ノロウイルスから身を守る! リケジョが語る「K Blanche」開発秘話

 ノロウイルスが猛威を振るう季節。日本で初めてノロウイルスに効果があるという、キユーピーが開発したキッチン用アルコール除菌スプレー「K Blanche(ケイブランシュ)」に注目です。この開発に携わった3人の“リケジョ”たちに、開発に至るまでの道のりを聞きました。

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ノロウイルスから身を守る!K Blanche(ケイブランシュ)開発メンバー3人のリケジョに話を聞きました。左から石川さん、仲沢さん、杉坂さん。
  • ノロウイルスから身を守る!K Blanche(ケイブランシュ)開発メンバー3人のリケジョに話を聞きました。左から石川さん、仲沢さん、杉坂さん。
  • ファインケミカル本部 営業部 企画課の杉坂亜里沙さん。東京理科大学 薬学部出身。入社8年目。
  • 研究開発本部 技術研究所 機能素材研究部の仲沢萌美さん。東京海洋大学 海洋科学部出身。入社2年目。
  • 研究開発本部 技術研究所 機能素材研究部の石川翔子さん。東京大学 理学部出身。入社13年目。
 ノロウイルスが猛威を振るう季節。抵抗力の弱い子どもや、高齢者のいるご家庭、そして、この冬入試を控えている受験生をウイルスから守りたい…。そんな思いを込め、キユーピーが開発したキッチン用アルコール除菌スプレー「K Blanche(ケイブランシュ)」。この開発に携わった3人の理系女子、いわゆる「リケジョ」たちに、開発に至るまでの道のりを聞きました。

◆100%食品由来、ノロウイルスにも効果大

 「K Blanche(ケイブランシュ)」とは、キユーピーが2016年10月に発売したアルコール除菌スプレー。100%食品由来の成分で作られているため、キッチンや食卓はもちろん、食器をはじめ、口に触れるものにも直接吹きかけて使用できる点が特徴です。

 ノロウイルスは、激しい嘔吐、下痢を引き起こす「感染性胃腸炎」原因物質の一種。抵抗力の弱い子どもや高齢者が感染すると重篤化することもあるといいます。ケイブランシュは、そんなノロウイルスを効果的に除去することのできる“日本初、卵生まれの除菌剤”。これからの流行が心配なノロウイルスにも十分な効果が期待でき、受験生をお持ちの家庭には強い味方となりそうです。

 今回お話を聞いたのは、キユーピーファインケミカル本部営業部企画課の杉坂亜里沙さん、研究開発本部技術研究所機能素材研究部の石川翔子さん、同研究部の仲沢萌美さんの3名。早速、開発秘話やみなさんの研究に迫ってみましょう。

◆秘密はキユーピーの専門「卵」にあり

--まず、ケイブランシュの特徴を教えてください。

杉坂さん:ケイブランシュは、キユーピーが独自の技術で開発した、卵由来の抗ウイルス成分「ノロクリアプロテイン」を配合した除菌剤です。

石川さん:さっとひと吹きすると、わずか5秒でウイルス・細菌を除去できます(※)。用途としては、包丁やまな板といった調理器具や食器、食卓などの消毒に使っていただけます。食品由来なので、手に触れるものにも、口に入るものにも安心して使っていただけます。
※編集部注:キユーピー調べ。すべてのウイルス・細菌に該当するわけではない

--すごいですね!どんなウイルスを除去できるのですか?

仲沢さん:ノロウイルスについては、2015年に発見された新型を含めて代表的な型に効果があることを確認しています。また、最近の研究ではA型肝炎ウイルスにも効果があることがわかってまいりました。

--成分が卵由来ということですが、なぜ卵から抽出されたのですか?

杉坂さん:キユーピーで製造しているマヨネーズは卵黄を主原料としています。実は、国内で生産される卵の約1割をキユーピーグループで使っているのです。卵をたくさん扱う会社として、卵黄以外の卵白や卵の殻、殻の内側の薄い膜も廃棄せず、さまざまなものに活用しています。30年以上にわたり、卵に含まれる成分のあらゆる可能性について研究してきており、その一環で今回の成分「ノロクリアプロテイン」が生まれました。

 卵のことを私たちは「生命の源」と呼んでいるのですが、卵にはヒナの誕生に必要なすべての成分が含まれています。「ノロクリアプロテイン」は、外部から侵入する雑菌から卵黄を守る酵素である「卵白リゾチーム」がもとになっています。

◆2年の歳月をかけて商品化 スタイリッシュなパッケージが斬新

--ケイブランシュの開発プロジェクトは、どのように始まったのでしょうか。

仲沢さん:2014年に「加熱変性させたリゾチームに新たな抗菌作用があるらしい」という論文が発表され、ウイルスにも効くのではないか、今一番問題になっているノロウイルスにも効くかどうか調べようということから、研究が始まりました。

--開発に至るまで、大変だったことはありますか。

石川さん:ウイルスや細菌は“生き物”なので、同じ実験をしても毎回同じ結果が出なかったり、思ったように培養できなかったり…。なかなか思い通りにならない。動物を飼っているようなもので、世話が焼けたことですね。

仲沢さん:キユーピーでは同じ建物内で食品の開発をしていることから、社内にノロウイルスを入れるわけにはいきません。そのため研究は外部の大学と共同し、東京海洋大学の研究室で行いました。また、実験をしている私たちがノロウイルスに感染してはいけないので、気をつけていましたね。

杉坂さん:研究の結果、ある条件で加熱変性させたリゾチームにノロウイルス除去に効果があることはわかったのですが、日常で使いやすい性状・品質を追求するため、商品化までには試行錯誤を繰り返しました。

--開発にはどのくらいかかったのでしょうか。

石川さん:業務用の商品ができるまでに約1年、その後さらに1年かけて、一般消費者向けの商品としてケイブランシュが完成しました。

--パッケージがスタイリッシュですよね。ほかの除菌剤のイメージとはずいぶん違いますね。

杉坂さん:マーケティング調査から、台所を預かる主婦の方々は「菌」とか「ウイルス」をイメージさせるパッケージを、キッチンの目に見えるところに置きたがらないことがわかりました。ケイブランシュは常に手が届くところに置いて使っていただきたいので、白く清潔なキッチンに置いても違和感のないようデザインしました。卵をイメージさせる模様は卵由来ということを表しています。

 商品名も、あえて「ノロ」とか「除菌」という言葉を使いませんでした。ケイブランシュの「ケイ」は「Kitchen」のK、「ブランシュ」はフランス語で「白」、つまり「白い(清潔な)キッチン」を意味しています。
《石井栄子》

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