教員のICT活用指導力、調査項目見直しへ…文書作成「できる」8割

 文部科学省は例年実施する「学校における教育の情報化の実態に関する調査」の調査項目の見直しを進めている。現行と改訂後の間で生じる差異を把握するため、平成29年3月に「ICT活用指導力調査項目の改善に向けた調査研究」を実施。平成30年3月1日に調査結果が公表された。

教育ICT 先生
「ICT活用指導力調査項目の改善に向けた調査研究」試行調査項目(新たな調査項目の案)の内容
  • 「ICT活用指導力調査項目の改善に向けた調査研究」試行調査項目(新たな調査項目の案)の内容
  • 「ICT活用指導力調査項目の改善に向けた調査研究」試行調査項目(新たな調査項目の案)の内容
  • 試行調査項目(新たな調査項目の案)の結果 「教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力」
  • 試行調査項目(新たな調査項目の案)の結果 「授業にICTを活用して指導する能力」
  • 試行調査項目(新たな調査項目の案)の結果 「児童生徒のICT活用を指導する能力」
  • 試行調査項目(新たな調査項目の案)の結果 「情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力」
  • 校長向け調査「情報化推進体制の状況」
  • 校長向け調査「教員の『ICT活用指導力』向上に向けた校長自身の取組み姿勢」教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力を向上させる取組み
 文部科学省は例年実施する「学校における教育の情報化の実態に関する調査」の調査項目の見直しを進めている。現行と改訂後の間で生じる差異を把握するため、平成29年3月に「ICT活用指導力調査項目の改善に向けた調査研究」を実施。平成30年3月1日に調査結果が公表された。

 文部科学省は、例年「学校における教育の情報化の実態に関する調査」にて、教育の情報化を推進するうえで重要な教員のICT活用指導力の調査を実施。現在、ICT機器の進展やアクティブラーニングの視点からの授業改善などに対応した調査項目の見直しを進めている。

 現行の調査項目と改訂後の調査項目との間にどのような差異が生じるか把握するため、平成29年3月1日~9日の期間に教員対象の「ICT活用指導力調査項目の改善に向けた調査研究」を実施。小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の計176校の教員から4,668件の回答を得た。調査・研究の結果は、今後の「教員のICT活用指導力の基準(チェックリスト)」の改善に資する基礎資料となる。

 試行調査項目(新たな調査項目の案)をみると、A「教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力」、B「授業にICTを活用して指導する能力」、C「児童生徒のICT活用を指導する能力」、D「情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力」にて、それぞれ4つの質問を実施。「できる」「ややできる」「あまりできない」「ほとんどできない」の4つから当てはまるものを1つだけ回答している。

 各質問の「できる」「ややできる」をあわせた割合を見ると、A-3「授業に必要なプリントや提示資料、学級経営や校務分掌に必要な文書や資料などを作成するために、ワープロソフト、表計算ソフトやプレゼンテーションソフトなどを活用する」は、小学校で86.5%、高等学校で90.9%など、いずれの学校種でも8割以上と高くなっていた。

 一方で、B-4「グループで話し合って考えをまとめたり、協働してレポート・資料・作品などを制作したりするなどの学習の際に、コンピューターやソフトウェアなどを効果的に活用させる」は45.4%~57.2%、C-4「児童生徒が互いの考えを交換し共有し話合いなどができるように、コンピューターやソフトウェアなどを活用することを指導する」は40.3%~54.6%と、低い傾向にある。

 同時期に校長向け調査も実施されており、対象210校から171件の有効回答を得た。情報化推進体制の状況では、50.3%が「情報化推進の組織があり、授業や校務などで活用している」と回答。教員のICT活用指導力向上に向けた取組み姿勢を尋ねると、「教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力」の向上に45.0%が「積極的に取り組む」、33.9%が「どちらかといえば積極的に取り組む」と答えた。

 また、プログラミング教育の推進について、「非常に関心がある」18.1%、「どちらかといえば関心がある」53.2%。ICTを活用したアクティブ・ラーニングの推進について、「非常に関心がある」35.7%、「どちらかといえば関心がある」53.8%だった。

 教育の情報化を進めるうえで校長自身が大切だと思うことを尋ねると、「教員がICT活用の効果について理解していること」、児童・生徒に対する指導に関して「メディアリテラシーや情報モラルを向上させるための指導」、環境の整備として「情報教育(活用能力)のための時間の確保」などをあげていた。
《黄金崎綾乃》

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