【大学受験】駿台の東西校舎責任者が明かす…首都圏と関西、医学部受験最前線のリアル

 2023年4月、関西で初めて、駿台の医学部専門校舎が梅田に開校する。医学部を志す受験生(高校生・高卒生)に向けて、駿台が誇る質の高い教育、最高の学習環境を提供するという。「首都圏と関西 医学部受験最前線のリアル」について東西の医学部専門校舎責任者に聞いた。

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  • オンライン取材のようす/駿台予備学校 市谷校舎 校舎責任者 細谷一史氏(左)と梅田校 校舎責任者 鳥井英氏(右)
  • 私立大学医学部学費一覧(2023年1月作成)
  • 医師への登竜門、市谷校舎
  • 2023年4月、関西で初めて、駿台の医学部専門校舎が梅田に開校する。大規模な市谷校舎とは対照的に、梅田校は1クラス30人とし、少人数の手厚い体制でスタート

 2023年4月、駿台予備学校(以下、駿台)は関西地区初の医学部専門校舎を大阪・梅田に開校する。関西圏においても、駿台が医学部を志す受験生(高校生・高卒生)のために質の高い教育を提供する、最高の学習環境が誕生する。

 そこで今回は、その梅田校の校舎責任者となる鳥井英氏と、日本屈指の医学部合格実績を誇り、医学界にもその名を轟かせる伝統の校舎、市谷校舎の校舎責任者である細谷一史氏に「首都圏と関西 医学部受験最前線のリアル」について語ってもらった。

医学部専門校舎・梅田校開校、関西からも全国の医学部受験を牽引

--伝統の市谷校舎、新しく生まれる梅田校舎。それぞれの特徴を教えてください。

細谷氏:医学部受験の総本山」と言われるほど、駿台の市谷校舎は40年以上の歴史がある校舎です。全国から医学部受験生が集い、保護者の代から2世代で市谷校舎出身という方も珍しくありません。そんな予備校は全国的にもかなり特徴的な存在だと思います。

 さらに言うと、現役生と高卒生あわせて1,000名を超える生徒のすべてが医学部を目指し、毎年半数以上が合格していきます。市谷校舎の医学部合格者数は全国屈指の実績があります。この点も、大きな特徴と言えるでしょう。

 その分、医学部受験において当校に信頼を寄せてくださる方が多く、具体名をあげて私たちがある大学の医学部を受験校としてお勧めすると、そこに志願者が集中することもあるほどです。志願者数が大きく変化し、その年の合格の難易度まで変わる可能性もあり、市谷校舎は全国の医学部受験の「台風の目」のような存在とも言えます。

鳥井氏:梅田校は春から本格的に開校しますが、全国区の市谷校舎と比べると地元志向が強い校舎になるように思います。関西圏の保護者からは「なるべく関西にある8つの国公立医学部のどこかに合格してほしい」という意向を強く感じますね。

 ただでさえ医学部は定員が少なく、地元志向が強まると、その地域のいずれかの医学部に合格するには競争が一層激しくなります。そのため、北陸や四国等、比較的関西から近いエリアまで検討範囲を広げるご家庭も多いです。

東西で日本の医学部受験を牽引するべく、2023年4月に医学部専門校舎の梅田校を開校

--東京には40年以上も市谷校舎という医学部専門の校舎がありましたが、これまで関西にはありませんでした。この度、大阪・梅田に医学部専門の校舎を開校することになった経緯を教えてください。

鳥井氏:人口動態で見ていくと少子化は進んでおり、大学の志願者も右肩下がりなのですが、医学部志望者の数はほとんど減っていません。市谷だけでなく西日本にも拠点をつくり、東西2拠点で医学部受験生を応援していこうと考えたのがきっかけです。

細谷氏:駿台は関西にもすでに京都や大阪に校舎自体はあり、これまでもそこから医学部へ数多く卒業生を送り出してきましたが、今回の梅田校開校には、駿台として医学部受験を西日本からも全国的に盛り上げていきたいという強い思いがあります。

関西の私大医学部の学費引き下げ、全国から注目集まる

--先ほど関西では地元志向が強いというお話がありましたが、その他にも首都圏と関西で医学部の出願傾向に違いはありますか。

細谷氏:先ほど申し上げたように、市谷校舎は生徒数が1,000人を超えるマンモス校舎です。その中で出願傾向については、志望校を「全国の医学部から考える」生徒と、「家から通える範囲で考える」生徒に二分されます。

 ただ、全国の医学部から考えるといっても、私立大の多くは首都圏に集まっていますので、併願する場合は必然的に首都圏の私立大を受けることが多くなります。さらに私立大医学部の場合は学費がどこまで払えるかという問題があり、家庭によって許容範囲が変わってきますので、平均5~8校に出願するといったところでしょうか。

鳥井氏:関西の医学部には4つの私立大がありますが、首都圏に比べて学費が高めなこともあって、これまでは「経済的な事情で国公立大医学部しか行けない」生徒と「医者になることが最優先なので私立大医学部も併願する」生徒に分かれる傾向がはっきりしていました。

 ところが2023年度から、関西医科大学が6年間で2,100万円という大幅な学費引き下げを表明したことで風向きが変わってきています。これは全国でも3番目の安さとなる、かなり思い切った施策で、これまで国公立大しか選択肢がなかった家庭も、関西医科大学を受験する生徒が大きく増えるのではないかと予想されます。

 この流れを受けてか、大阪医科薬科大学が早くも今年度から300万円引き下げ、3,141万円から2,841万円とすることを2022年9月に発表し、6年間の学費が3,000万円を切りました。(下記表では、2022年5月時点の学費を記載)これにより、関西でも以前と比べて、国公立大と私立大を併願しやすい環境が整ってきたと言えそうです。

細谷氏:国公立大であれば学費が年間50万円ほどと格段に安いので、それを辞退してまで私立大を選ぶケースはそこまで多くはない印象です。ですが、学費が下がれば、自宅から通えるメリットに加えて、教育内容の充実という観点からも、あえて私立大を選ぶご家庭も増えてくるかもしれません。

鳥井氏:私立大の学費値下げは、まさにそこをターゲットとして意識していると思います。大学の入試担当者に聞くと、少子化が進んでいく中で、難関の国公立大に合格する学力の高い受験生を1人でも多く取り込みたいという考えがあるようです。地方の国公立大に下宿して通うより、自宅から通える私立大というのが、選ばれる選択肢になっていく可能性はありますね。

駿台が選ばれる理由

--医学部を目指すにあたり、医学部受験を看板にしている塾が多い中、あえて「駿台」を選ぶメリットはどこにあると思いますか。

細谷氏:合格者の数」と「情報の量」だと思います。

 医学部受験は学力はもちろんのこと、情報も非常に大事です。駿台は大学によっては合格者の半分以上を占めるほどの合格者を輩出しています。駿台ではそのデータをもとにどのような力がその大学に必要か、どういうタイプの受験生が向いているか等を高い精度で分析しています。当然講師はそれを織り込んだ授業やテキスト作成を行います。そのため、生徒の使う駿台のテキストや授業で取り組む演習には無駄がありません。この好循環が駿台の最大の強みだと言えます。

 さらに最近では、ICTも積極的に活用しています。授業でタブレットを使うことで、演習ごとの正答率を講師が的確に把握することができています。正答率が100%の問題は授業で教える必要はありません。それよりも、生徒の正答率が低く、かつそれが合否を分けるような問題を洗い出し、解き切る力を身に付けてもらうことが重要です。ICTのおかげで、そうした効率の良い授業を実施できているのも、駿台の強みだと思っています。

医師への登竜門、市谷校舎

鳥井氏:大規模な市谷校舎とは対照的に、梅田校は1クラス30人とし、少人数の手厚い体制でスタートしていく予定です。生徒それぞれ教科に得意・不得意があるので、教科ごとの達成度に合わせてクラスを振り分け、得意を伸ばし、苦手をなくしていきます。特に医学部受験では、苦手をなくすというのがとても大切なのです。

 成績が伸び悩んでいる生徒は、言い換えればまだ伸びしろがあり、十分期待できると言えます。梅田校では少人数のメリットを活かし、講師がピンポイントでアドバイスしたり、担任がメンタル面でサポートしたりと、生徒に近い距離できめ細やかに指導し、成績を伸ばしていきます。

大規模な市谷校舎とは対照的に、梅田校は1クラス30人とし、少人数の手厚い体制でスタート

--先日、市谷校舎の卒業生にインタビューをしましたが、皆さんが駿台の「手厚さ」「講師や職員の方々との距離の近さ」を語っていたのがとても印象的でした。駿台といえば伝統ある老舗の予備校として知られ、大人数講義でどちらかというとドライな印象をもたれがちですが、講師だけでなく職員の方々も熱心で、愛情あふれる場所なのだなと感じました。

細谷氏:市谷校舎の職員は医学部入試のプロフェッショナルで、高卒生クラスの担任として生徒たちの日常を支えています。現役生についても、医学部に通う学生がクラスリーダーとしてサポートしていますが、医学部入試に特化した進路アドバイザー(職員)にも随時進路の相談ができる体制になっています。そのため職員は非常に多忙ではありますが、帰ろうとしたときに生徒から急に「面談したい」と呼び止められても「じゃあ明日ね」とは言わないですね。「話がある」「聞いてください」と言われたらその場に荷物を置いて、生徒に向き合う。そのくらい生徒思いです。

鳥井氏:細谷も僕も、そうやって担任の経験を積んできました。遅刻や無断欠席を厳しく指導して、生徒に嫌われることも多々ありました。医学部受験は浪人が続くこともあって、ストレスも相当溜まっていきます。僕らはそのストレスの捌け口にもなりながら、日々ひとりひとりに伴走しています。大変なこともありますが、無事に医学部に合格してお礼を言いに来てくれるのは、何度経験しても嬉しいですね。とてもやりがいのある仕事です。

--そうやってこれまでたくさんの医学部合格者を見届けてきた中で、医学部に合格する生徒に共通するのはどういったものでしょうか。

細谷氏:勉強時間がしっかり取れていることです。勉強時間を十分確保し、勉強する習慣づけができていないと良い結果には繋がりませんし、そもそも医師になるために必要な勉強量は膨大ですから、入学してからも大変なことになります。学校での勉強を含めて、1日10時間は勉強する。医学部に入りたいと決めた時点からそういった習慣づけができている生徒はその分合格に近いように思いますね。

鳥井氏:学習時間に加えて、医学部に合格する生徒の気質には3つの共通点があると思います。

 1つ目は「謙虚さ」。人の意見を自分なりに噛み砕いて理解し、取り込んでいく「傾聴力」です。自分のやり方に固執せず、「こういう解き方もあるのか」と受け入れられることで、学力の幅や奥行きを広げていくことができます。

 2つ目は「自信」。「自分は将来医師になる」ということを信じてやれているかはとても大事なところです。

 3つ目は「耐える力」。しんどいこと、辛いことがあってもあきらめない力です。

 この3つは、医師になっても必要な力だと思います。

「医者になって良かった」という言葉を聞けることが幸せ

--医学部合格のために家庭ではどんなサポートができますか。

細谷氏:「情報収集」と言いたいところですが、最近は保護者の方が熱心すぎて、得た情報や価値観を子供に押し付けてしまうケースが少なくありません。ネット上の噂をさも事実のように保護者から伝えられてしまい、どうしたら良いかと生徒から相談を受けることもよくあります。

 それよりも、医学部入試では必ず面接があるので、志望理由等、大人にちゃんと伝わるコミュニケーションができるかどうか、壁打ちの相手になってあげるほうが、よっぽど感謝されると思います。

鳥井氏:僕も、家庭で日ごろのコミュニケーションが取れているかどうかは、合格する生徒の共通点として感じるところです。特に子供の意思を聞いてあげるのは大事かなと。そうした家庭では、共通テスト後の受験校選びといった重要な場面でもスムーズに切り替えられ、子供がすぐに次の勉強に集中できるんです。

 毎年入試が終わり、合格した生徒たちに聞いても、「保護者に話を聞いてもらえて嬉しかった」という意見がとても多いです。

--10代後半にもなるとコミュニケーションも難しいと思いますが、どのように声をかければ良いのでしょうか。

細谷氏:さすがに顔を合わせるたびに面接みたいな話題ばかりじゃ息苦しいですからね(笑)。

 「おはよう」「おかえり」「おやすみ」といった挨拶のほか、「体調どう?」「明日のお弁当のおかず、何が良い?」とか、さりげなく関心を向けてあげるというのが、当たり前のことですが大事なのではないかなと思います。

--医学部はどこも偏差値が高く、「滑り止め」とは言えません。それでも「どうしても医学部に行きたい」「もう1年頑張りたい」と言われたら、保護者はどう受けとめたら良いでしょうか。

細谷氏:今は少子化で大学全入時代と言われていますが、医学部だけはまったく別物です。狭き門であり、浪人は普通です。ですからなるべく、本人の気持ちを尊重してあげてほしいです。

 というのも、医学部受験は再受験生が多いんです。医師への夢を諦めきれず、大学を中退、あるいは卒業してから再受験での合格を目標に頑張っている生徒は市谷校舎にもたくさんいます。

鳥井氏:私も大学院まで卒業し、社会人になってから、「やっぱり医師になる夢を諦めきれなかった」といって再受験した生徒を受けもったことがあります。

細谷氏:社会人を経験してからの再受験、多いですね。親としては、「医学部じゃなくても受かった大学に行けば良い」「あと1年浪人したって先は見えない」と堅実な選択に導いたつもりでも、結局は遠回りさせてしまったというのはよくある話です。

 ですから医学部受験の場合、保護者の方は少し長いスパンで見守ってあげたほうが良いかもしれません。少し極端な言い方をすれば、死に際に子供から「あのとき医者になっておけば良かった」と悔やまれるよりは、「大学に入るのには苦労したけれど、医者になって良かったよ」という言葉を聞けた方がお互い幸せなんじゃないかなと思うんです。

鳥井氏:卒業生がよく連絡をくれますが、皆、日本のあちこちで医師として活躍し、充実した日々を送っているようすにはこちらも励まされます。ぜひ医学部を目指す皆さんにはそんな先輩たちに続けるよう、初志を貫いてもらいたいですし、保護者の方々もどうか焦らずに長い目で見守ってもらえたらと思います。

--医師を目指す受験生、そして保護者に向けて、医学部受験のプロフェッショナルであるお二人からメッセージをお願いします。

鳥井氏:医師という仕事は、大学に合格した後も、そして晴れて医師になった後も絶えず新しいことを勉強し続けなければいけません。つまり、医学部に合格するための大変な受験勉強は、医師になるためには欠かせない第一歩であることを忘れないでほしいです。

 今、自分がやっていることが医師としての人生に繋がっていると思えば、それも受験勉強の励みになるのではないでしょうか。

 保護者の方には、お子さんの夢を応援していただくうえで、過度なプレッシャーをかけることだけはやめてほしいと思います。先ほど細谷が言ったように、受験が近づいてきたからといって特別に気を遣ったり、身構えたりするようなことはせず、いつもどおりに接してあげてください。

細谷氏:世の中にある職業の中でも、医師は人の命を預かる大変な仕事です。身を削るほどハードな職業をあえて志し、まずはそのスタートラインに立つためにこんなにも頑張っている皆さんを、僕はずっと年上ですが本当に尊敬しています。

 このような尊い、素晴らしい夢をもっているのだから、今の成績だけで判断せず、決して諦めないでほしい。成績が悪くても最後まで諦めずに夢を叶えた先輩たちを僕はたくさん見てきました。だからこそ心から応援したいです。

 ストレスもひとしおにかかってくる受験期、保護者の方は、どうかお子さんが抱え過ぎないように支えてあげてください。

--医学部受験は人生を賭けた尊い仕事への第一歩ですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。


 医学部合格に圧倒的な実績を誇る駿台。私はこれまでの取材を通じ、授業や教材、そして情報の量も質もさることながら、駿台のこの強さは生徒を支える「人」にあると感じている。

 「帰ろうとした時に生徒から急に『面談したい』と呼び止められても、『じゃあ明日ね』とは言わない。『話がある』『聞いてください』と言われたらその場でカバンを置ける」。そんな「人」に支えられ、面談で泣きながらも「絶対に最後まで諦めるな」と励まされ、夢を叶えていった医師の卵たちがどれほどいるだろう。

 40年を超える市谷校舎の歴史は、駿台で日々生徒を支え続けてきた人たちの思いが受け継がれた歴史だ。そしてこの春からは、大阪・梅田という地にも、新たにその歴史が紡がれていくことだろう。

駿台の医学部受験コース、詳細はこちら
関西初!医学部専門校舎が梅田に誕生
《加藤紀子》

加藤紀子

京都市出まれ。東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、経済産業省『未来の教室』など、教育分野を中心に様々なメディアで取材・執筆。初の自著『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)は17万部のベストセラーに。現在はリセマムで編集長を務める。

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