味があったので、さまざまな分野を学べるリベラル・アーツ教育も大きな魅力だと感じ、学問の最高峰である東大で学びたいという一心で受験に向き合いました。

2.駿台を選んだ理由
 一度目の挑戦で不合格がわかった翌日、突発的に福井から東京まで新幹線に乗り、駿台の入学説明会に参加しました。説明会では駿台の合格実績やカリキュラム、卒業生の話などを聞きました。僕は東大しか受けていなかったので、その時点で浪人することは決まっていたのですが、話を聞いているうちに「ここならもう1年間頑張れるかもしれない」と思えてきたのが決め手でした。

3. 駿台に通って、身に付いたこと・自分が成長したと感じること
 勉強面での成長は言うまでもなく、特筆すべきは自律の精神が鍛えられたこと。メンタルは得点力に影響する要素だと思います。浪人生活は誘惑が非常に多く、いくらでもサボれてしまいます。そのため、予備校に通う大きなメリットとして、ともに切磋琢磨し互いに高め合える仲間に出会えることがあげられます。僕が所属したクラスは特に向上心の強い人が多く、「彼らがあんなに頑張っているのだから、僕もここで怠けるわけにはいかない」と思うようになりました。駿台に通っていなかったら、1年間自分を律し続けて過ごすことはできなかったと思います。

4.将来の夢
 これから東大でさまざまな学問や考え方に触れることを通して、自分がやりたいことをゆっくりと見つけていきたいと思っています。その点では、3年生に上がる際に、文理を越えて自分の進みたい学部を選ぶことができる東大の「進学選択」という制度は大変ありがたいと思っています。

緊張感ある自習室で集中して勉強できた

時永耕輔さん:私立麻布高等学校、現役、東京大学文科二類合格

1.東大を志望した理由
 麻布高等学校には、受験期になると多くの人がまずは東大を第一志望にするという風潮があり、当初は法学か経済学か悩んだものの、東大には「進学選択」の制度があるので入学後に決めようと思い、文科二類を目指すことにしました。

2.駿台を選んだ理由
 僕らの世代は中学3年時にコロナ禍に見舞われ、学校の授業はほぼオンライン、ごく稀に対面の授業となったのですが、自分の怠惰な性格が災いして見事にサボってしまいました。その結果、高校進学後に実施された校内の実力試験でひどい成績を取り、塾に入ろうと思って、お茶の水の駿台に通うことにしました。

3.駿台に通って、身に付いたこと・自分が成長したと感じること
 駿台では英語と数学の授業を受けていました。英語ではリーディングはもちろん、リスニングとライティングもバランスよく学習できました。数学も分野別に章分けされていたので、こちらも効率的に進められたと思います。僕が個人的にいちばん良かったと思うのは自習室です。学校に図書館はあるものの、後輩たちが青春を謳歌しており、落ち着いて勉強ができる場所ではありませんでした。そのため、同じ受験生であり、かつ同じく東大を目指している人たちが集い、1つの場所で勉強している自習室の存在は、とてもありがたかったです。

4.将来の夢
 駿台で学んだ英語を実践に移すチャンスとして、これからのグローバル社会に適応できるような人になりたいです。大学4年間の経験を基に仕事を決めるのでも遅くないと思うので、今はまだ具体的に考えていませんが、商社などで海外勤務をするのも面白そうだなと思っています。

数学力を磨いて入試本番で過去最高の出来

吉塚渉さん(仮名):私立麻布高等学校、現役、東京大学理科一類合格

1.東大を志望した理由
 知人や親戚に東大・京大出身者が多く、通っていた高校も周りが当たり前のように東大を目指していたため、自然と東大を目指すことになりました。また、僕はいろいろなことに興味があり、入学後2年間に学部をじっくり選ぶことができる「進学選択」の制度は魅力的でした。理科一類を目指したのは、興味をもっているさまざまな学部に行きやすく、比較的自由に学部の選択ができると思ったからです。

2.駿台を選んだ理由
 駿台に入ったのは高3になってからでした。得意科目だった数学が伸び悩んで落ち込んでいたところ、タイミングよく駿台から講習の案内が届き、その講習を受けたことがきっかけで駿台に入りました。駿台は理系科目に強いと聞いており、新しい視点を取り入れ、スランプを脱出できれば良いなと思い、有名講師の数学の授業を受けることにしました。

3. 駿台に通って、身に付いたこと・自分が成長したと感じること
 僕が受けていたのは演習形式の授業で、一問解説するごとに小休憩が入っていたので、一問一問の解説により集中して取り組むことができました。駿台に入ってからすぐにスランプを脱出でき、数学の点数が伸び始め、東大の本番では過去最高の出来となりました。駿台で得点力が上がったのは、新たな問題を解く際の取り組み方を学んだことで、数学力を最大限発揮できるようになったからだと思います。

4.将来の夢
 世界を股にかけて活躍できるような人になりたいです。現在特に興味がある分野は建築、情報工学、半導体などです。これらの分野は現在需要が大きく、世界中で知識を生かせると考えています。特に情報工学や半導体はここ10年で大きな進歩を遂げており、さらに発展していく領域だと思うので、その成長に貢献していきたいです。


 大いに学び大いに楽しむ、駿台から東大に続く道。まずは今春、東京大学に合格した駿台生に心からお祝い申し上げたい。取材に応じてくれた7名に「今の気持ち」を聞いた際、「とても嬉しい」「ゆっくり休みたい」「両親や周りに感謝を伝えたい」など、皆一様にほっとした表情を浮かべていたのが印象的だった。共通して感じたのは、駿台で得たものが合格のためのノウハウだけでなく、大学で幅広い教養を身に付けるための学びに向かう姿勢や精神面での成長であったということ。今後のさらなる飛躍に期待したい。

東大合格へ導く
「東京大学合格への道」
《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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