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児童虐待を検証、0歳児の重大事例が多い傾向…東京都

 東京都は2025年12月24日、2024年度(令和6年度)東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会による報告書「児童虐待死亡ゼロを目指した支援のあり方について」を公表した。2023年度(令和5年度)中に発生した重大な児童虐待等の全10事例を分析・検証し、改善策を提言している。

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東京都において発生した重大な児童虐待等の事例
  • 東京都において発生した重大な児童虐待等の事例
  • 東京都児童虐待防止公式ホームページ「東京OSEKKAI化計画」

 東京都は2025年12月24日、2024年度(令和6年度)東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会による報告書「児童虐待死亡ゼロを目指した支援のあり方について」を公表した。2023年度(令和5年度)中に発生した重大な児童虐待等の全10事例を分析・検証し、改善策を提言している。

 児童虐待の防止等に関する法律第4条により、地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析、児童虐待防止等のための調査研究・検証を行うものとされている。東京都は、2008年(平成20年)に東京都児童福祉審議会の下に児童虐待死亡事例等検証部会を設置し、重大な児童虐待事例の検証を行っている。

 検証部会では今回、2023年度中に発生した重大な児童虐待等の事例のすべてについて、調査票による総体的な分析・検証を実施。全10事例のうち、1事例についてさらにヒアリングを行い、事例から明らかになった課題等に関して改善策を検討した。

 10事例の内訳は、「虐待による死亡事例(心中を含む)」1人、「死亡原因が虐待によるものと特定されないが、死亡に至った経過の中で虐待が疑われる事例」7人、「死亡に至らなかったが心中未遂や虐待により重度の障害に至った重篤な事例」2人。

 10事例を対象とした調査票による分析・検証結果によると、子供の年齢は0歳児が7事例で半数以上を占め、0歳児の死亡事例等が多い傾向が続いている。10事例のうち、きょうだいの児童相談所等への通告歴が4事例あり、このうち2事例は0歳児の事例だった。

 検証部会では「虐待や養育困難等できょうだいに関係機関の関与がある家庭では、新たな子供の出生によって負担やリスクが非常に高まるため、出産前から特定妊婦として支援を行い、家庭での養育が可能かどうかのアセスメントを慎重に行うべき」と提言している。

 詳細な調査・ヒアリングによる検証は、特定妊婦である母が医療機関の入院指示を拒否し、関係機関が連絡を取れないまま、1人で自宅出産していたため対象児を一時保護した1事例が対象。家庭復帰後、母から対象児の反応がないと救急要請があり、急性硬膜下血腫で一命はとりとめたが、障害が残る可能性があるとされた。

 検証部会では「特定妊婦の対応困難事例は、早い段階で関係機関が児童相談所と情報共有を行い、連携して母子の安全を確保する必要がある」「行政機関に対して拒否的で、自ら困りごとを相談しない保護者に対しては、ニーズを汲み取り、個別の状況にあわせた、きめ細かなアプローチ方法を検討するなどして、信頼関係を構築していくことが必要」などと提言している。

 提言書では、関係機関に向けて、養育に不安のある家庭の0歳児死亡等リスクをあらためて注意喚起。児童相談所や子供家庭支援センターへの通告数が増加し、現場業務が逼迫しているとして、東京都に対して業務量の増加等を踏まえ、実態にあった体制整備を進めることも求めている。

《奥山直美》

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