公立大学協会は2021年7月15日、「公立大学ファクトブック2020」を公開した。公立大学の設置状況や学生数、教職員数、組織、財政、研究等に関する情報について、データをもとに図表で紹介している。 公立大学ファクトブックは、公立大学の設置状況、財政、組織、学生、研究の状況を図表で紹介したもの。公立大学協会が毎年まとめている。 公立大学の設置状況によると、2020年度（令和2年度）の公立大学数は、前年度から1校増の94校。設置者別でみると、都道府県立が59大学と全体の62.8％を占め、市立28大学、事務組合立等4大学、府県・市共同立3大学と続いている。 各公立大学の学部数は、「1学部」が43大学と半数弱が単科大学となっている。この他、「2学部」22大学、「3学部」12大学、「4学部」6大学、「5学部以上」9大学、「大学院大学」2大学。ファクトブックでは「公立大学は、地域の強い要請によって特定分野の人材育成を目的として設置された比較的小規模の大学が多いことが特徴」と解説している。 学部の系統別設置傾向によると、「看護・保健医療・福祉関連系統」が52学部（25.9％）ともっとも多く、全201学部の4分の1を超えている。この他、「社会科学系統」36学部（17.9％）、「理・工学系統」28学部（13.9％）等。 2020年度、博士課程を設置している公立大学は71.3％にあたる67大学。修士課程のみを設置している公立大学は15大学（16.0％）、専門職学位課程のみを設置している大学は2大学（2.1％）であった。 2020年度の公立大学の学生数は、前年度比403人増の15万8,579人。教員数は前年度比7人増の1万4,090人。職員数は前年度比135人増の6,218人。教員1人あたりの学生数は11.3人。ファクトブックでは「9.3人の国立大学とほぼ同水準、19.4人の私立大学に比しておよそ2倍の人員」と説明している。 設置形態別に教員数（本務者）の女性比率を比較すると、学長21.5％、副学長16.1％、教授22.1％。公立大学は国立や私立と比べて高い割合を示している。准教授や講師、助教、助手を含めた教員（本務者）の合計は29.3％となっている。 学部、大学院をあわせた2020年度公立大学の志願者数は、前年度比2,722人減の17万2,620人。入学者数は前年度比287人増の3万9,968人。公立大学の志願者に占める域内者の割合は3割程度で推移。公立大学の入学者に占める域内者の割合は、4割を下回る程度で推移している。 学生年間生活費（支出）は、平均143万4,700円。国立大学の学生より5.8%少なく、私立大学の学生より29.5%少ないという。家庭の年間収入別学生数の割合をみると、公立大学の学生は800万円未満の所得区分に集中している。 2019年度の公立大学の卒業者数（学部のみ）は、前年度比466人増の3万876人。進路は、就職者2万4,124人（78.1％）、進学者3,864人（12.5％）等。公立大学卒業生（学部のみ）で就職した者のうち、大学所在地と同一の都道府県への就職率は46.8％であった。 2020年度の公立大学全体の経常費予算額（附属病院に係るものを除く人件費予算額と物件費予算額の合計）の規模は、前年度比130億円増の3,264億円。学生1人あたりの経常費予算額は、およそ190万円前後で推移しているが、近年は増加傾向にあり、2020年度は200万円を超えている。 文部科学省科学研究費助成事業における公立大学の応募および採択件数は、いずれも増加が続いており、2020年度の採択率は52.1％。ここ数年、およそ50％前後で推移している。 「公立大学ファクトブック2020」は、公立大学協会のWebサイトから閲覧できる。
