理系院生の4割「大学院進学当たり前」、文系院生の3割「生活苦しい」

 理系大学院生の4人に1人が、大学入学前に大学院進学を決めていることが、全国院生生活実態調査の結果からわかった。「大学院進学が当たり前だと思った」という回答も4割を超え、修士課程を含め「大学6年間」ととらえる考えが浸透しつつあるようだ。

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 理系大学院生の4人に1人が、大学入学前に大学院進学を決めていることが、全国院生生活実態調査の結果からわかった。「大学院進学が当たり前だと思った」という回答も4割を超え、修士課程を含め「大学6年間」ととらえる考えが浸透しつつあるようだ。

 全国大学生活協同組合連合会が3年に1度実施している実態調査。2013年10~11月、全国の国公私立大学に在籍する修士課程(博士課程前期)、博士課程(博士課程後期)、専門職学位課程の大学院生を対象にWebで実施し、4,114人から回答を得た。

 大学院修士課程への進学は、21.7%が「大学入学前から決めていた」と回答。2004年の調査開始以来、もっとも高い割合を示した。文系12.1%に対し、理系は25.2%と、文理で2倍以上の開きがあった。大学院進学を決めた時期でも、文系は4年(30.7%)、理系は3年(37.5%)がもっとも多く、差がみられた。

 大学院に進学した動機では、全体では「専門知識を身につけたかった」(71.1%)が最多で、「興味を深めたかった」(54.7%)と続いた。項目別では、文系は「資格を取るため」(文系34.1%、理系3.7%)、理系は「就職に有利」(文系9.0%、理系47.2%)、「進学が当たり前だと思った」(文系8.3%、理系41.9%)が多く、文理で大きな差が出た。

 一方、経済生活については、奨学金の受給率は50.2%(自宅41.2%、自宅外57.7%)。3年前の前回調査時より、自宅生は0.2ポイント減、自宅外生は3.1ポイント増となった。

 学費の負担者は、「親」が70.4%(自宅66.1%、自宅外74.1%)を占め、「本人」20.3%(自宅25.4%、自宅外15.9%)、「奨学金」12.6%(自宅14.8%、自宅外10.8%)だった。「免除」は前回調査時より減少傾向にあり、学費の負担は「親」に集中する傾向にあった。

 また、理系よりも文系の方が、本人負担が大きい傾向にもあった。「本人」は理系15.5%に対して文系29.1%、「親」は理系75.1%に対して文系62.4%だった。

 現在の暮らし向きについて、「楽な方」と回答した大学院生は38.6%。学部生の53.6%との違いも鮮明となった。暮らし向きの感じ方には文理の差もみられ、「楽な方」は理系42.1%に対して文系30.9%、「苦しい方」は理系21.6%に対して文系32.3%。「暮らしが苦しい」と感じる大学院生は、理系より文系に多い実態が明らかになった。

 このほか、「書籍購入費」は理系より文系が多く、「趣味・娯楽費」は文系より理系が多かった。研究費の自己負担額でも、「書籍代」「学会のための費用」「調査費用」のいずれも文系が理系を大きく上回った。実験などが多い理系に対し、文系は論文調査が多いという研究活動の違いに加え、理系は研究費を大学が負担する場合が多いことも影響しているという。
《奥山直美》

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