東大より医学部…究極の資格「医師」になるための狭き門

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18歳人口 高卒者数&大学短大受験生数の推移
  • 18歳人口 高卒者数&大学短大受験生数の推移
  • 「医学部合格完全読本」(田尻 友久 著/かんき出版)
 「大学全入時代」と呼ばれる状況で、今の受験生は大学に入りやすくなったのか、「医学部」の人気が上昇し続ける理由とは。医歯専門予備校の学院長が解説する。

医学部はなぜ「狭き門」なのか?



 我が国の少子化が進んでいることは、ご存じのとおりです。1992年に205万人だった18歳人口は、2012年には119万人になり、2040年には100万人近くまで減るだろうと予想されています。

 そんな中、大学進学率はどんどん上がっています。大学受験生は92年の92万人が2017年には63万人。つまり、二人に一人は大学に進学するようになったということです。すべての大学の入学定員を見てみると、1966年は19万5,000人だったのに対して志願者は51万3,000人、倍率は2.63倍でした。しかし、2017年は入学定員が57万3,360人に対して、志願者は67万2,000人。志願倍率は1.17倍に下がっています。(文部科学省「学校基本調査報告書」、「全国大学一覧」より)

 子どもの数が減っていることに加え、90年代に大学設置基準が改正され、新設校、新設学部が急増し、大学数自体が500校から780校に増えたことがこの背景にあります。その結果、今や「定員割れ」する大学や学部も珍しくなくなり、多くの大学が学生を集めるために目新しい学部を新設したり、著名人を教授に招いたり、施設を充実させたり、オープンキャンパスやAO入試を積極的に実施するようになっていったのです。

 それでも4割の私立大学は定員割れをしていて、大学も厳しい時代に入っています。大学入試の受験者数、特に浪人の減少は予備校の経営も直撃し、近年では大手予備校の大規模な校舎閉鎖が大きな話題となりました。さて、「大学全入時代」と呼ばれるこの状況で、今の受験生は大学に入りやすくなったのでしょうか?

 結論から言うと「大学ならどこでもいい」なら、ほぼ確実に「どこか」には入れます。しかし「人気がある大学」、「人気の学部」の難易度は以前と変わっていません。国公立の東大・京大、私立の早稲田・慶應が「カンタン」になったわけではないということです。

 成績上位者が狙う難関校、人気校は昔も今も「難しいまま」です。その筆頭が、「医大」、「医学部」なのです。

「東大」より「医学部」を目指す理系上位層の増加



 医学部志願者数は増加を続けています。医学部定員は、2017年度に過去最高の9,420人となりました。しかし志願者数は、それをはるかに上回る勢いで増えています。医学部志願者が増えたことには、さまざまな要因が考えられます。一つはリーマンショック以降、長く続いた不況です。終身雇用・年功序列制の崩壊などから、大企業に就職すれば一生安泰という意識が世の中全体として希薄になりました。その結果、多くの人がリストラの可能性を考えたり、スキルアップのための資格取得などを目指しました。

 「医師」は「究極の資格」とも言えます。取得までは大変ですが、一度取得すれば、あとは一生仕事には困らないだろうと受験生や親御さんが考えたとしても、不思議ではありません。このことが、医学部人気につながりました。かつて「私立大学医学部進学を目指す」と言えば、多くは「医師の子弟」でした。高額な学費と、卒業までに6年という時間を考えれば、親も子どもも「無理に医学部に行かなくても、一流大学から一流企業に進めば一生安泰」と考えたからです。しかし、最近は一般的なサラリーマンの家庭に生まれた子どもも、優秀ならば東大よりも医学部を目指すというケースが増えてきています。

 医学部合格者ランキングの1位は愛知の東海高校で、2017年度の実績は208名。2位は京都の洛南。以下、東京・開成、福岡・久留米大附設、鹿児島・ラ・サールと続きます。

 どちらかと言えば、西日本のほうが医学部志向が強いと言えます。実利を重んじる関西人気質の表れと言う人もいます。

医学部合格完全読本(田尻 友久 著/かんき出版)より「医学部入試の最新情報」

医学部合格完全読本

<著者プロフィール:田尻 友久(たじり ともひさ)>

医歯専門予備校メルリックス学院 学院長。大阪府出身。同志社大学法学部卒。銀行に入行後、複数の上場企業を中心とした企業グループの統括部門を経て、1996年から医学部受験にかかわり、2000年に私立医学部・歯学部受験を専門とするメルリックス学院を創立、学院長に就任し、現在に至る。予備校関係者でさえも想像に頼る部分が多い医学部入試について、全国の大学医学部から直接話を聞き、正確かつ最新の入試情報を得ている。毎年メルリックス学院から発行される「私立医歯学部受験攻略ガイド」は今や、受験生やその家族はもちろん、高校、塾、予備校でも医学部受験指導の必需品となっており、大学関係者からも高い評価を得ている。


《リセマム》

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