【NEE2017】近未来の理科室に大人もワクワク…イカ解剖模型からロボットまで

 6月1日から3日まで、東京ファッションタウンビル(東京都江東区)にて「第22回 New Education Expo 2017 in 東京」(NEE)が開催された。会場では約140社が最新のICT教育機器や教材などを展示した。

教育ICT 先生
人体解剖模型とイカ解剖模型(ウチダ)
  • 人体解剖模型とイカ解剖模型(ウチダ)
  • イカ解剖模型(ウチダ)はファスナー式
  • 専用のタブレット付き顕微鏡ラインアップ(ウチダ)
  • 3Dプリンター(ムトウ)
  • 3Dプリンター(ムトウ)で作成した作品、動くものも作ることができる
  • 3Dプリンター(ムトウ)で作成した作品、動くものも作ることができる
  • 英語を学べるお友達ロボットMusio X(ソフトバンク コマース&サービス)
  • Makeblock公式mBot(ソフトバンク コマース&サービス)
 6月1日から3日まで、東京ファッションタウンビル(東京都江東区)にて「第22回 New Education Expo 2017 in 東京」(NEE)が開催された。会場では約140社が最新のICT教育機器や教材などを展示した。

 会場内では、2020年より小学校で必修となるプログラミング教育に向けたロボットを用いたプログラミング教材や3Dプリンターが目を引いた。「未来の理科室」では、小中学生時代の記憶がよみがえる教材が並び、大人も久しぶりに使ってみたくなる、より進化したものが数多く展示されていた。近い未来の教室にあることを想像しワクワクしたものを紹介する。

◆どこかロボットのように見える顕微鏡

専用のタブレット付き顕微鏡ラインアップ(ウチダ)
タブレット付きの顕微鏡はグループでの観察に便利そうだ

 毎年注目を集めているデジタル顕微鏡は、どこかロボットのように見えるモニター付きのタイプがズラリと並んだ。無線で大型テレビに投映することで、顕微鏡観察をグループで行うことができる。理科において観察・実験を通じて課題を探究する学習が求められる次期学習指導要領に向けて、鮮明に見えるなどの精巧さに加え、タブレットやモニターと接続しグループ学習を可能にしたタイプが次世代のスタンダードだと感じられた。

◆哺乳類と頭足類を比較

人体解剖模型とイカ解剖模型(ウチダ)
哺乳類と頭足類の解剖模型が並んで展示されているようす

 今も昔も理科室の定番といえば骸骨と人体解剖模型。夕暮れ時に薄暗い教室で見かけるのが少し怖いが、どうしても目に入り見逃さずにはいられないのは、自分の見たくない部分を見られているようなリアルさからだろうか。リアルな人体解剖模型は哺乳類のものだが、そのすぐ隣に並んで目を引いたのが軟体動物の頭足類、イカの解剖模型だ。人体とは異なりプラスティックではないフェルト素材で作られておりソフトなイメージだ。

イカ解剖模型(ウチダ)はファスナー式
ファスナータイプで収納も安心・安全

 ファスナーをあけると内臓が入っているというところが着ぐるみのようで微笑ましい。人体とイカを比較すると体のつくりの違いや、生物の多様性を学ぶことができそうだ。

◆3Dモデルをつくる→動作をプログラミング→そして3Dプリンターで出力

3Dプリンター(ムトウ)
思いどおりの形が作られるようすの楽しい3Dプリンター

 3Dプリンターでものが作られるまでの一連の流れを展示していた武藤工業の展示では、実際に3Dプリンターが作動し、ひも状のプラスティックが流れ、形が作られていくようすがわかりやすく紹介されていた。ドロドロのプラスティックが上から流れていくように見えるが、実際は固いプラスティックが糸巻きのように巻かれ、形を作る部品に投入されていく。形を作る直前の部品が高温になっており、そこで一気に溶かして形を作り、直ぐに冷却装置で固めているのだという。

3Dプリンター(ムトウ)で作成した作品、動くものも作ることができる
部品ごとに作り、後から組み立てるのではなく、一気に3Dモデルから可動式のものを作ることができる

3Dプリンター(ムトウ)で作成した作品、動くものも作ることができる
細部のデザインも再現

 できあがった作品のサンプルを見ると、細かいパーツやネジも内蔵された状態で出力され、動くものとして完成している作品があり、その精巧さに驚かされた。

◆英語を学べるお友達ロボットMusio X

英語を学べるお友達ロボットMusio X(ソフトバンク コマース&サービス)
AI搭載のMusio Xは真っ白でやわらかいフォルムが可愛いらしい

 ソフトバンクコマース&サービスの展示コーナーで目を引いたのは、真っ白でつるりとした形が可愛いMusio Xだ。Hello!と声をかけると、目が覚めて青く輝いた。AI搭載の英語を学べるお友達ロボットとして発売中のMusio Xが話せるのは英語のみ。映画に登場するロボットが話すように、機械と人間の中間のような声で流暢な英語を話す。すでに実験的に導入されている小学校があるというMusio X。実質的には2018年から本格化する小学校の英語教育では、ロボットがクラスの一員として日常的に子どもたちと学び合うのかもしれない。

◆楽しいロボットプログラミングmbot(エムボット)

Makeblock公式mBot(ソフトバンク コマース&サービス)
ロボットプログラミングを楽しめるmBot。近い将来、子どもたちは書道道具のようにロボットの注文用紙を持って帰るのかも?

 同じくソフトバンクコマース&サービスの「mBot」は、Scratch2.0をもとに開発されたビジュアルプログラミングソフトウェアのmBlockでプログラミングするロボットだ。mBotは8歳以上対象、mBot Rangerは12歳以上、Ultimate 2.0は15歳以上と年齢に合わせて商品展開されている。絵の具セットや書道道具セットを備えるように、子どもたちがロボット教材の申込用紙を学校から持ち帰ってくる日はもうすぐなのだろうか。

 ワクワクするような教材を用いて、個人個人の思考が刺激される授業が期待できるラインアップだった。楽しい時間を過ごした結果が学びとなり、子どもたちの未来への糧となって育まれていくのだろう。子どもに戻って今の時代の小学生からやり直したい、そんな風に感じずにはいられない「楽しさ」にあふれたNew Education Expo 2017 in 東京だった。
《田口さとみ》

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