【高校受験2025】「学力重視」の埼玉県立難関校入試で勝つ方法…早稲田アカデミー

 埼玉県内にも20校舎以上を展開し、高い合格実績を誇る早稲田アカデミー。教育事業本部 第三事業部長(埼玉県展開校舎統括)の雲井直将氏に、2025年度の埼玉県の公立高校入試を中心に、近年の志願傾向や注目すべき点、人気校の動向、併願私立校に関する最新情報、夏休みの学習・過ごし方のポイントについて伺った。

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【高校受験2025】「学力重視」の埼玉県立難関校入試で勝つ方法…早稲田アカデミー
  • 【高校受験2025】「学力重視」の埼玉県立難関校入試で勝つ方法…早稲田アカデミー
  • 「令和7年度埼玉県公立高校入学者選抜における学校選択問題実施校」
  • 埼玉県公立高校のうち学校選択問題を採用している学校の倍率推移
  • 埼玉県公立高校入学者選抜の仕組み(一部)
  • 2025年度 埼玉県公立高校入学者選抜日程
  • お話を伺った早稲田アカデミー高校受験部・埼玉県高校入試 総責任者の雲井直将氏

 いよいよ夏休みを迎える。受験生は、この夏をどのように過ごすべきだろうか。

 埼玉県内にも20校舎以上を展開し、高い合格実績を誇る早稲田アカデミー。教育事業本部 第三事業部長(埼玉県展開校舎統括)の雲井直将氏に、2025年度の埼玉県の公立高校入試を中心に、近年の志願傾向や注目すべき点、人気校の動向、併願私立校に関する最新情報、夏休みの学習・過ごし方のポイントについて伺った。

公立難関校は“学力勝負”の入試にシフト

--埼玉県の公立高校の入試制度について、概要を教えてください。

 まず、多くの公立高校の入試では調査書類等の内容+学力検査の結果を用いて選考が行われます。学力検査は、国語・数学・社会・理科・英語の5教科が一般的です。

 埼玉県では、そのうち数学・英語において、「学力検査問題(共通問題)」と「学校選択問題」の2種類が用意され、各学校がいずれかを選択・採用しています。「学力検査問題(共通問題)」は基礎~標準的な問題で中学校学習指導要領に基づいて出題されますが、「学校選択問題」では応用問題を含む難度の高い問題が扱われています。2025年度入試では、以下の22校が学校選択問題を採用すると公表されています。

画像出典:埼玉県教育委員会

 学校選択問題は発展的な力を測る問題、といえるでしょう。志望校が学校選択問題を実施するか否かは、早いうちから確認しておく必要があるでしょう。

埼玉県公立高校入試における選抜方法(提供:早稲田アカデミー)

 また、学力検査は1回のみですが、その結果をもとに、合格者選抜は第1次選抜と第2次選抜の二段階選抜で実施されるところが多いです(一部の高校では第3次選抜まで実施)。学力検査の得点と調査書点の比率を変え、第1次選抜で定員の60%~80%、第2次選抜で残りの20%~40%を選抜する方式が埼玉県公立高校入試の特徴です。

 学力検査点と調査書点をどの比率で計算するかは、「調査書点4:学力検査6」「調査書点3:学力検査7」といったように各学校が決定します。調査書点というのは、3年間の9教科の評定や特別活動の記録です。ただ、難関校を目指している生徒は一定の評定に達しているお子様も多いため、大きな差がつきづらいです。そのため、学力検査の得点で勝負をしなければならないという入試に変わっているのがここ最近の傾向です。中でも上位校は、学力検査の比重が高い入試に変わってきているといえるでしょう。

数学・英語で差がつく

--どのような目的で学校選択問題を採用しているのでしょうか。

 思考力・応用力を測ることを目的としているのでしょう。難関校を受ける生徒の場合、共通問題だと80点台後半~90点台まで得点できる生徒が多く、点数に差がつかなくなってしまいます。その一方で、学校選択問題を用いることで、「いかにミスを減らすことができるか」ではなく、「レベルの高い応用問題に対応できるか」を見て選抜することができるのです。学校選択問題として数学と英語を抜き出した背景には、そうした応用する力や考える力を一生懸命努力して身に付けてきた生徒に入学してもらいたいという、学校の考えが反映されているようにも見えます。

 もちろん、英検をはじめとした外部検定で高スコアをもっているお子様には調査書点が加算されますが、それが合否の決め手にはなっていないように思います。それよりも学力検査の得点力を高めることが大事ですね。

--調査書よりも学力重視に変わってきているという点について、もう少し詳しく教えてください。

 学力が重視される入試に次第に変わりつつあるのは、やはり「学校選択問題にも対応できる高い学力と思考力・応用力を身に付けてほしい」「入学後もレベルの高い授業についてきてほしい」という学校側のメッセージとも受け取れます。だからといって調査書点を蔑ろにして良いわけではありません。調査書点が十分であるに越したことはないので、早いうちから高校受験を意識して、毎回の定期テストはしっかりと準備して臨むことが必要です。

最難関校は受検者が微減、2~3番手校に人気が集まる

--近年の人気校の傾向や倍率についてお聞かせください。

 全体的には隔年現象が見られます。新学習指導要領による入試で、安全志向が働いたからなのかわかりませんが、2024年入試は最難関である浦和(普通)、大宮(普通)、川越女子(以下、川女)の倍率が若干下がったぶん、蕨、川口北や春日部などといった2番~3番手校は倍率を高め、人気が集まる結果となりました。

埼玉県公立高等学校における学力検査受検状況より抜粋(出典:埼玉県)

 具体的な受検倍率ですが、浦和は1.27倍と、ここ数年は上がったり下がったりしています。大宮は1.34倍でここ3年で低下傾向、川女は1.29倍と昨年に比べると若干低下傾向となっています。学科によっても上下はありますが、総じて1.3~1.5倍あたりを推移しています。というのも県立は1校しか受けられませんから、私立のようにどこかに受かれば良いと複数校を受験しての2倍3倍、といった倍率とは異なります。志望者が絞られた後の倍率であることを前提に考えてください。

--埼玉県内入試の併願傾向について教えてください。

 県立志望の受験生は、まず県立高校のなかから自分の行きたい学校を決め、その学校と同じ偏差値帯で併願校を探します。上位校の併願先としては、栄東・立教新座・開智・大宮開成・淑徳与野・川越東といった学校が人気です。その一方で、早大本庄、慶應志木などの最難関私立を第一志望にした受験生が不合格となってしまい、県立の受検に流れる場合もあります。埼玉県の私立高入試は例年1月22日から始まりますが、県立の入試日までは1か月以上空きます。進学の予定はなくても、緊張感を保つために複数の私立を受験する生徒も一定数います。

2027年以降は入試制度が変わる

--現在の中1が受検する2027年度埼玉県立高校入試では、制度に変更があると告知されています。変更の概要と、それに向けて今からどのような対策をする必要があるのか、お聞かせください。

 まず、全校で行われる共通選抜に加え、一部特色選抜が実施されると公表されていますが、詳細の発表はまだありません。学校ごとの特色検査なのか科目横断型の試験なのか、まだよくわからないのが現状です。ただ、これまでの出題傾向から想像するところでは、制度変更の方向性として、単なる基礎学習では終わらない「その場で読んで考えて解く問題」というのを取り入れたいのかもしれません。中学受験や大学受験の流れを汲んで、埼玉県公立高校入試としても、今後求められる学力を測ることのできる選抜方式に舵を切っていくのではないでしょうか。

 また、同時に自己評価資料の提出と面接が導入されることが発表されています。学力以外の要素を評価に取り入れたい、という意図が汲み取れます。こちらについても、現時点ではどういった形式で選抜が行われるのか具体的にはわかりません(最新情報は埼玉県教育委員会公式Webサイトをご確認ください)。

--「基礎だけで終わらない、その場で考えるような力」がより問われるとのこと。すでにこれまでの出題傾向にも表れていますね。

 そうですね。とくに学校選択問題は、科目にとらわれないテーマでの出題や記述式の出題も多く、思考力や応用力が試される発展的な内容となっています。数学にしても英語にしても、問題の分量が多く、解答を導き出すまでのプロセスが重視される傾向があります。入試制度が変わると、従来通りの対策で大丈夫なのかと心配する方もいらっしゃいます。しかし、やはりひととおりの基礎学力をきちんと身に付けたうえで、自ら考えるといったことを普段から習慣的に行っているお子様が有利になるように思います。

既習も未習も、入試本番を見据えてバランス良く

--夏休み、受験生はどのような観点で勉強を進めるのが良いでしょうか。

 1学期中はまだ部活動などで忙しく、なかなか勉強量を確保しづらかったと思いますが、そのようなときには得意教科を中心に学習するようにとアドバイスをしています。一方、夏休みはある程度の学習時間が確保できるはずですので、苦手教科や手が回っていなかった不得意単元に取り組んで、弱点を克服していくことが大切です。教科書や問題集を使って、暗記教科も含めて、絞り込まずに万遍なく勉強しましょう

 夏は、バランスの良い学習を心がけることが大事です。併願校選びの観点から、夏の学習の目標として休み明けの北辰テストに照準を合わせる受験生が多いです。秋の北辰テスト対策としてはこれまで学習した範囲の内容を復習すればカバーすることはできますが、最終的には2月までに全範囲を終えて入試本番のレベルまで引き上げていかなければなりません。埼玉県内の高校入試において、北辰テストは重要なものですので「北辰テストで良い成績を取る」という観点は間違っていませんが、だからといってその対策に終始することのないように、これまでの復習単元と中3の先取り単元をバランス良く勉強することをお勧めします。

--志望校別対策についてはいかがでしょうか。

 夏の時点ではまだ過去問は取り組まなくても大丈夫です。数学は全単元がまだ終わっていないので解けない問題も出てきてしまうでしょうし、慌てて取り組むよりも10・11月に着手する方が効果的ですね。公立でしたら過去5年分をやれば良いので、11月からでも十分間に合うと思います。

お話を伺った早稲田アカデミー教育事業本部 第三事業部長の雲井直将氏

夏の勉強に100点満点はない

--保護者様はこの夏、どういったサポートをするのが良いでしょうか。

 適切な距離で見守りつつ、励ましてください。全教科バランス良くやり切れない、うまくいかないときはあると思います。自立して勉強を進めることができる15歳は、ほんの一握りです。「勉強しないのは子供の自己責任」と言って諦めてしまうのではなく、見守りながら、良きタイミングで声をかけてみてください。

 勉強は、できたかできなかったかを0か100で測るものではありませんし、学習状況が100点満点でこの夏を終えられることはあまりありません。成績が下がったり紆余曲折があったりするのを覚悟しつつも、完全にお子様任せにはしない方が良さそうです。そして声をかける際は、「頑張って」「期待しているよ」というポジティブなコミュニケーションを意識していただきたいです。

 もしお子様のようすをみて、つい叱ってしまう、ネガティブな発言をしてしまうなど、お悩みがありましたら、塾や学校の先生など第三者を頼ってください。お子様自身が困ったときに相談できる場所や人を見つけてあげることも大切です。

--最後に、受験生と保護者様にメッセージをお願いします。

 実際に受験校のラインアップを決定していくのは11月以降になりますが、夏はまず自分がいちばん行きたい学校だけをイメージして勉強してください。取り組むのはまだ先でも、早めに過去問題集を買って「御守り」としてモチベーションを高めるのも良いかもしれません。「行きたい学校」を最後まで諦めないでほしいと、私は毎年受験生に伝えています。

 受験というのは最終的には自分ひとりの力で試験問題に立ち向かいますが、それまでは団体戦です。ライバルの存在や周りの人の期待を感じながら、1歩でも2歩でも前に進むこと。常に走らなくても良いし、ときには歩いても大丈夫です。当塾の保護者会でも、有効な学習法や合格までの必勝法についての質問が飛び交う保護者会で、私はあえて「合格したお子様はどうしてこの学校に受かったと思いますか?」と保護者様にたずねます。その答えは、紛れもなく「諦めずに受験した」からなのです。受験本番を迎えるまでにはいろいろなことがあるかもしれませんが、最後まで諦めないで頑張ってほしいとお子様にも親御様にも伝えたいですね。

--ありがとうございました。


 後悔のない高校受験にするためには「理想は高く、最後までやりきる」強い気持ちが大事だと語る雲井先生。焦ることなく、バランス良く夏の学習に取り組むことで、志望校が射程距離に近づくことだろう。ぜひ、9/15(日)より開講する早稲田アカデミーの「埼玉県立必勝コース」などを活用しながら、ハイレベルな仲間たちと切磋琢磨してほしい。

※英検は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。

埼玉県高校入試の基礎知識
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《吉野清美》

吉野清美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、子育てとの両立を目指しフリーに。リセマムほかペット雑誌、不動産会報誌など幅広いジャンルで執筆中。受験や育児を通じて得る経験を記事に還元している。

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