鉄板の赤本ベースにオリジナル映像教材を作る「KAWASEMI映像プラス」

 「赤本」の英俊社が、2018年より映像コンテンツを制作する「KAWASEMI映像プラス」のサービスを開始した。 英俊社 代表取締役の久保博彦氏、同社営業部係長の金子直純氏、本サービスの映像制作に携わるMOP 取締役COOの圓林真吾氏とディレクターの高瀬伸介氏に聞いた。

教育・受験 小学生
KAWASEMI 映像プラス
  • KAWASEMI 映像プラス
  • 英俊社 代表取締役 久保博彦氏
  • 英俊社 営業部 金子直純氏
  • メディアオーパスプラス 取締役COO 圓林真吾氏
  • メディアオーパスプラス ディレクター コンサルタント 高瀬伸介氏
  • 左から、メディアオーパスプラス ディレクター コンサルタント 高瀬伸介氏/英俊社 営業部 金子直純氏/英俊社 代表取締役 久保博彦氏/メディアオーパスプラス 取締役COO 圓林真吾氏
  • 英俊社の「赤本」をもとにした塾の授業を映像化するサービス「KAWASEMI 映像プラス」
  • 赤本「公立高校入試」
 受験経験のある方で「赤本」を知らない方はほとんどいないだろう。志望校の過去問題や傾向を知るためには欠かせない、過去問題中心の参考書である。英俊社は関西を中心に、中学・高校入試用のこの「赤本」を刊行している出版社だ。長年、紙ベースの書籍を発行してきた英俊社だが、2018年より映像コンテンツを制作する「KAWASEMI映像プラス」のサービスを開始した。

 映像に着目した理由や新サービスへの思いについて、英俊社 代表取締役の久保博彦氏、同社営業部係長の金子直純氏、本サービスの映像制作に携わるメディアオーパスプラス(MOP)取締役COOの圓林真吾氏とディレクターの高瀬伸介氏に聞いた。

赤本から生まれた教材作成システム「KAWASEMI」に映像授業をプラス



 英俊社は出版社として44年間、関西を中心に中学・高校の入試問題をもとに入試対策本の定番「赤本」を刊行してきた。つまり長年にわたる過去問題の蓄積がある。この膨大な過去問題の中から欲しい問題を素早く検索できるのが「教材作成支援システム KAWASEMI」である。そしてこのシステムを使い、新しい教材を印刷・製本までできるサービスにプラスして、“映像教材の制作”も提供するサービスが、文字通り「KAWASEMI映像プラス」なのだ。

 なぜ英俊社は映像教材に着目したのだろう? それは、最近の教育機関が授業の映像配信を行っていることが多いことと、生徒たちの学びへの変化を感じたからだという。

 「紙ベースでの出版を行ってきたなかで、紙の解説だけでは生徒たちに理解してもらえなくなってきていると実感するようになりました。しかも、それは年々顕著になってきているように思います。そこで、映像ということを考えていかなければ、と思いました」(久保氏)

英俊社 代表取締役 久保博彦氏
英俊社 代表取締役 久保博彦氏

「KAWASEMI」を使って著作権をクリアにした映像授業の制作が可能に



 「KAWASEMI映像プラス」の特長は実にシンプルで強力である。入試の必須コンテンツである赤本をベースにしている点が最大の特長といえるだろう。

 「KAWASEMI」は、弊社が過去問題を発行することによって蓄積してきた膨大な入試コンテンツをデータベース化して、塾や教育機関に有効活用していただけないかということからスタートしました」(久保氏)

 「進学塾であれば、過去問題を活用しない指導は成立しづらいですよね。そういう意味で、英俊社さんはキラーコンテンツをお持ちです。しかも「KAWASEMI」でデータベース化しているので、カスタマイズした教材を作ることができます。塾の色をつけて、オリジナル教材を作ることができますよ、というのがこのサービスの柱です」(圓林氏)

英俊社の「赤本」をもとにした塾の授業を映像化するサービス「KAWASEMI 映像プラス」
英俊社の「赤本」をもとにした塾の授業を映像化するサービス「KAWASEMI 映像プラス」

 「データベース化した問題は、中学・高校合わせて約30万問あります。しかも、〇〇高校の2018年度の数学の問題、というような“試験単位”ではなく、例えば“大問3”というように“大問単位”もしくは“小問単位”でデータベース化していますので、全学校の過去問題の中から“二次関数の相似”の問題だけを取り出すことも簡単にできます」(久保氏)

 教材作りで悩ましいのは著作権の問題だ。市販の教材を勝手に映像化するわけにはいかない。しかし「KAWASEMI」で作成したテキストは著作権の問題もクリアしている。

 「著作権を無視した教材作成はできません。一方で『KAWASEMI』を使った教材作成は、英俊社さんが映像化を含めて著作権を処理しています。公立高校はもとより、主な国・私立高校の過去問題を持っていらっしゃる。進学塾には最高のコンテンツだと思います」(圓林氏)

メディアオーパスプラス 取締役COO 圓林真吾氏
メディアオーパスプラス 取締役COO 圓林真吾氏

塾の現場を熟知した映像作り



 塾の映像教材というと、ライブ授業を映像化したものを想像される方は多いだろう。もちろん、「KAWASEMI映像プラス」も例外ではない。塾では、講師のパフォーマンスこそが最強のコンテンツともいえる。そうした授業の映像化はもとより、個別授業など塾側の要望に応えるスタジオ型の映像コンテンツを作ることができるのも、大きな特長である。「KAWASEMI映像プラス」の映像コンテンツ制作を担当しているMOPは、塾・学校の授業映像制作において多くの実績がある制作会社だ。

 「私たちは、授業の撮影補助、編集、納品までを行っています。『KAWASEMI』で作成したテキストを使って授業をされている塾の講義映像の制作を担当しますが、別撮りして自学自習用の映像授業を制作することも可能です。さまざまな撮影方法を提案できますので、ご相談いただきたいです。もちろんコストについても、予算に合わせてご提案させていただきます」(高瀬氏)

メディアオーパスプラス ディレクター コンサルタント 高瀬伸介氏
メディアオーパスプラス ディレクター コンサルタント 高瀬伸介氏

 「MOPさんには丁寧にご対応いただいて、感謝しています。一緒に仕事をさせていただくことになったきっかけは昨年(2017年)の秋に関西で行われた教育ITソリューションEXPO(EDIX)でした。圓林さんが講演されるというのでお聞きして、進学教室『浜学園』でWebスクールなどを立ち上げ、塾・学校の授業の映像化に実績をもたれていることを知りました。塾の事情、現場のことをよくわかっていらっしゃる。それを踏まえて映像制作を考えられていることに感銘を受けました」(久保氏)

多様化したニーズへの対応



 2020年の教育改革、入試改革をふまえ、教育環境は大きく変わりつつある。生徒たちの志望も多様化しており、情報の先取りや新しい時代に合わせたコンテンツが必要になってきているといえる。

 「難関校に多くの合格者を出すことのみが評価軸だった時代は終わろうとしています。ニーズが多様化していますので、いろいろな学校・受験パターンに対応した志望校別対策が本当は必要です。『KAWASEMI映像プラス』を利用していただくと、志望校別対策をオリジナルの教材・映像コンテンツで実現できます。何しろ、赤本がベースですから」(圓林氏)

 「映像コンテンツの配信は、学校のエリアの問題も飛び越えることができますね。たとえば現在自分が住んでいるところはAエリアだが、Bエリアの学校が志望校だというときに、地元ではBエリアの学校対策をしてくれる塾がないケースがあります。しかし、インターネットで映像コンテンツが配信されていれば、通常は地元の塾で学び、詰めの対策は映像で行うということもできます」(高瀬氏)

 「『KAWASEMI』を通して塾の課題を一緒に乗り越えることができるよう、親身に寄り添っていきたいですね。価格と品質には自信があります。おかげ様で、英俊社として2018年のEDIXに出展し、映像コンテンツもご好評をいただきました。大手塾数社を始め、さまざまな地域、規模の塾と導入の協議をしています」(金子氏)

英俊社 営業部 金子直純氏
英俊社 営業部 金子直純氏

次はアダプティブラーニング教材を!



 実は、英俊社には「KAWASEMI」のほかに「KAWASEMI Lite」というサービスがある。このLiteも塾の要望から生まれた。

 「『KAWASEMI』は、お客様に問題をリストアップしていただき、編集・印刷して納品するので、生徒数が多くないとどうしても単価が高くなります。そこで『KAWASEMI Lite』を始めました。塾の方でピックアップした問題をPDFでダウンロードしてもらい、プリント教材として使っていただけるものなので、個人塾でも気軽にお使いいただけます」(久保氏)

 つまり、英俊社の「KAWASEMI」は、「KAWASEMI」「KAWASEMI Lite」「KAWASEMI映像プラス」の3つを包含した教育サービスなのである。英俊社では、この3つのサービスを展開しながら、塾のニーズに合った教材に発展させていこうとしている。

 「映像コンテンツ化のノウハウを得たことで、問題の解説を紙ベースだけでなく、映像での解説を行うことも考えられるようになりました。塾での授業、テストを受けて、できなかった問題やその類題だけを映像コンテンツで学習する、といったサイクルもあり得ると思います。いわゆるアダプティブラーニングのような自動化も可能にしたいと考えています。過去問題自体は山ほどあるので、MOPさんと協力して、パッケージ化して塾に提案していきたいですね」(久保氏)

左から、メディアオーパスプラス ディレクター コンサルタント 高瀬伸介氏/英俊社 営業部 金子直純氏/英俊社 代表取締役 久保博彦氏/メディアオーパスプラス 取締役COO 圓林真吾氏
左から、メディアオーパスプラス ディレクター コンサルタント 高瀬伸介氏/英俊社 営業部 金子直純氏/英俊社 代表取締役 久保博彦氏/メディアオーパスプラス 取締役COO 圓林真吾氏

 長年教育系出版社として、読者である生徒たちの学びに対する変化を見てきたからこそ生まれた「KAWASEMI映像プラス」。サービスや製品作りのきっかけは、一貫して、自分たちが作りたいものというよりも、あくまでもお客様である塾や読者である生徒たちを見つめた結果である。その揺るがない想いが品質に表れているのだと改めて感じた取材だった。英俊社とMOPが提案する新しい世代への教材づくりにこれからも注目していきたい。
《渡邊淳子》

【注目の記事】

編集部おすすめの記事

特集

page top

旬の教育・子育て情報をお届け!(×をクリックで閉じます)