大卒までの教育費と捻出方法…国の教育ローンに子ども3人以上世帯の支援拡充も

 子どもを持つ親にとって常に頭が痛いのが教育費。子どもの教育費は、住宅購入費、老後の生活費と並んで人生の3大支出の一つとも言われている。いったいいくらかかるのか。

教育・受験 高校生
国立大学と私立大学の学費の一例
  • 国立大学と私立大学の学費の一例
  • 世帯年収に占める在学費用の割合
  • 年収階層別にみた世帯年収に占める在学費用の割合
  • 高校卒業後の入学先別にみた卒業までに必要な入在学費用(子ども1人あたり:年間平均額の累計)
  • 教育費の捻出方法(3つまでで複数回答)
  • 100万円を借りて10年で返済
  • 在学中は元金を据え置いて利息のみを支払う場合の返済
 子どもを持つ親にとって常に頭が痛いのが教育費。子どもの教育費は、住宅購入費、老後の生活費と並んで人生の3大支出の一つとも言われている。いったいいくらかかるのか。その捻出方法として代表的な奨学金と、今年度から制度が拡充された国の教育ローンの特徴を紹介する。

◆年収200~400万円世帯では、年収の約1/3を占める教育費

 日本政策金融公庫(日本公庫)が2017年1月30日に発表した「教育費負担の実態調査結果」によると、世帯年収に占める在学費用(子ども全員にかかる費用の合計)の割合は平均16.1%で、前回の17.8%に比べてやや低くなってはいる。とはいえ、全体の9.6%の世帯で世帯年収に占める在学費用の割合が40%以上で、世帯年収200万円以上400万円未満の層の平均負担割合は36.6%に上っており、特に大きな負担になっているという厳しい現実もある。

世帯年収に占める在学費用の割合
世帯年収に占める在学費用の割合

年収階層別にみた世帯年収に占める在学費用の割合
年収階層別にみた世帯年収に占める在学費用の割合

◆公立高校の授業料無償化、私立高校の場合は?

 高等学校等就学支援金が導入され、モデル世帯※で年収約910万円未満(市町村民税所得割額304,200円未満)の世帯では、公立高校の授業料負担はなくなった。また、私立高校についても、世帯年収に応じて就学支援金が支給されている。その額はモデル世帯の場合、年収約250万円未満で年額297,000円まで、年収約250~350万円未満で年額237,600円まで、年収約350~590万円未満で年額178,200円まで、年収約590~910万円未満で年額118,800円まで。制度導入前に比べれば、負担が軽減されているが、全国の私立高校の授業料平均額が393,524円(2016年度)であることを考えると、重い負担と感じる家庭も少なくないだろう。
※モデル世帯:両親のうちどちらか一方が働き、高校生1人(16歳以上)、中学生1人の子どもがいる世帯。受給資格の確認は、年収ではなく、市町村民税所得割額で行われる。

 東京都は2017年度より、私立高校等に通う生徒の教育費負担軽減のため、授業料軽減助成金を拡充した。年収約760万円未満の世帯(4人世帯の場合)について、国の就学支援金と合わせて都内私立高校の平均授業料(2017年度は2016年度の平均授業料相当の442,000円)までの支援を行っている。他にも、独自に授業料等の支援を設けている自治体もある。

◆大学ではいくらかかるのか?

 大学の学費は、国公立と私立で大きな差がある。また、私立の中でも文系、理系ではかかる費用に差がある。大学の学費を具体的に見ていこう。

<国立大学のケース>
 国立大学の費用は、授業料の年額が535,800円、入学料が282,000円、検定料が17,000円と、国立大学法人法および文部科学省令で定められている。理系、文系を問わず、4年間の学費の合計は約240万円(ただし、国立大学の法人化によって、大学間で若干の差はある)。

<公立大学のケース>
 公立大学の授業料は国立大学とほぼ同じだが、入学金が大学によって異なる。また、その自治体の出身者は入学金が安くなる大学も多い。

<私立大学のケース>
 私立は、文系、理系など学部によって大きく異なる。4年間の学費の合計を、定員が多い日本大学、早稲田大学、立命館大学、近畿大学、東海大学で見ていくと、文系で400万円から500万円程度、理系で550万円から650万円程度となっている。

国立大学と私立大学の学費の一例
国立大学と私立大学の学費の一例

 この金額に、さらに大学の諸会費や通学費、教材費などが必要となることも念頭に置いておく必要がある。また、学校によっては、入学時にパソコンや電子辞書の購入が必須である場合や、語学や国際教育に力を入れる学校では留学費用もかかる場合もある。

 考えただけで眩暈がしてきそうだが、さらに生活費も見てみよう。

◆自宅外通学者(下宿)の準備金と生活費

 日本公庫の調べによると、自宅外から大学に通学する子どもがいる世帯は全体の26.5%。1年間の仕送り額の平均は145.1万円。仕送り額の4年間の合計は約580万円となる。これに引っ越しなどの初期費用が平均41.9万円かかる。

 合計すると、子どもが下宿生活をする場合、約620万円がかかることになる。したがって、国立大学でも自宅外通学者の場合は4年間で約860万円、多くの私立大学では1,000万円以上が必要となる。

◆教育費の捻出方法

 この教育費や生活費は、どう捻出すればいいのか。日本公庫の調べによると、捻出方法のトップ3は、(1)節約、(2)預貯金・保険の取り崩し、(3)子どもがアルバイトとなる。

教育費の捻出方法(3つまでの複数回答)
教育費の捻出方法(3つまでの複数回答)

 節約をしても追いつかない、預貯金や保険は取り崩したくない、あるいは勉強に専念してほしいので子どもにアルバイトをさせたくないという場合、候補にあがるのが奨学金と教育ローンだ。これらの特徴を見ていこう。

◆奨学金という選択、日本学生支援機構で給付型スタート

 独立法人日本学生支援機構が発行している2018年度入学者用の奨学金ガイドブック2017によると、大学生の2.6人に1人が国の奨学金である日本学生支援機構の「貸与型奨学金」を利用している。先の捻出方法のランキングでも、奨学金は4位になっている。

 日本学生支援機構の奨学金が代表的だが、大学独自の奨学金や、大学のある地方自治体が行っているものもある。

 ただ、奨学金を得るには成績や所得などの条件があり、だれでも受けられるわけではない。たとえば日本学生支援機構の第一種奨学金(利子の無いタイプ)の場合、高校1年から申込み時までの成績の平均値が3.5以上、前年の家計収入が747万円以下(4人世帯の場合)となっている。

 また、日本学生支援機構の奨学金の場合は、4月からの支給となるため、AO入試や推薦入試、入学前納金の支払いには間に合わないのが難点だ。

 奨学金には、返済義務のある貸与型と、返済義務のない給付型がある。圧倒的に多いのは貸与型だが、平成29年度から日本学生支援機構で給付型の奨学金がスタートした。

 基本的に、奨学金を返済するのは子どもで、卒業後から返済が始まる。月額3万円の貸与を受けた場合、4年間の総額は無利子でも144万円。大学卒業時点にこれだけの借金を背負って社会人生活をスタートするのは、心理的にも大きな負担となる。本当に学びたい人のために、給付型が増えていくことに期待したい。

◆国の教育ローンという選択…今年度から子ども3人以上世帯の支援拡充

<国の教育ローンの3つの利点>
 奨学金の条件に当てはまらなかった、あるいは奨学金だけでは不十分な場合、検討したいのが日本政策金融公庫の教育一般貸付。いわゆる「国の教育ローン」だ

 「国の教育ローン」は、家庭の経済的負担の軽減、教育の機会均等という目的のために1979年に制度が創設されたもの。2016年度の利用件数は約12万件に上る。この「国の教育ローン」の最大の利点は次の3点だ。

1)子ども一人あたり最高350万円まで借入可能
 ※海外留学資金の場合は最高450万円まで可能(ただし一定の条件付き)
2)固定金利なので安心(年1.81%、平成29年10月12日現在)
 ※2017年度より子ども3人以上・世帯年収500万円以内の世帯では通常の金利マイナス0.4%
3)20日程度で受取が可能(審査に10日前後、入金までに10日前後かかる)

 利用できる方の年収制限は、子ども1人世帯では世帯年収790万円以内(緩和要件あり)、子ども3人世帯では世帯年収990万円以内。前述の日本学生支援機構の奨学金との併用も可能だ。奨学金は入学後からの貸与だが、「国の教育ローン」は入学前から貸付されることも利点といえる。

<インターネットで申込み可能>
 また、「国の教育ローン」はインターネットや郵送で1年中受け付けているので、AO入試や推薦入試、入学前納金など、入学前に必要となる費用にもあてることができる。一見、手続きが複雑そうに思えるが、パソコンだけでなく、2017年5月からはスマートフォンやタブレットでの申込みに対応し、より身近なサービスとなった。

 さらに、引っ越し費用やパソコン購入など、学費だけでなくさまざまな用途に利用できる点も、入学時期には大きな助けとなる。

<返済方法>
 「国の教育ローン」の場合、契約者は保護者で、返済も保護者という点が、奨学金と大きく異なる。返済は15年以内。なお、2017年度の制度改正により、子ども3人以上・世帯年収500万円以内の世帯では、返済期間が18年以内に延長された。

 たとえば100万円を借りて、10年で返済する場合、月々の支払は9,200円。

100万円を借りて10年で返済
注:教育資金融資保証基金を利用する場合は、別途保証料がかかる。

 なにかとお金のかかる在学中は、元金を据え置いて利息のみを支払うことも可能。その場合、月々の支払額は以下のようになる。

在学中は元金を据え置いて利息のみを支払う場合の返済
注:教育資金融資保証基金を利用する場合は、別途保証料がかかる。

 これなら、月々の負担はかなり低くなる。

・民間の教育ローン

 民間だと、国の教育ローンよりも金利が高いというイメージがあるかもしれないが、マイナス金利政策の影響もあり、国の教育ローンと大差はない。給与振込、カードローン、積立などの商品利用者には金利を優遇している機関もあり、変動金利の場合は、むしろ国の教育ローンよりも低い金利で融資をしているところもある。融資限度額は500万円、1,000万円と充実しているところが多い。融資の際に、国の教育ローンのような世帯年収の上限はないが、逆に下限の設定があることが多い。

 給与振込などメインで利用している金融機関がある、奨学金や国の教育ローンでは金額的に足りない場合などは、民間の教育ローンも検討してみるといいだろう。

 ローンに抵抗がある人もいるかもしれないが、高利回りのときに積み立てた貯金や保険を切り崩すよりも、低金利のローンを利用したほうが賢い選択といえる。

国の教育ローン:子ども3人以上世帯向け支援拡充

 国の教育ローンは2017年度より、「子ども3人以上」の世帯に対する支援を拡充した。対象は世帯年収500万円(所得346万円)以内で、拡充内容は「返済期間の延長」「金利の低減」の2点となっている。

・対象
 子ども3人以上かつ世帯年収500万円(所得346万円)以内の世帯
・返済期間の延長
 18年以内(通常は15年以内)
・金利の低減
 通常の金利からマイナス0.4%

 日本政策金融公庫国民生活事業本部の秋山彰氏は、多子世帯への支援拡充の背景について、「政府は、少子化社会対策の一環として、「『ニッポン一億総活躍プラン』 平成28 年6月2日閣議決定」において、すべての子どもが希望する教育を受けられる環境の整備を推進していること」など3人以上の子どもが持てる環境の整備の観点を説明。また、秋山氏によると「国の教育ローンの利用者は、これまでも多子世帯の利用割合が高い傾向にあり、教育費負担が大きいことも要因と考えられる。支援拡充によって、多子世帯については、これまで以上に返済計画が立てやすくなったのではないか。」とメリットを説明する。

 なお、国の教育ローンでは「ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)かつ世帯年収200万円(所得122万円)以内の世帯」に対しても、上記同様の支援を行っている。

 国の教育ローンについて詳しい情報はこちら。インターネットで24時間受け付けている。

提供:日本政策金融公庫
《編集部》

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