【大学入学共通テスト2021】理科2の分析…東進・河合塾・データネット速報まとめ

 2021年1月17日、2021年度(令和3年度)大学入学共通テスト2日目が終了した。東進、河合塾と、ベネッセコーポレーション・駿台予備校による「データネット」より提供を受け、理科2(物理/化学/生物/地学)の分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

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 2021年1月17日、2021年度(令和3年度)大学入学共通テスト2日目が終了した。東進、河合塾と、ベネッセコーポレーション・駿台予備校による「データネット」より提供を受け、理科2(物理/化学/生物/地学)の大学入学共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

物理



東進


 共通テスト試行調査通り大問数4題の出題。第1問はセンター試験と同様に小問集合であり、力学、電磁気学、波動、熱力学の分野から出題された。第2問の出題分野は電磁気学、第3問は波動と原子物理、第4問は力学であり、第1問から第4問のすべての問題が必答問題である。また、物理の全範囲から広く出題されている。

 センター試験のように単純な法則へのあてはめ問題だけではなく、物理概念や現象への基礎的理解が問われている。日常的に経験される現象を物理的に考察する問題も見られたが、試行調査にあるような新傾向はさほど強く見られなかった。

 第1問の小問集合では、慣性力、滑車によるつり上げ、極板間の電場と電位、ドップラー効果とうなり、等温変化と断熱変化の比較といった、入試物理においては比較的典型的な問題が出題された。

 第2問の電磁気は、A、Bともに典型的な出題であり、標準的な問題集をよく演習して扱いに慣れているかどうかが鍵となった。Aが抵抗とコンデンサーと直流電源からなる回路の問題で、スイッチを閉じた直後と十分に時間が経過した後の状態に関する理解が問われた。Bは、一様磁場中の導体棒の運動による電磁誘導の問題で、誘導電流とその電流が磁場から受ける力の働き、および棒の速度の時間変化のグラフが問われた。

 第3問は波動と原子分野からの出題であった。Aはダイヤモンドのブリリアントカットに関する屈折と分散と全反射の問題であり、見慣れないグラフの読み取り問題もあったが、概ねよく説明されており、基礎知識があれば解答に至れたはずである。しかし全体を理解するのに少々時間がかかる問題だろう。Bでは原子分野から蛍光灯の原理が出題された。完答には水銀の励起と運動量、エネルギーへの理解が必要であり、正確に把握することは簡単ではなかったと思われる。

 第4問は力学の問題で、放物線運動、運動量保存、衝突とそのときの力積に関する基礎的な理解が問われた。問4では試行調査に見られた会話文が出題されたが、短文であり、惑わされるような要素はなかった。

 全体として煩雑な計算はなく、物理法則に従って定性的に現象が捉えられるかどうかがポイントとなった。難易度は難化。

河合塾


 知識で即答できる設問がほぼなく、思考力を要する問題が増加し、センター試験よりもやや難しい。ダイヤモンドが輝く理由など、作成方針にある、資料などから考察する問題も扱われている。大問で原子分野の出題があり、物理の全範囲の対策が必要であった。受験生にとって初見の問題が多く、文章を丁寧に読む必要があり、解答するのに時間を要したであろう。

データネット


 物理の全分野から出題された。ダイヤモンドが明るく輝く理由を、与えられたグラフをもとに考察させる問題が出題された。また、蛍光灯をテーマに、電子と水銀原子の衝突について考察させる点は目新しい。思考力を問う出題が多く、昨年のセンター試験よりもやや難化。大問数は、昨年のセンター試験と比べて6問から4問に減少し、20個だった解答数は24個に増加した。

 出題形式は、現象の考察を文章で問う問題が増加し、語句・文章選択問題を中心に出題された。昨年のセンター試験でみられた選択大問はなくなり、全問必答となった。出題分野は、昨年のセンター試験と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。問題量は、昨年センター試験並。

 難易度は、昨年センター試験よりやや難化。

化学



東進


 昨年と比べ、大問数は1題減少して5題、設問数は7つ減少して18、マーク数は3つ減少して29であった。「化学」の後半で学習する有機・高分子化合物からの出題が配点で29点から40点に増加した。選択問題廃止も含め、化学の早期学習がより重要になったと考えられる。出題形式は従来のセンター試験と類似していたが、第2問の問2「空気亜鉛電池」、問3c「水の状態、温度とエネルギーの関係」、第3問の問3「シュウ酸イオンを配位子にもつ錯イオンの光化学反応」、第5問「グルコースに関するテーマ問題」のように、受験生にとって見慣れない問題設定があり難しかった。解いたことのある問題しか解けない状態だと高得点を得るのは難しく、問題文から必要な情報を読み取って解答を導く必要がある。ただし、グラフや表などを基にして解答するタイプの問題は近年のセンター試験でも見られた設問であり、今後もこの傾向は続くと思われる。全体としては思考力を問う設問が増え、昨年よりもやや難化した。

河合塾


 化学の全範囲からまんべんなく出題された。鉄の錯イオンの光化学反応に関する実験問題、グルコースの異性化の平衡およびグリコシドに関する問題は目新しい。また蒸気の圧力の温度変化の問題、氷の昇華熱に関する問題など、既習の知識を活用しながら問題文や図表を読み解いたり、作図の結果を用いたりして判断する問題が多く、思考力・応用力が重視された。

データネット


 大問数が昨年の7問から5問に減少し、解答数は28個に減少(昨年のセンター試験は32個)。配点は全大問20点に変更された。読解力や思考力を要する問題が数多く出題された。鉄の錯イオンに関わる見慣れない実験を題材にした問題や、グルコースの実験を題材にした必要に応じて方眼紙を使う問題が目新しい。

 出題形式は、数値選択問題を中心に出題された。昨年までのセンター試験でみられた選択大問はなくなり、全問必答となった。出題分野は、昨年のセンター試験と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。問題量は、昨年のセンター試験と比べて29ページであったページ数は23ページになり、減少。

 難易度は、昨年センター試験よりやや難化。

生物



東進


 昨年と同様に、大問数は6題であるが、昨年と異なり選択問題がなくなった。設問数は26問(マーク数27)であり、昨年の30問(マーク数34~35)よりも大幅に減少した。知識問題が大幅に減少し、かつ文章選択問題が増えた。また、実験考察問題の分量が多く、図・表などデータの量が増え、会話形式のディスカッションの内容を読み取る問題もあり、処理に大幅に時間がかかるだろう。また、実験の解釈が難しいものが散見され、全体として難化した。

河合塾


 教科書の各分野から幅広いテーマで出題され、特に「生物の環境応答」の分野から多く出題された。昨年のセンター試験に比べ、マーク数や全体のページ数、選択肢数が減少した。また、大問中に複数分野の内容を含む問題もあった。知識問題の割合が減り、問題作成方針に従い、資料等に示された事物・現象を分析的・総合的に考察する力を問う問題の割合が増えた。

データネット


 全大問必答で、従来のセンター試験のように大問ごとに分野を分けた出題ではなく、多くの大問で分野融合問題が出された。大問間での配点や構成のばらつきも大きかった。複数の資料を解釈するなど科学的思考力が問われるが、題意が把握できれば解答しやすい問題が多かった。

 大問数は昨年のセンター試験と比べて7から6に減少、解答数は27個に減少(昨年のセンター試験は選択する問題によって異なり34または35個)。出題形式は、文章選択問題を中心に出題された。昨年までのセンター試験でみられた選択大問はなくなり、全問必答となった。出題分野は、昨年のセンター試験と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。問題量は、昨年センター試験並。

 難易度は、昨年センター試験より易化。

地学



東進


 教科書の基本事項を丹念に学習することと、標準レベルの問題を多く演習することに加えて分野総合的な学習が求められる出題である。

第1問は地球の水を題材にした各分野の問題5問。いずれも基礎的内容で問題相互のつながりはない。
第2問は地球物理と地球化学分野で小問5問。隕石についての出題は目新しい。
第3問は岩石・地質分野で小問6問。地質図学は標準的である。
第4問は気象分野で小問で小問7問。高層天気図と海流について標準的問題。
第5問は天文分野6問。銀河系・銀河と星団について標準的問題。

 全体として、計算問題はアイソスタシー、磁極の移動速度、地震波速度、変光星の周期光度関係、銀河の後退速度の5問。問題のページ数はこれまでのセンター試験と大差なかった。各分野について基礎的な知識を問う設問が多く、難易度はやや易化した。

河合塾


 地学の各分野からバランスよく出題された。センター試験と同様に、図やグラフを読み取って計算する問題や考察する問題が多く出題された。また、第1問の水と自然現象を結びつけた総合問題や、第3問Aのレポート形式の問題など、試行調査の出題形式を踏襲した新傾向の問題も出題された。難易度はセンター試験と比較するとやや易しくなった。

データネット


 第1問では水をテーマにして部分溶融やハビタブルゾーンなど幅広い分野の問題が出された。エクマン輸送量に関するグラフなどの目新しい図のほか、高層天気図や星団のHR図など多くの図が用いられた。計算問題は多かったが、紛らわしい選択肢は減り、昨年センター試験よりやや易化した。

 大問数は、昨年のセンター試験と比べて6問から5問に減少、解答数は29個に減少(昨年のセンター試験は30個)。出題形式は、語句選択問題を中心に出題された。昨年までのセンター試験でみられた選択大問はなくなり、全問必答となった。出題分野は、昨年のセンター試験と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。問題量は、昨年センター試験並。

 難易度は、昨年センター試験よりやや易化。

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