大学中退が増加、中退する前に得たかったサポートとは?

 ジェイックが2024年6月28日に発表した「中退に関するアンケート」の結果から、大学や高等専門学校の中途退学者の37.8%が、中退前に「教員からの学習支援」があれば中退しなかったと回答していることが明らかとなった。キャリア教育については、大学よりも高校段階での需要が高い。

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中退(中退検討)前に得られていれば、中退しなかったと思うサポート(ジェイック 中退就職カレッジ調べ)
  • 中退(中退検討)前に得られていれば、中退しなかったと思うサポート(ジェイック 中退就職カレッジ調べ)
  • 大学や専門学校への進学理由(ジェイック 中退就職カレッジ調べ)
  • 入学後何年目に中退したか(ジェイック 中退就職カレッジ調べ)
  • 中退理由(ジェイック 中退就職カレッジ調べ)

 ジェイックが2024年6月28日に発表した「中退に関するアンケート」の結果から、大学や高等専門学校の中途退学者の37.8%が、中退前に「教員からの学習支援」があれば中退しなかったと回答していることが明らかとなった。キャリア教育については、大学よりも高校段階での需要が高い。

 文部科学省が全国の国公私立大学、短期大学、大学院、高等専門学校を対象に行った調査によると、2022年度の中途退学者は6万3,098人で、前年の2021年度に比べ4,050人増加している。こうした現状を受け、中退者専門の就職支援サービス「中退就職カレッジ」を展開するジェイックは、同サービスの受講生を対象に中退者に関するアンケート調査を実施した。調査期間は2023年4月1日~2024年3月31日、総回答者数は325人(設問により回答者数は異なる)。

 大学や専門学校への進学理由は、「なんとなく/親や先生に言われて/進学するのが当たり前だと思った」が39.8%でもっとも多く、「資格を取りたかった/就活に有利になると思った/仕事に役立つと思った」21.7%、「教養を身に着けたい/勉強や研究をしたいと思った」19.6%、「学歴が欲しかった」15.2%、「自由な時間が欲しかった」3.7%と続いた。

 中退した時期は、「1年目」15.6%、「2年目」24.3%、「3年目」23.1%、「4年目」20.9%、「5年目」10.9%、「6年目」3.4%、「7年目」1.6%、「8年目」0.3%。2021年度・2022年度の調査結果と比較すると、1~3年目はそれぞれ1.9~5.7ポイント増加している一方で、5~8年目はそれぞれ1.5~5.3ポイント減少していることから、中退する年次が早期化している傾向が見受けられた。

 中退理由1位は「授業内容に興味がもてなかった」27.9%、2位「留年した」22.8%、3位「経済的事情・家庭問題」17.9%、4位「授業についていけなかったから」14.8%、5位「体調不良」7.2%。

 中退(中退検討)前に得られていれば、中退しなかったと思うサポートは、1位「教員からの学習支援」37.8%、2位「教員との心理相談」29.9%、3位「高校でのキャリア教育」28.4%、4位「経済支援」27.4%、5位「学外の臨床心理士等との心理相談」25.9%。キャリア教育については、大学ではなく高校段階で、大学進学から卒業、就職までを見据えた支援が求められていることがわかった。

 ジェイックは今回の調査から、大学生活や、その先の就職をイメージできていないまま、進路選択してしまっている高校生が一定数いると推察。中学生・高校生の時から、自身の将来について考える、業界や職種について学ぶ機会を作るといった早期の「キャリア教育」を丁寧に行うことが、個人にあった進路決定や中退予防に繋がると分析している。

《川端珠紀》

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