どこにする?はじめての留学…ニュージーランドの魅力を徹底解剖【NZ留学事情】

 親子の留学検討リスト作成に備え、今回は日本からの留学生誘致に注力しているニュージーランドの国家基本データや都市特徴、留学事情を紹介しよう。日本と同じ四季を持ち、親日家も多いとされ、初めての留学先として定評がある。

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Education New Zealand(エデュケーション・ニュージランド)最高責任者のGrant McPherson(グラント・マクファーソン)氏
  • Education New Zealand(エデュケーション・ニュージランド)最高責任者のGrant McPherson(グラント・マクファーソン)氏
  • ニュージーランドの教育システム 日本の教育制度との対応を表す 画像作成:Education New Zealand
  • 日本語版「留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)」1ページ
  • 日本語版「留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)」2ページ
  • 日本語版「留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)」3ページ
  • 日本語版「留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)」4ページ
  • 日本語版「留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)」5ページ
  • 日本語版「留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)」6ページ
 4月から新生活を迎える新小中高生、大学生。中学生以上ともなれば、新しい挑戦に胸をふくらませ、学校の交換留学制度や長期休暇を利用した個人留学に興味を持つ時期かもしれない。

 留学にひかれたとき、もっとも重要な検討事項は「国と地域」。目的や期間に合わせ選ぶのもよし、憧れや先輩の体験談を基準に選ぶのもよし。安全性や清潔性、留学生比率なども、学校の先生や保護者と一緒に調査し、熟考するとよいだろう。

 親子の留学検討リスト作成に備え、今回は日本からの留学生誘致に注力しているニュージーランドを紹介しよう。日本と同じ四季を持ち、親日家も多いとされ、初めての留学先として定評がある。

◆日本人留学生は第3位、体系化された資格取得

 ニュージーランド教育省によると、ニュージーランドへの留学生数は2013年以降上昇しており、2015年には12万4,366人が留学した。そのうち、2014年時点での日本人留学生数は1万489人にのぼり、留学生全体に占める割合は中国29.1%、インド15.8%に続く、8.2%にあたる。

 ニュージーランド大使館 エデュケーション・ニュージーランド駐日代表の北岡美佐子氏によると、留学生の派遣先としては、英語学校に続き、近年は中学校・高等学校への留学者数が急増しているとのことだ。安全性と教育の質の高いニュージーランドは、留学先としての人気が高まっている。

 なお、ニュージーランドの高等教育機関では、総合大学のほか、職業訓練にフォーカスし、学士、修士、博士号までの資格取得も可能な「工科大学・ポリテクニック(Institute of Technology and Polytechnic)」にも注目が集まっている。「ワイン醸造学」や「観光学・ホスピタリティー」といったニュージーランドならではの専門分野・学問が門戸を開いている点から、今後ますますの留学生増に期待がかかる。

◆保護者も納得、日本人留学生に適う4つの理由

 英語を学ぶことだけが目的なら、隣国のオーストラリアや人気留学先のカナダ、アメリカ、イギリスも有力な留学候補国にあがるだろう。では、ニュージーランドを留学先に選ぶのに、特筆すべき点とは何か。4つにしぼり、紹介する。

1、教育の質の高さ

 教育の質を保証するため、ニュージーランドは教育機関の種類に応じた監査機関を設けている。初等教育から中等教育はERO(Education Review Office)、総合大学以外の高等教育はNZQA(New Zealand Qualifications Authority:ニュージーランド資格庁)、総合大学はUNZ(Universities New Zealand)が担当し、教育プログラムの品質管理の検査、保証を行っている。また、ニュージーランド国内でもっとも歴史的な語学学校グループ団体「English New Zealand」役員のTim Mahren Brown(ティム・ブラウン)氏によると、同団体の加盟語学学校は、留学生に向けた学習プログラムの質を担保するため、必ず同団体からの監査を義務付けている。定期監査や抜き打ち調査により、留学生に対する教育の質を向上、維持させる仕組みが働いているようだ。

 初等中等高等教育機関への留学促進、世界各国の教育機関との連携促進、広報活動を担当する独立政府機関「Education New Zealand(エデュケーション・ニュージランド)」最高責任者のGrant McPherson(グラント・マクファーソン)氏は、ニュージーランドの教育の質には自信があると語る。

 ニュージーランド政府は世界に先駆けて「留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)※画像参照」を設けており、留学生を受け入れる全教育機関はすべて、これに遵守、登録するよう義務付けている。ニュージーランド国内には約2,500校の小中高校が存在するが、そのうち服務規程に登録している学校は約500校あり、留学生の福利厚生を徹底管理している。政府の管理が行き届く配慮体制は、人口が約480万人(2017年4月25日現在)、つまり日本の4%という、小さな島国だからこその利点だろう。

 「留学生の生活保障に関する服務規程」が示す内容は、留学生オリエンテーション、宿泊設備、学生サポートやアドバイス、留学生からの苦情に関する対応方法など、細かに設定されている。McPherson氏によると、服務規程は「留学生が幸せかつ健全に教育を受けられるよう」策定されたもの。留学生が国家をあげた手厚いサポートに守られるのは、ニュージーランド留学ならではの特権。なお、服務規程は日本語版も公開されているため、詳細が気になる場合は一度、目を通してみるとよいだろう。

2、安全・清潔な環境の良さ

 イギリスの経済誌「Economist(エコノミスト)」が毎年発表している世界平和指数(Global Peace Index)のうち、2016年ランキングにおけるニュージーランドの平和指数スコアは1.287。これは1位のアイスランド1.192、デンマーク1.246、オーストリア1.278に続く第4位の数字で、第9位の日本1.395ポイントよりも高い。ニュージーランドファンからは「南半球の北欧」と称されるだけに、犯罪率が比較的低いこと、風土病や伝染病の恐れが少ないこと、そして医療水準が高い点は、子どもを送り出す保護者からすると十分、及第点に値するだろう。基幹産業1位が農産業であることから、しばしば「厳しい」と噂される食品に関する入国審査が示す通り、衛生面への国民的な意識水準も高い。

3、自然・スポーツ・観光…学びだけじゃない豊かな生活環境

 「北島(North Island)」と「南島(South Island)」に分かれ、地域や都市によって異なる特色を持つニュージーランド。総人口約480万人(2017年4月25日現在)のうち約7割が北島に集中し、オークランドやロトルア、ウェリントンといった都会の町並みを形成する一方、南島には氷河が集中するサザンアルプスやフィヨルドが美しいミルフォードサウンドの景観など、自然観光資源が豊富。国民的スポーツであるラグビーを始め、ネットボールやクリケット、サーフィンに老若男女が親しんでおり、音楽や芸術、コーヒー文化など異国ならではの文化的体験もお手の物だ。ニュージーランドの代名詞とも言える「羊」との出会いや満天の星、マオリ文化に触れる機会など、子どもの五感を刺激する生活環境が整っている。

4、留学生を受け入れるフレンドリーな国民性

 McPherson氏によると、ニュージーランドが国家として初めて受け入れた国際留学生は、日本からの学生だった。McPherson氏はニュージーランドの国民性を「留学生を受け入れる気持ちのある」寛容な国とし、古くから関係のある日本人に親和性が高い国民が多いと説く。現に、旅行中やホテル滞在中にトラブルにあい、立ちすくんでいると、気さくに声をかけてくれる"Kiwi(キウィ、ニュージーランド人の愛称)"が多いのも特徴の一つだろう。公用語が英語とマオリ語であることからも、移民国家でありながら自分と異なる人種や文化を尊重し、理解し合う土壌が育まれていることがわかる。

 次回は個性豊かなニュージーランドの各都市を紹介する。エリアによって性質や留学生人数・国籍が異なるため、在学校の留学担当や留学エージェント、Webサイトで情報を収拾し、納得のいく留学先探しをしてほしい。

(協力:ニュージーランド大使館 エデュケーション・ニュージーランド、ニュージーランド航空)
《佐藤亜希》

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