【EDIX2014】CoNETSでデジタル教科書模擬授業、他教科との連携

5月21日に開幕した教育ITソリューションEXPO(EDIX)では、模擬授業を実施するブースが目立つ。ハードウェアを前面に押し出す展示から、より具体的に実践に沿った提案へとシフトしてきている。

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CoNETSでの模擬授業のようす
  • CoNETSでの模擬授業のようす
  • 大日本図書の理科の教科書
  • 理科「豆電球にあかりをつけよう」。このページを電子黒板とiPadに表示する
  • 学習者用のiPadに該当ページを表示
  • 国語で説明の単元を振り返る
  • 指導者からのプリント配布(送信)を待つ
  • 学習者の解答を電子黒板に一覧し共有する
  • 一人の学習者の画面が拡大表示され、説明する
 5月21日に開幕した教育ITソリューションEXPO(EDIX)では、模擬授業を実施するブースが目立つ。ハードウェアを前面に押し出す展示から、より具体的に実践に沿った提案へとシフトしてきている。

 次世代デジタル教科書の共通プラットフォーム開発を目的に2013年9月に発足されたコンソーシアム「CoNETS(コネッツ)」は、1日5コマの体験型模擬授業を実施している。

 CoNETSには、教科書会社12社(大日本図書、実教出版、開隆堂出版、三省堂、教育芸術社、光村図書出版、帝国書院、大修館書店、新興出版社啓林館、山川出版社、数研出版、日本文教出版)と日立ソリューションズが参画。これまで教科ごとに異なっていたデジタル教科書の操作性を共通化し、指導者用、学習者用ともに各々の端末にとっての最適なデザインを目指している。

 初日の21日に行われた、家庭科、国語、社会、算数、理科の授業のうち、5時間目の3年生の理科「豆電球にあかりをつけよう」を体験した。授業は電子黒板と1人1台のタブレットの構成で、大日本図書のデジタル教科書、日立ソリューションズの電子黒板・授業支援システム「Student Tablet Software」、そして学習者端末としてiPadが使用された。

 授業は「(1)電気によってあかりをつける道具を探し、各自iPadに記入」「(2)学習者の解答を電子黒板に送信し、一覧表示して共有」「(3)学習者が説明する」という順で進められた。

 学習者はiPadには電子黒板と同じ教科書を表示し、説明を受けたうえで、指導者より配布(送信)されたプリント(記入用画面)に記入、記入が済んだら「送信」ボタンをタップして提出する。すると電子黒板につぎつぎと解答が一覧形式で映し出される。発言や解答が一部の児童生徒に限られることがなく、また紙のプリントを回収して板書するなどの時間も短縮される。提出(送信)しない学習者の解答を強制的に回収(電子黒板に映し出す)することもできるという。

 学習者による説明は、既習の「説明」に関する国語の単元を振り返ったうえで行われた。他教科との連携がシームレスに行えることも、デジタル教科書ならではの特長だ。

 続いて、豆電球と乾電池を導線付きソケットでつないであかりをつける実験が行われ、子どもたちの学習では、こうした手を使った従来の手法も大切だと説明された。実験後のつなぎ方の確認ではデジタル教科書に戻り、「なぜついたのか? つかなかったのか?」との問いかけから回路の学習へと展開するという。

 模擬授業では、デジタル教科書・教材の文中の一部をマスクで隠し、穴埋め問題を作成したり、独自の写真データを貼り付けて児童生徒の興味関心を高めるといった自由度の高い活用ができることも紹介された。

 「拡大機能を使って注目させたい部分を提示する」「書き込み機能を使って重要な部分を明示する」といった従来からの電子黒板の機能に加え、「リンク機能を使って振り返り学習に活用(国語との連携)する」機能が使われたこの授業では、日常の授業風景をイメージすることができた。自由度の高い教材はアイデア次第で可能性が広がる一方で、指導者の力量が問われる部分になりそうだ。しかしそうしたナレッジの共有が効果的に行えるのも、ICTの特長ではないだろうか。

 CoNETSブースでは、22日に社会、地理、家庭、算数、音楽、23日には理科、算数、音楽、国語、地理の模擬授業が行われる予定だ。
《田村麻里子》

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