知って防ごう熱中症…学校で起きる熱中症死亡事故の7割以上が肥満傾向の人

 日本スポーツ振興センターは、熱中症予防のための啓発資料「熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-」をホームページで掲載している。ここではとくに、学校で起きる熱中症について取り上げている。

生活・健康 健康
熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-
  • 熱中症を予防しよう-知って防ごう熱中症-
  • 熱中症予防のための運動指針
  • 場合別・スポーツ種目別発生傾向(昭和50年~平成22年)
  • 部活動以外の学校行事別発生傾向(昭和50年~平成22年)
  • 学年・性別発生傾向(昭和50年~平成22年)
  • 月別発生傾向(昭和50年~平成22年)
 日本スポーツ振興センターは、熱中症予防のための啓発資料「熱中症を予防しよう‐知って防ごう熱中症‐」をホームページで掲載している。ここではとくに、学校で起きる熱中症について取り上げている。

 熱中症とは、熱に中る(あたる)という意味で、暑熱環境によって生じる障害の総称。熱中症にはいくつかの病型があるが、重症な病型である熱射病を起こすと、適切な措置が遅れた場合、高体温から多臓器不全を併発し、死亡率が高くなるという。熱中症について正しく理解し、予防することが大切だ。

 熱中症は、「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」の大きく3つに分けられる。熱射病が一番深刻で、脱水が背景にあることが多く、全身の多臓器障害を合併し、死亡率が高い。

 熱中症が起こりやすいのは、急に気温が上昇した時やそれほど気温が高くなくても湿度が高い時。また、肥満傾向の人、体力の低い人、暑さに慣れていない人、体調の悪い人は熱中症を起こしやすい。特に、学校で起きる熱中症死亡事故は、7割以上が肥満傾向の人に起きている。

 学校で起きる熱中症死亡事故は、ほとんどが体育・スポーツ活動によるもので、それほど高くない気温(25~30度)でも湿度が高い場合に発生している。暑い中では、体力の消耗が激しく、トレーニングの質も低下し、効果も上がらない。熱中症予防のための運動方法、水分補給等を工夫することは、事故防止の観点だけでなく、効果的なトレーニングという点においても大変重要という。

 1975~2010年に学校で起きた熱中症死亡事故事例について、種目別、部活動以外の学校行事別、学年・性別、月別に次のような発生傾向がある。

 種目別にみると、「野球」(35件)、「ラグビー」(15件)、「柔道」(14件)、「サッカー」(13件)、「剣道」(10件)の順に多い。屋外で行うスポーツに多く発生してるが、屋内の防具や厚手の衣服を着用しているスポーツでも多く発生している。

 部活動以外の学校行事別にみると、「登山」(8件)、「マラソン」(4件)、「長距離徒歩」(3件)、「遠足」(2件)の順に多く、とくに長時間にわたって行うスポーツ活動に多く熱中症死亡事故が発生している。

 学年・性別にみると、高等学校1年、2年、性別では、男性が圧倒的(92.6%)に多く発生している。

 月別にみると、梅雨明けの急に気温が上がる頃に多く発生している。夏以外でも、長時間にわたって運動を伴う学校行事等で発生している。

 熱中症の予防策として、こまめに休憩をとり水分補給をすることが大切で、暑い時にはできるだけ薄着にし、直射日光は帽子で避ける、肥満など暑さに弱い人には特に注意が必要という。

 また同センターのホームページでは、教育委員会や学校に配布した熱中症予防のための啓発資料をPDF形式でダウンロード提供している。
《工藤めぐみ》

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