2020年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小・中・高等学校等における不登校児童生徒数は23万9,178人と過去最多となっている。文部科学省は、2021年9月に「不登校に関する調査研究協力者会議」を設置し、2021年10月~2022年5月の期間に行われた会議で、今後重点的に実施すべき施策の方向性を検討。今回、その結果を報告書に取りまとめ、教育委員会や小中高校等へ通知した。
重点的に実施すべき施策の方向性は、「誰一人取り残されない学校づくり」「不登校傾向のある児童生徒に関する支援ニーズの早期把握」「不登校児童生徒の多様な教育機会の確保」「不登校児童生徒の社会的自立を目指した中長期的支援」の4点。不登校の考え方として、登校という結果のみを目標とせず社会的自立を図ること、状況によっては休養が必要であり、学校に行けなくても悲観する必要はなくさまざまな教育機会を活用することが必要としている。
不登校児童生徒本人・保護者へのアンケート調査によると、最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけとしては、「先生のこと」「身体の不調」「生活リズムの乱れ」「友達のこと」がそれぞれ3割程度を占める等、不登校児童生徒の背景・支援ニーズの多様さが浮き彫りとなっている。また、学校を休んでいる間の「最初のきっかけとは別の学校に行きづらくなる理由」では、「勉強がわからない」が最多となり、欠席中の学習支援の重要性が再認識されるという結果になった。
最終報告書では、文部科学省における不登校児童生徒への支援施策、実態調査結果や教育委員会へのヒアリング調査等の別添資料を添付。教育機会確保法や基本指針の学校現場への周知・浸透を図り、心の健康の保持に関する教育、1人1台端末を活用した早期発見、スクリーニングや「児童生徒理解・支援シート」を活用したアセスメントの有機的な実施、不登校特例校設置の推進、学校内の居場所づくり、民間団体との連携や教育支援センターの機能強化、家庭教育を充実させること等について周知した。
「不登校に関する調査研究協力者会議(令和3年度)通知・報告書」は、文部科学省Webサイトで閲覧できる。