【高校受験2025】クオードに聞く、千葉県公立高校入試に向けての夏の心構え

 千葉県内最難関公立校である千葉高校への合格実績を伸ばした進学塾・クオード。その運営元である集学舎 取締役・小中学部長の三好慶久氏に、最新の千葉県公立高校入試の動向や夏の学習のポイント、保護者の心構えなどについて話を聞いた。

教育・受験 中学生
PR
【高校受験2025】クオードに聞く、千葉県公立高校受験に向けての夏の心構え
  • 【高校受験2025】クオードに聞く、千葉県公立高校受験に向けての夏の心構え
  • 千葉県 各学校の評価基準(公立)
  • 集学舎取締役・小中学部長の三好慶久氏
  • 千葉県公立高校入試 学区配置図
  • 各学区に含まれる市町村
  • 千葉県公立高校入試 学区の概要

 まもなく夏休みを迎えるこの時期。中学3年生は部活も引退し、これから本腰を入れて受験勉強に取り組み始めるのではないだろうか。

 2024年の入試で、千葉県内最難関公立校である千葉高校への合格実績を伸ばした進学塾・クオード。千葉県の内房・外房エリアを中心にクオードを運営する集学舎取締役・小中学部長の三好慶久氏に、最新の千葉県公立高校入試の動向や夏休みの学習のポイント、保護者の心構えなどについて話を聞いた。

千葉県の公立高校の入試の概要

--千葉県の公立高校の入試について試験制度の概要を教えて下さい。

 千葉県の公立高校入試は、学力検査、調査書、各校が定めた検査の3つの合計点で決まります。

 学力検査は、国数英理社の5科目それぞれ100点満点、合計500点満点の学力テストです。どの学校でも共通の問題が出題されます。調査書は、中学校3年間の成績を得点化したもので、いわゆる内申点です。通知表が9科目オール5なら合計45点なので、3年分で135点満点となります。これが学力検査の点数に上乗せされる形です。

 学校が定める検査は作文や面接などさまざまですが、県立千葉・千葉東・東葛飾では思考力を問う問題が出題されます。これら学力検査・調査書・各校の定める検査の3種を合計したトータルの点数での勝負となります。

--当日の学力検査と通知表の割合は学校ごとに異なるのでしょうか。

 多くの学校で同じ割合ではありますが、学校によって通知表の配分が圧縮されて135点満点にならない学校もあります。クオードは千葉県内でもおもに内房・外房エリアに教室を展開しているのですが、クオードに通う生徒が受験する学校に限ると、この学区での県内最難関の県立千葉と難関校である千葉東が、通知表の配分が半分に圧縮される学校です。それ以外は通知表の点数がそのまま学力検査に上乗せされ、合否が決まります。

--千葉県の学区制について教えてください。

 学区についてですが、普通科の場合、自分の住む学区に隣接する学区まで受験可能となっています。

学区配置図と学区に含まれる市町村(出典はいずれも千葉県 県立高校ナビ)

 普通科でも、定時制や女子校など、学区の制限なく受験できる学校もあり、千葉女子高校、木更津東高校、幕張総合高校は全県から受験することができます。また、普通科以外の専門学科は学区の制限なく受験できます。なお、クオードが展開するエリアは第1学区と第7学区と第9学区です。

学区の概要(出典:千葉県 県立高校ナビ)

--内申点について教えてください。

 学力検査、調査書、学校が定めた検査の配点は以下のようになります。

(データ提供:クオード)

 クオードに通う生徒が目指す難関校の中では、県立千葉、千葉東の2校で内申点の割合が半分になります。内申点を除く学力検査と学校が定めた検査の割合が89.9%と、他の学校と比べて高くなっています。制度上は、千葉県は周辺の他県と比べても学力検査の割合が高い印象です。

--学力検査の割合の高い学校は、大学入試を目指して一定の学力を担保したいという意図なのでしょうか。

 それはあると思います。一昨年から一部の学校で思考力を問う問題が導入されました。県立千葉、千葉東のほかには東葛飾など、難関校や上位校は思考力を問う問題を取り入れる傾向にあります。

 思考力を問う問題も、県で作成する共通の内容となっています。国数英の3科目を60分でまとめて受験するのですが、解答スピードに加え、どの科目にどれくらいの時間配分をもってのぞむのかなどの戦術も求められます。

気になる倍率は…

--難関校のお話が出ましたが、近年の人気校・難関校の倍率はどのような状況でしょうか。

 千葉県内には、県立千葉以外にも船橋や東葛飾といった難関校がありますが、クオードの教室があるエリアのうち第7学区と第9学区からは、学区制限の関係でこの2校を受験することはできませんので、この2校を除いてお話しします。

 県立千葉の昨年の倍率は1.4倍台、千葉東は1.2~1.3倍程度です。船橋、東葛飾は1.8~1.9倍程度ですから、他学区と比べると落ち着いていると言えます。人気校としては、市立千葉は、普通科は千葉市内在住者のみ(理数科は県内全域から受験可)となっており受験者層が限定されるものの、それでも倍率は1.7倍台になります。数年前に校舎が新しくなったことも人気の理由のひとつです。1学区で二番手の千葉東でも思考力を問う試験があるので、それを避けて市立千葉を受験する生徒もいると考えられます。

 もう1校、立地的にもかなり人気が高いのが幕張総合です。昨年は倍率が1.5倍を超えました。

--人気校の「人気の理由」はどんなところにあるとお考えでしょうか。

 やはり難関校には、難関校としてのブランドがあると思います。学力の高い生徒にとっては、進学実績はもちろんですが、優秀な生徒が集まってくること自体が魅力です。学力が高く、志の高い子は、公立中学校ではある程度の学力差がある中で過ごすため、入試というフィルターを通して集まった、自分と同じもしくはそれ以上の学力を持った生徒と過ごせる高校3年間の刺激は、魅力に感じる部分ではないでしょうか。

 また、先ほど倍率の話の中でも人気が高いとお伝えした幕張総合は、他の学校にない特色が魅力です。たとえば看護科のようなコースがあったり、単位制で2年生以降は自分で勉強したいものを選べたりします。海浜幕張という立地や、他の公立高校にはない魅力ある校舎施設の存在なども、多くの人が集まる理由のひとつです。オーケストラやサッカー、バスケットボールなど部活も盛んで、部活で選ぶ生徒も多いです。勉強以外でも活躍の場があるので、幅広い子たちが通っている印象があります。

夏の学習、決め手は「各教科の勉強の割合を決める」こと

--これから夏休みを迎えます。この間の過ごし方や、勉強の進め方を教えてください。

 部活も引退し、まとまった時間が取りやすくなりますね。ポイントは、まとまった時間で各科目どのくらい勉強するか「割合を決めること」です。

 数学はどの生徒も多くの時間を費やす必要がありますから、クオードでは目安として、10時間勉強するなら、数学4時間、国語と英語を2時間ずつ、理科と社会は1時間ずつという割合を推奨しています。もちろん科目の得意不得意には個人差があるので、生徒によっては勉強時間の割合を変えてアドバイスすることも多いです。

 また、どうしても苦手科目に目が行きがちなのですが、苦手科目が短期間で得意科目になることはそれほどありません。入試は総合得点の勝負です。苦手科目に注力しすぎて、得意でも不得意でもない科目の手を抜いてしまうと、全体の点数を落としてしまうので注意が必要です。得意科目を確固たる武器にする、これも夏休みの目標のひとつです。

 夏休みは、どうしても勉強の優先度をあげる必要があります。とはいえ息抜きはゼロにはできません。勉強を最優先にするためには、どんなライフスタイルで過ごすのかをしっかり決めることが重要です。

 過去問については、英語など、科目によっては夏休みから取り組むこともありますが、夏休みの時点で数学や理科、社会などはまだ試験範囲がすべて習い終わらない科目がありますので、本格的に過去問に取り組み始めるのは夏休み明け、9月末~10月で良いでしょう。

--夏休みの勉強は復習メインになりますか。

 中1、中2の時は、ひとつの単元が終わったと思ったら次の単元に進まなければならず、定着させきれず穴になっている部分があると思うので、夏休みには中1、中2の復習をメインに勉強すると良いでしょう。復習した範囲に対して演習量を確保することで、秋以降の成績の伸びに繋がっていきます。

集学舎取締役・小中学部長の三好慶久氏

志望校によって学習の仕方は変わる

--目指す学校の偏差値帯によっても到達度も変わってくると思いますが、偏差値帯によって勉強の仕方はあるのでしょうか。

 たとえば難関校と人気校を目指す生徒とでは、鍛えていくべき分野、ポイントが異なります。

 県立千葉を目指す生徒は、公立高校入試に向けた勉強以上に、難関私立高校対策の勉強が重要になる単元もあります。千葉県の高校入試日程は、私立高校の合否がすべて判明した後に県立高校の出願をする入試日程です。合格した私立高校のレベル、言い換えると、いわゆる「おさえ」の高校のレベルによって、公立高校の出願先を変えることができます。

 難関県立高校を受検する場合、3年後の大学入試を見据え、より魅力的な進学先が確保できている状況が望ましいと言えます。難関私立入試対策が結果的に思考力を問う問題にもつながるため、クオードでは千葉東以上の学校を受験する生徒にも、県立千葉の受験者ほどではないですが、私立高校の問題を長いスパンで取り組ませています。

 人気校を受験する生徒は、基本的に公立高校入試対策をしっかり行います。すなわち、教科書の内容を着実に定着させていく学習になります。2学期の県立入試向けの模試、そして入試本番で、「取り切る」「取りこぼさない」ための学習を重ねていきます。

--難関私立高校とは、具体的にはどのあたりの学校になるのでしょうか。

 渋谷幕張は、全国的に見ても最難関です。クオードの生徒にとってメインとなるのはその次の市川と海浜幕張にある昭和秀英です。この3校が、県立千葉を受験する生徒たちが併願する難関私立高校です。クオードでは、市川と昭和秀英のどちらかは受けようと勧め、どちらかに合格できれば、県立千葉への出願を提案しています。

 千葉東を受験する生徒については、船橋市内の日大習志野を併願することが多いです。

--私立の併願校の入試の傾向について教えてください。

 一般的な私立高校の入試は国数英の3科目であることが多い中で、難関校高校と言われる市川や渋谷幕張、昭和秀英は5科目というのが大きなポイントといえます。県立千葉を受験する生徒の多くが5科目受験の私立高校を併願しています。

本当に必要な保護者のサポートとは

--受験生の我が子を、保護者はどういったサポートをすると良いでしょうか。

 夏に限ったことではないのですが、特に勉強に関するサポートは不要と考えていただいて大丈夫です。多くの生徒にとって、初めて自分の人生を自分で切り開く経験をするのが高校入試です。親子の距離感は難しいですが、適度な距離を保って勉強面は本人を信じることが一番のサポートになります。

 保護者の方にご留意いただきたいことは、勉強できる環境を用意することです。たとえば塾や個別指導に通わせることや、参考書や教材を買うこと、健康面と食事面の配慮。説明会に一緒に行くこともサポートのひとつです。

 こと勉強面に関しては、「黒子」に徹して良いかと思います。進路先の決定の際や思うように成績が伸びない場合など、どうしても心配になることはあると思いますが、保護者が必要以上に心配してしまうことが、かえってプレッシャーになることもあります。

 また、志望校を選ぶときは、否定から入らないことも大切です。

--それはなぜでしょうか。

 たとえばお子さまがより上位の高校を受けたいと言うと、保護者が「無理ではないか」「仮に入れてもついていけないのでは」と言ってしまうケースをよく耳にします。塾としては、しっかりその生徒の現状を見て、その学校を狙えるからプッシュしているわけで、たとえ現時点では偏差値に届いていなくても、伸びることを想定できる生徒はたくさんいます。お子さんの可能性を信じてほしいですね。

 もちろん進学塾としてWebサイトなどに実績を掲載しますが、その数字のために無理に難関校受験を勧めることはありません。志望校に対して成績が届かない生徒には、保護者の方に伝えたうえで本人とも話し、進路指導を行っています。クオードの公立高校合格率の高さは、こういった適切な受験校選定もひとつの要素と考えています。そのため、お子さまが難関校を受験したいと言った場合は、親が抱える不安を伝えるのではなく、ぜひ背中を押してほしいのです。

 難関校に進学後に勉強についていけないのではないかと心配されるお気持ちもわかるのですが、高校3年間は勉強だけがすべてではありません。友人や先輩、先生など、その高校でないと得られないものがたくさんあります。そういった勉強以外の部分も含めて考えることでお子さんの可能性は広がるのではないでしょうか。

 ご心配な点やご不安がある場合には、信頼できる塾の先生に相談してみるのも大切だと思います。反抗期のお子さんであれば、塾の先生に言ってもらうとすんなりとアドバイスを聞くというケースもあると思いますので、うまく塾を使ってください。受験期を過ごす保護者さま・お子さまにとって、相談できる第三者はきっと頼りになるはずです。

--夏には模試も行われますが、模試の結果も参考にすると良いでしょうか。

 千葉県内の公立高校の入試出題形式に沿って行われる「Vもぎ」という模試があります。8月実施のVもぎが初めての模試受験、というお子さんも多いと思います。

 この時期、模試の偏差値や志望校判定は、あまり気にしなくて大丈夫です。合格者の大部分は、8月時点でC判定D判定の生徒であるというデータが出ています。むしろ8月、9月の模試でA判定やB判定が出ている場合は、志望校のレベルを上げようと話すのが我々の進路指導の方針です。ですから、8月、9月、10月でC判定やD判定だから合格できないとジャッジするのはとてももったいないと思います。

 生徒がどんな問題ができていてどんな問題で点数が取れないのかなど、現場で教えている者の手応えによって、その先どのくらい伸びそうかはある程度想定できます。そこは保護者からは見えにくい部分だと思いますので、塾と一緒にすり合わせていくのも大切です。

--最後に、受験生と保護者にメッセージをお願いします。

 人生で初めて自分の進路を切り開くきっかけになるのが高校入試です。努力したからといって必ず報われるわけではない厳しい勝負の世界ですが、一方で努力なしには絶対に結果はついてきません。

 夏休みの勉強量をしっかり確保できて、それなりに頑張ったという実感があっても、模試ですぐには結果が出ず、下を向いてしまうなどということもあると思います。学力はもちろんですが、入試にはさまざまな能力が求められます。試験という特殊な環境や時間制限に対して精神面のコントロールができるようになるには、場数を踏むことも必要です。

 模試の結果が出ると点数や偏差値、志望校の判定に目が行きがちですが、模試ではできなかった問題を解き直すことがとても大切です。知らなくてできなかったのか、知っていたけれどできなかったのか、誤答の内容を認識することが重要です。それによって勉強の仕方が変わってくるためです。

 勉強の量は自分でコントロールしやすいのですが、勉強の質を上げるためにはそういった分析力も意識して鍛える必要がありますね。塾に通っていない方も、夏だけでも塾に通い、プロに任せるのもひとつの手です。勉強の仕方の方向性を定めるのが夏休みといっても過言ではないので、頑張ってほしいです。

 保護者の方へは、やはり程良い距離感を意識していただきたいです。お子さんの頑張りがすぐに結果に反映されるとは限りません。逆に保護者からはあまり勉強してないように見えていても、思ったより点数が良いというケースもあります。

 高校入試は,決して「ゴール」ではなく、長い人生の「通過点」です。「どう通過したか」、それが大切だと思います。自分の目標に本気で向き合えたか、周りの方々のサポートを受けながらであってもつらい時でも起き上がれたか、そして、粘り強く取り組めたか。

 受験勉強を通し、ひとりひとりが人生を切り拓く礎となる姿勢と能力を身に付けることは可能ですし、また、全受験生がそうであってほしいと願っています。夏から入試期間までのおよそ7か月、長いようで短い、没頭するにはちょうど良い期間です。先生から教わるだけでなく、同じ目標を持つ仲間たちと切磋琢磨し、実りある「高校入試」としましょう。

--ありがとうございました。


 千葉県の高校入試の特徴や、勉強方法をうかがった今回の取材。「初めて自分の人生を切り開く経験をするのが高校入試」という三好先生の言葉が印象に残る。

 目標を定め計画を立てることや、生活面や精神面を自らコントロールできるようになること。模試をうまく使いながら、勉強の量だけでなく質を担保すること。その経験は高校入試にとどまらずその後にも生きる経験になりそうだ。信頼できる第三者を見つけ、志望校合格という結果を目指すことはもちろん、そこまでのプロセスも有意義なものにしてほしい。

千葉県内内房・外房エリアを中心に6校展開!
高校受験に強い進学塾「クオード」

夏期講習の詳細・申込みはこちら
《中村真帆》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top