【EDIX2017】関西で高まるICT・STEM教育熱、5ブースレポート

 2017年11月15日~17日の3日間、第1回「関西 教育ITソリューションEXPO(EDIX関西)」が大阪府大阪市のインテックス大阪で開催中。西日本地区の大学、教育委員会、小中高校、塾・予備校、専門学校の教職員や関係者など、3日間で2万人の来場を見込む。

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ワオ・コーポレーションのプログラミング教材
  • ワオ・コーポレーションのプログラミング教材
  • ワオ・コーポレーションのプログラミング教材
  • 凸版印刷の「やるkey」
  • すららネットのアニメーションを使った学習システム
  • ソリトンシステムズの展示ブース
  • バッファローの学校向け無線LAN製品
  • バッファローの展示ブース
  • ヒューマンアカデミーのプログラミング教材
 2017年11月15日~17日の3日間、第1回「関西 教育ITソリューションEXPO(EDIX関西)」が大阪府大阪市のインテックス大阪で開催中だ。2010年から東京で毎年開催されているところ、西日本の学校・教育関係者らの声に応え、2017年秋は大阪で初開催となった。出展社数は約300、西日本最大規模の専門展だ。

 EDIX」は、業務支援システム、ICT機器、デジタル教材、eラーニング、各種学校向けサービスなどが一堂に揃う、学校・教育業界向けのIT展示会。主催はリード エグジビジョン ジャパン、後援は大学ICT推進協議会、私立大学情報教育教会、日本イーラーニングコンソシアム、全国ICT教育首長協議会、ICT CONNECT 21。

 EDIX関西では、西日本地区の大学、教育委員会、小・中・高校、塾・予備校、専門学校の教職員や関係者らを中心に、3日間で2万人の来場を見込む。開催期間が平日ということもあり、午後3時以降、放課後の時間を利用して来場する教職員の姿が多数見られた。

ICT機器ゾーン



 会場内は「学校業務支援ゾーン」「教材・教育コンテンツゾーン」「eラーニング」「ICT機器ゾーン」「セキュリティゾーン」「学びNEXT」の6つに分かれており、各企業・団体がそれぞれの製品やサービスを展示している。

 そのうち、「ICT機器ゾーン」は、電子黒板やタブレットPC、プロジェクターや書画カメラのほか、校内LANやネットワークなど、教育用の電子機器と周辺アクセサリなどが揃うゾーンだ。出展ブースをいくつかピックアップし、紹介する。

BUFFALO(バッファロー)



バッファローの学校向け無線LAN製品
写真:バッファローの学校向け無線LAN製品

 丸型の無線LANアクセスポイントがブース内で目立つ。学校向けのネット環境を提案しているBUFFALOは、学校でのリアルな課題を解決する製品を提供する。学校では、各端末への配信スピードが授業展開や子どもたちのモチベーションや集中力に大きな影響を及ぼしてしまう。そこで同社は、各端末がほぼ同時に動作できるよう、学校向けの改良を加えている。通常のオフィス環境ではまったく想定できないような細かい課題への配慮が、授業の進行をスムーズにするという。

フルノシステムズ



フルノシステムズの一斉放送ソリューション
写真:フルノシステムズの一斉放送ソリューション

 無線LANを提供するフルノシステムズは、学校の特性を捉えたインフラ設備を揃える。たとえば、業務用アクセスポイントに同時動画配信の機能を加え、そのほかの専用機や配線なしに、一斉校内放送や動画配信を行える。また、緊急時には専用キーでの操作で、災害用のフリーWi-Fiに切り替える機能も備える。従来のインフラに、学校という場の特性に応じたプラスアルファの機能を搭載し、利便性を向上させたいという。

セキュリティゾーン



 2017年10月18日に公表された「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を受け、教育現場における「教育情報」に対する危機管理意識が高まっている。教育のICT化が進むなか、学校における情報セキュリティの確保を提案するのが「セキュリティゾーン」だ。具体的には、情報セキュリティを守る情報漏えい対策サービスや情報モラルツールのほか、子どもたちの安全を守る登下校見守りサービスなども取り扱っている。

ソリトンシステムズ



ソリトンシステムズの展示ブース
写真:ソリトンシステムズの展示ブース

 企業や自治体向けにセキュリティシステムを提供しているソリトンシステムズ。「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」が取りまとめられたことを受けて、学校向けに具体的な対策を提示した展示を行う。ブースでは、「完全なテレワーク環境の提供」「二要素認証による確実な本人確認」「デジタル証明書活用によるネットワーク認証」「USBメモリに代わるファイル受け渡しシステム」「端末における未知のマルウェアの検知・防御」の5つの視点から、具体的なソリューションを紹介している。

教材・教育コンテンツゾーン



 デジタル教科書、デジタル教材、学術データベースや教育ソフトを扱うのが「教材・教育コンテンツゾーン」だ。展示ブースでは実際の教材や教育コンテンツに触れることができ、各ブースに用意された商談コーナーで相談する来場者の姿も見られた。

アルク



 次世代eラーニングシステム「ALC NetAcademy NEXT」を提供するアルクは、ブースにて導入の具体的な個別相談を行う。同社のeラーニングシステムはすでに450の教育機関に導入されているという。その活用事例を紹介しながら、各学校や教育機関の規模・状況などに合わせた最適な導入方法を提案する。またeラーニングシステムとの連携できるソリューションも多数用意。eラーニングで課題になりやすいモチベーションの維持を解決する「英語学習アドバイザー」の派遣や、さらに学習を定着させるためのテキストなど、活用パターンが多彩だ。

みらいの学びゾーン 学びNEXT



 EDIX関西では、STEM教育やプログラミング教材・サービスなどの新しい学びを「学びNEXT」と称し、「みらいの学びゾーン 学びNEXT」にて教材やアプリケーション、システムなど紹介している。工作キットや教材用ロボット、3Dプリンタなどの展示を見てきた。

すららネット



すららネットのアニメーションを使った学習システム
写真:すららネットのアニメーションを使った学習システム

 授業のシステム化や教職員の負担軽減策に対して、すららネットは、基礎学習の定着の大部分を学習システムに任せるという方法でアプローチする。アニメーションを多用したシステムは、教育動画で学んでいるような感覚だ。このシステムを利用すれば、教師は「ティーチャー」から「ナビゲーター」の役割に変化する。基礎学習の定着をシステムが担うことで、教師はその分の時間や労力を、アクティブラーニングの授業研究や生徒の進路相談などに使えるという。ブースでは導入を検討中の導入決定者らが、具体的な導入方法を相談していた。

ヒューマンアカデミー



ヒューマンアカデミーのプログラミング教材
写真:ヒューマンアカデミーのプログラミング教材

 全国1,100のプログラミング教室を展開するヒューマンアカデミーは、2018年度より、上級向けコース「アドバンスプログラミングコース」を開講する。今回の出展ブースは、このアドバンスコースのお披露目がメイン。保護者の反響は大きく、3か月で1,500名もの子どもが新設コースの受講を決定したという。ブースでは、実際に子どもたちが使う教材の展示も行われた。どのような仕組みの教材で、どのようなことを学ぶのかがよくわかる、楽しい展示ブースだった。

凸版印刷



凸版印刷の「やるkey」
写真:凸版印刷の「やるkey」

 凸版印刷は、習熟度別学習をより充実させる教材アプリケーションを提案する。デジタル教材アプリ「やるKey」では、問題作成から個別の「苦手潰し」や個別の到達度把を一貫して行える。自動採点ののち、間違えた問題が分析により細分化され、苦手な部分が抽出される仕組みだ。教師側は、クラス全員の到達度や苦手意識を一目で把握・確認できる。学力格差を埋めるひとつの方策であるとともに、教師の作業効率化・簡略化が期待できる。導入には、各学校が所持できる端末台数や端末導入予算がハードルとなるが、放課後の習熟度別学習や、地方の複式学級などから活用が広がっているそうだ。現在は算数のみの展開だが、今後は漢字や英語の同アプリも展開していくという。

ワオ・コーポレーション



 同社はこれまで、大阪府大阪市にてプログラミング教室を展開してきた。2018年4月からは、ソニーグローバル・エデュケーションと提携し、同社グループ「個別指導Axis(アクシス)」で、プログラミング教室を全国展開する。ブースでは、ソニーグローバル・エデュケーション発のプログラミング教材「KOOV(クーブ)」が一際目をひく。カラフルでスケルトンのブロックを自由に組み合わせて、さまざまな動物を作ることができる。誰にでも馴染むような可愛らしい教材で、学年・性別関係なくプログラミング学習を楽しめるよう工夫されたカリキュラムの展開が楽しみだ。

関東に負けじと「熱の高まり」を見せられるか



 会場は、学校関係者だけでなく、教育委員会などの行政関係者や塾・予備校関係者らで賑わっていた。EDIX関西の第1回開催を機に、関西も関東に負けじとICT教育やSTEM教育の熱が高まっていくのではないだろうか。関西ではこれまで見られなかった規模の大きな展示会に、その可能性と出展者・来場者双方からの期待が感じられた。

 なおEDIX関西は、同会場にて「第1回関西 学校設備・サービス展」を同時開催中。会期はEDIX関西同様、11月17日まで。
《山葵菜コウ》

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