大学中退者、理由は「留年したから」がトップ

 大学中退者の約半数が「留年(確定)した」と回答し、中退理由は「留年したから」がもっとも多いことが、ジェイックが2021年5月13日に発表した調査結果より明らかになった。コロナ禍における経済的困窮によってやむを得ず中退した学生も多いという。

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 大学中退者の約半数が「留年(確定)した」と回答し、中退理由は「留年したから」がもっとも多いことが、ジェイックが2021年5月13日に発表した調査結果より明らかになった。コロナ禍における経済的困窮によってやむを得ず中退した学生も多いという。

 中退(予定者)に対する新型コロナウイルスの影響アンケートは、ジェイックが提供する中退者向け就職支援サービス「セカンドカレッジ」受講生を対象に実施した。回答者は573人。調査日は2020年4月1日~2021年3月31日。

 文部科学省の2021年2月16日の発表によると、2020年4月~12月に中退した学生は2万8,647人で、このうち1,367人(中退者全体の約4.8%)が新型コロナウイルスの影響により中退していた。ジェイックでも中退者・中退検討者の登録者数が2019年度から2020年度に約1.5倍に増加。登録者の中には、コロナ禍における経済的困窮によってやむを得ず中退した人、中退を検討している人も多いという。

 ジェイックの調査では、すでに中退した学生の2020年度の奨学金受給率は48.6%。日本学生支援機構の「2018年度(平成30年度)学生生活調査」の大学生奨学金受給率の平均47.5%と概ね同程度であった。

 中退者の留年について、49.4%が「留年(確定)した」と回答している。中退理由は、「留年したから」27.2%がもっとも多く、「授業内容に興味がもてなかった」21.5%が続いた。大学に進学した理由は、「なんとなく・親や先生に言われて・進学するのが当たり前だと思った」40.3%が最多となっている。このことから、明確な理由がなく大学等に進学し、授業に興味がもてずに留年し、そのまま中退するケースが多いとジェイックは分析している。

 中退後、就職しようと思った理由・きっかけを聞いたところ、「自立したい」40.3%、「親孝行・親を安心させたい」24.9%といった理由が多かった。さまざまな理由で中退したものの、このままではいけないと考え、1歩を踏み出す人が多いようすがうかがえる。

 ジェイックは以前より、大学在学中の学生向けの中退に関する相談窓口を用意しており、電話相談や対面カウンセリングで学生の悩みや状況にあわせたアドバイスを行ってきた。最近は新型コロナウイルスの影響で中退せざるを得ない、中退を検討する学生が急増していることから、新型コロナウイルスの影響による中退者および中退検討者専用の相談窓口「コロナ中退119番」を2020年5月に設置している。
《外岡紘代》

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