オンライン授業の満足度、日本の保護者24%…12か国で最低

 アバストは2020年8月28日、世界12か国を対象としたオンライン授業に関する調査結果を発表した。外出自粛期間中のオンライン授業について、満足していると回答した日本の保護者はわずか24%で、12か国中もっとも低かった。

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外出自粛期間中のオンライン授業の満足度
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 アバストは2020年8月28日、世界12か国を対象としたオンライン授業に関する調査結果を発表した。外出自粛期間中のオンライン授業について、満足していると回答した日本の保護者はわずか24%で、12か国中もっとも低かった。

 調査は、アバストがTolunaに委託して2020年6月に実施。日本国内の保護者501人を含め、世界12か国の保護者6,000人以上を対象とした。

 外出自粛期間中のオンライン授業の満足度は、「オーストラリア」の63%が最多で、「アメリカ」55%、「スロバキア」54%、「チェコ」52%、「フランス」50%、「イギリス」45%、「メキシコ」41%、「アルゼンチン」40%、「ブラジル」37%、「ドイツ」33%、「ロシア」30%。日本はもっとも低い24%だった。

 不満の理由には、「学習量の少なさ・学習時間の短さ」「子どもの集中力が続かない・集中できていない」「コミュニケーションが一方的」などがあげられた。一方、オンライン授業を評価する声では、「新型コロナウイルスを予防しながら学習ができた」「オンライン授業に参加することで規則正しい生活の維持ができた」「子どもの学習内容を確認することができた」などがあった。「今後このような学習方法が普及することを考えると良い経験になった」という保護者もいた。

 オンライン授業を受けている子どもの中で1週間に1回以上技術的な問題に遭遇した割合は、世界平均19%。これに対して日本は10%と、ほかの国に比べてもっとも低かった。理由として、アバストではオンライン授業が多くの場合「Zoom」や「Microsoft Teams」など、保護者が仕事で利用したことのあるツール上で実施されていることが考えられると指摘。実際、オンライン授業が開始されてから新しいツールを学ばなければならなかったと回答した保護者は約14%と、調査対象国の中で最少だった。

 このほか、今回の調査ではオンラインでのリモート授業の実施に際して、セキュリティやプライバシーに関する教育が十分に行われていない可能性も明らかになっている。日本では、「教員が生徒のプライバシーに配慮している」と回答した保護者が34%だったのに対し、「オンライン授業のプライバシーに関するルールを教員から何も聞いてない」と答えた保護者は38%。子どもの作品などがWebサイトでほかの生徒や保護者からも閲覧できるようになっていると回答した保護者も2割にのぼった。

 調査結果を受けて、アバストソフトウェアジャパン社長の藤本善樹氏は「新型コロナウイルス感染の問題が長期化する中、学校関係者、ならびに保護者と子どもたちは、安全と教育の質を両立させるために待ったなしでICTを駆使した未知の取り組みを強いられてきたが、オンラインでの授業やコミュニケーションの実施を急ぐあまり、セキュリティやプライバシー保護まで十分な配慮ができていない可能性が危惧される」とコメント。管理者や利用者がとるべき措置や意識を示し、セキュリティ対策や情報取扱いの徹底により、「この難しい局面においても、安全かつ質の高い教育の継続を支えてほしい」としている。
《奥山直美》

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