【中学受験の塾選び】首都圏人気塾の合格力(2011年度版)

 新年度に入り、各進学塾の2011年度の合格実績も出そろってきた。そこで、首都圏で人気の5つの進学塾について、難関校・上位校の合格実績を比較し、それぞれの合格力を見ていく。

教育・受験 受験
表1:学校別・塾別合格人数(2011年度)
  • 表1:学校別・塾別合格人数(2011年度)
  • 表2:学校別・塾別合格率(2011年度)
  • 表3:難関上位校別・塾別合格率(2011年度)
  • 表4:学校別・塾別合格人数の前年との比較(2011年度)
 新年度に入り、各進学塾の2011年度の合格実績も出そろってきた。そこで、首都圏で人気の5つの進学塾「日能研、SAPIX(サピックス)、四谷大塚、早稲田アカデミー、希(のぞみ)学園」について、難関校・上位校の合格実績を比較し、それぞれの合格力を見ていく。

 合格実績の比較に取り上げる中学校は次のとおり。難関校として、男子校の「開成・麻布・武蔵・慶應義塾普通部・栄光学園・聖光学院・筑波大学附属駒場」、女子校の「桜蔭学園・女子学院・雙葉・豊島岡女子学園・フェリス女学院」、共学校の「慶應義塾中等部・早稲田実業・渋谷教育学園幕張」、そして上位校として、男子校の「攻玉社・巣鴨学園・城北・世田谷学園・逗子開成・鎌倉学園・明大中野」、女子高の「鴎友学園・学習院女子・光塩女子学院・横浜雙葉学園・横浜共立学園」、共学校の「法政大中・中央大附属・森村学園」の計30校だ(※)。

 今回の調査では、対象塾が必ずしも首都圏全域で展開している塾ばかりでないため、広い地域から受験生が集まる人気校という条件で、リセマムが独自にピックアップした。

 表1は、30校の2011年度の合格実績を示す。定員は、東京・神奈川・千葉の各自治体の発表資料、および学校の募集要項を参考にした(※)。また、各塾の合格人数の定義は、塾生をどの範囲まで含めるか、また重複合格者をどうカウントするか等によって異なる場合があるが、ここでは各塾が公表している数値をそのまま使用している(※)。

 表1の太字は、当該中学校への最多合格数を獲得した塾を示す。難関校計の最多はSAPIX、上位校計の最多が日能研という点は、前年と同じ。昨年からの違いとしては、昨年は攻玉社、学習院女子の最多は日能研であったが、それぞれSAPIX、SAPIXおよび四谷大塚(両塾同数)に変わった。

 表2は、表1のそれぞれの合格人数を各学校の定員数で割り、学校別・塾別の合格率として計算した結果である(合格者数が定員より多い学校もあるため100を超える場合もある)。塾別の傾向としては、SAPIXが17校で最高値を獲得。次いで日能研の8校、四谷大塚の5校と続き、早稲田アカデミーは、今年も早稲田実業で最高値を取っており、こうした傾向は前年と変わらない。

 合格率について学校別に見ていくと、少しずつ変化が見られる。まず難関校のうち、開成、麻布、栄光学園、筑波大学附属駒場、雙葉は、いずれもSAPIXが最高値を獲得しているが、その割合が他塾に比べて前年よりアップしており、よりSAPIXが強い傾向が出ている。武蔵は、日能研と四谷大塚でアップし、逆にSAPIXと早稲田アカデミーでダウンしている。早稲田実業は、早稲田アカデミーの優勢は変わらないものの、日能研、SAPIX、四谷大塚でもアップしている。渋谷教育学園幕張は唯一、5塾すべてで合格率がアップしている。

 上位校は、四谷大塚の躍進が目立ち、城北、明大中野、鴎友、法政大中、中央大附属、森村学園で割合がアップしている。攻玉社は、SAPIXが大きくアップし、鴎友は早稲田アカデミーのアップが大きい。巣鴨は、日能研と希学園でアップし、SAPIX、四谷大塚、早稲田アカデミーではダウンしている。学習院女子は、昨年トップであった日能研が大きくダウンし、残る4塾でアップしている。

 表3は、表2の30校を難関校と上位校に分類して計算した結果である。難関校は、男子・女子・共学のすべてにおいてSAPIXが最多で、上位校は、男子が日能研、女子がSAPIX、共学が四谷大塚と、前年と変わらない。しかし、日能研は、難関の男子・女子および上位・女子でその割合を前年よりダウンさせている。一方、SAPIXは上位の共学でダウンしている以外はすべてアップ、早稲田アカデミーも、上位・男子を除いてアップしている。四谷大塚は、難関・上位ともに共学でのアップが目立つ。

 表4は、各塾の前年からの増減数をまとめた。増減から見ても、やはりSAPIXの合格人数が最多で、難関・上位のすべてで増加している。四谷大塚、早稲田アカデミー、希学園も善戦しており、特に早稲田アカデミーは難関の合格人数がSAPIXに次いで多くなっている。一方、今年苦戦したのが、日能研だ。難関の男子および上位の女子での減少が目立つ。難関の男子については、筑波大付属駒場が前年と同数だったものの、開成・麻布・慶應義塾普通部・聖光学院での減少が響いたようだ。このあたり、日能研が来年度はどう対策してくるか、注目されるところだ。

 なお、SAPIX、早稲田アカデミー、希学園は塾生数を公表しており、それぞれ4,599人(前年4,496人)、3,850人(前年3,800人)、179人(前年155人)。これをもとに、塾生数に占める難関上位校の合格率を計算すると、SAPIXが68%(前年64%)、早稲田アカデミーが39%(前年36%)、希学園が76%(前年66%)となり、塾生に対する難関上位校の合格率は、希学園のほうがSAPIXより高く、また前年から10%と大きくアップしている。

※学校の選択について:難関校・上位校は比較のためにリセマムが独自にピックアップしたものであり、公式に定義されているものではありません。
※学校の定員について:2011年度の募集人数をもとに算出しています。また、発表されている帰国生の数を含みます。詳しい内訳および2012年度の募集人員等については各学校にお問合せください。
※塾の合格実績について:それぞれのWebサイト(一部メール取材)から得た2011年4月27日現在の情報です。最新の情報については各塾にお問合せください。
《柏木由美子》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top