【夏休み2023】第69回青少年読書感想文全国コンクール課題図書一覧

 全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催する「青少年読書感想文全国コンクール」は2023年で69回目の開催となる。コンクール課題図書を、小学校低学年、小学校中学年、小学校高学年、中学校、高校の区分ごとに紹介する。

教育・受験 小学生
青少年読書感想文全国コンクール公式Webサイト
  • 青少年読書感想文全国コンクール公式Webサイト
  • コンクールの開催趣旨、対象図書
  • 応募資格および区分、用紙・字数
  • 応募作品、作品提出、応募締切
  • 作品と氏名等の使用・公表、審査
  • 入賞発表、表彰
  • 入賞・入選作品の著作権・公表、表彰式、受賞証明書について、青少年読書感想文コンクール運営事務局

 新型コロナウイルス感染症による外出等の制限もなくなり、今年の夏休みは、旅行や帰省、海水浴等、やりたいことを早めにピックアップしているご家庭もあるのではないだろうか。

 例年、夏休みの課題の1つとして出されることが多い「読書感想文」。全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催する「青少年読書感想文全国コンクール」は2023年で69回目の開催となる。このコンクールは地方審査を経て中央審査会へと進み、段階的に審査が行われるため、締切りは都道府県により異なる。また作品は在籍校を通して提出することとなっている。

 青少年読書感想文全国コンクールのWebサイトでは、第69回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書がすでに発表されている。そこで2023年度の課題図書を、小学校低学年、小学校中学年、小学校高学年、中学校、高校の区分ごとに紹介する。なお選定理由は、第69回青少年読書感想文全国コンクール「課題図書」選定委員会の報告をもとにしている。

 夏休みはまだ先ではあるが、課題図書を一足先にチェックして、勉強に、遊びに充実した夏休みの計画の第一歩としてみてはいかがだろう。

<目次>
・小学校低学年(1、2年生)
・小学校中学年(3、4年生)
・小学校高学年(5、6年生)
・中学校
・高等学校

小学校低学年(1・2年生)の部



それで、いい!


それで、いい! (本はともだち♪ 26)
¥1,430
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 自己肯定感が小学校低学年なりに伝わってくる、自分のよさや自分の好きなものを考えられるような内容で、心がやさしく温かくなる。特に1年生に読んでほしいかわいい作品。

【書籍情報】
出版社:ポプラ社
作:礒みゆき
絵:はたこうしろう
価格:1,430円(税込)
あらすじ:絵を描くのが大好きな、きつね。上手下手なんて考えもせず、夢中で絵を描いていました。あるとき、先生がきつねに展覧会に絵を出品するように勧めました。「みんながおどろくような、すごい絵を描く! 」と意気込むものの、なにを描いてもすごい絵なのかどうかわからず不安ばかりが募り、とうとうきつねは絵を描けなくなって…。


よるのあいだに…:みんなをささえる はたらく人たち


よるのあいだに…
¥1,760
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 人々が眠る夜間に働いている人々とその仕事が物語として描かれており、子供の視野の広がりが得られる。翻訳絵本としての絵と文の表現が高く評価でき、紙の本のよさを再認識できる装丁。

【書籍情報】
出版社:BL出版
文:ポリー・フェイバー
絵:ハリエット・ホブデイ
訳:中井はるの
価格:1,760円(税込)
あらすじ:町のあんぜんをまもる警察官や、たいせつなニュースをつたえるレポーターなど、わたしがねているよるも、たくさんの人たちがはたらいて、みんなのくらしをささえてくれている…。私たちが生活する中で、なかなか直接目にすることのない、夜間にはたらく人たちの仕事を、子供目線のやさしい表現で追いかける絵本。


けんかのたね


けんかのたね
¥1,430
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 昔話のような、わかりやすく、オチのあるストーリーの中に、少し長めの文章をしっかり読ませるという文章の力を感じる作品。読んで楽しむのはもちろん、読書感想文を読みたくなる物語。

【書籍情報】
出版社:岩波書店
作:ラッセル・ホーバン
訳:小宮由
絵:大野八生
価格:1,430円(税込)
あらすじ:ある日の夕方、家の中は大さわぎ。いぬは、ねこをおいまわし、4人きょうだいは大げんか。わけをきいても、口ぐちに、自分のせいじゃないというばかり。いいわけをする子供たちと、いいわけのできないいぬとねこ、そして、いいわけをしなかったねずみの、たのしい絵童話。


うまれてくるよ海のなか


うまれてくるよ 海のなか
¥1,540
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 海の中の生き物が、それぞれいろいろな場所で産卵し、それぞれの方法で育てていることがわかる。低学年向きの自然科学の本として、写真がよく、命の大切さや命を守る工夫が伝わってくる。

【書籍情報】
出版社:アリス館
文:かんちくたかこ
写真:高久至
あらすじ:海のなかにくらす、たくさんの生きものたち。たくさんの卵がうまれて、でも、おとなになれるのは、ほんのちょっと。だから、なるべくたくさんの卵がぶじにかえるように、海のおとうさん、おかあさんは、いっしょうけんめい。けなげでたくましい親たちのすがた、きれいでかわいらしい卵や子供たちのすがたを、美しい写真とやさしい文で紹介。


小学校中学年(3・4年生)の部



ライスボールとみそ蔵と


ライスボールとみそ蔵と
¥1,540
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 主人公が自らの「足もと」に目を向けていく心の変化の過程が、読みやすい文章で書かれている。また、味噌の歴史や作り方を通して、日本の食文化について理解を深められる。

【書籍情報】
出版社:絵本塾出版
作:横田明子
絵:塚越文雄
価格:1,540円(税込)
あらすじ:古い蔵で手作りみそを作る家に生まれたジュンは、お父さんから「もっとみそに興味を持って」と言われるのがいやでたまらない。そんな時、ロンドンからの転校生、ユキちゃんに「蔵を見せてほしい」とたのまれ、これがきっかけで、ジュンの心はだんだんと変化して…。ジュンがみそ蔵で思いついたアイデアとは?


秘密の大作戦!フードバンクどろぼうをつかまえろ!


秘密の大作戦! フードバンクどろぼうをつかまえろ!
¥1,540
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 貧困のもと、困難な状況の主人公と家族が互いを思いやるようすが、温かく描かれている。泥棒を捕える場面の躍動感や挿絵に親しみが持て、物語を楽しむうちに貧困を考えるヒントが得られる。

【書籍情報】
出版社:あすなろ書房
著:オンジャリQ・ラウフ
訳:千葉茂樹
絵:スギヤマカナヨ
価格:1,540円(税込)
あらすじ:おなかをすかせた人たちを救ってきたフードバンク(食べ物銀行)。そんな世界でいちばんすばらしい銀行が、悪いやつらにねらわれているらしい。ネルソンたちは、子供探偵となってひそかに調査をはじめるが…。


化石のよぶ声がきこえる:天才恐竜ハンターウェンディ・スロボーダ


【選定理由】
 3年生向けのノンフィクションが少ない中、現役科学者の子供時代から業績をあげるまでを生き生きと描き、大人になることへの夢や憧れを持てる点、男女問わず興味を引く内容となっている。

【書籍情報】
出版社:くもん出版
作:ヘレイン・ベッカー
絵:サンドラ・デュメイ
訳・監修:木村由莉
価格:1,760円(税込)
あらすじ:ウェンディは、ほかのみんなが気づかないすてきなものを見つける天才。ある日見つけたのは、なんと何千万年も前の恐竜の化石! この発見が、ウェンディの人生を大きく変えることになって……。白亜紀を生きた恐竜「ウェンディケラトプス」の化石を世界ではじめて発掘し、その名の由来となった女性恐竜ハンター、ウェンディ・スロボーダの半生を描いた伝記絵本。自分の好きなことをひたむきに追求することのすばらしさを伝えてくれる1冊。


給食室のいちにち


給食室のいちにち
¥1,870
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 衛生面から児童が入れない給食室で、身近な給食がどのように作られているか、子供が理解できるよう、その過程をわかりやすく表現している。また、食育や勤労の視点も取り入れている。

【書籍情報】
出版社:少年写真新聞社
文:大塚菜生
絵:イシヤマアズサ
価格:1,870円(税込)
あらすじ:給食はどうやってできるの? 栄養士ってどんな仕事? 身支度、検収、打合せ、調理、片づけ、食に関する指導、献立づくりまで、小学校の給食室と栄養士の現場がいきいきと描かれ、安全でおいしい給食はどのようにして教室まで届けられるのかを楽しく学べる絵本。


小学校高学年(5・6年生)の部



ふたりのえびす


ふたりのえびす フレーベル館文学の森 (絵本・児童書)
¥1,463
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 キャラを演じて自分を隠し、本来の姿を理解してほしいと苦悩する主人公の姿に読者が重ね合わせて考えることができる。あわせて読者に自身と周りの人々への気づきや共感をわき起こさせる。

【書籍情報】
出版社:フレーベル館
作:髙森美由紀
価格:1,540円(税込)
あらすじ:クラスでは明るいおちゃらけキャラを演じている太一。王子と呼ばれ女子に人気の高い大路優希と「八戸えんぶり」でえびす舞を踊ることになった。たがいの気持ちをぶつけ合いながら、最後にふたりがつかんだものとは?


5番レーン


【選定理由】
 韓国を舞台に、学校の水泳部で悩みを持ちながら成長する主人公と読書を通して知り合うことは、読者にとって大きな成長につながる。等身大の子供との出会い・触れあいが期待できる。

【書籍情報】
出版社:鈴木出版
作:ウン・ソホル
絵:ノ・インギョン
訳:すんみ
価格:1,760円(税込)
あらすじ:小6女子カン・ナルは、常勝を誇る水泳部のエース。でも、最近はライバルに負け続け、悩んでいた。ライバルの不正を疑ったことから引き起こしてしまった事件をきっかけに、大きく成長する姿を描く、瑞々しくさわやかな韓国発の青春ストーリー。第21回文学トンネ児童文学賞大賞受賞。


魔女だったかもしれないわたし


魔女だったかもしれないわたし (わたしたちの本棚)
¥1,540
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 多様性と共生について深く考えることができる。自閉的な人たちの特性や悩みが主人公らの体験として描かれ、理解につなげることができる。また、こうした子供たちとの接し方の導きにもなる。

【書籍情報】
出版社:PHP研究所
著:エル・マクニコル
訳:櫛田理絵
価格:1,540円(税込)
あらすじ:スコットランドの小さな村で、二人の姉と両親と共に暮らす自閉の少女・アディ。昔、「人とちがう」というだけで魔女の烙印を押され命を奪われた人々がいることを知ったアディは、その過ちの歴史を忘れぬよう村の委員会に慰霊碑を作ることを提案するのだが…。「わたしも魔女にされていたかもしれない――」魔女として迫害されていた人たちのなかには、自分のような人が含まれていたのではないだろうか…? 「魔女狩り」という史実に絡めて多様性の大切さを訴えつつ、ニューロダイバーシティの見地から自閉の少女の葛藤と成長を描いた感動作。


中村哲物語:大地をうるおし平和につくした医師


大地をうるおし平和につくした医師 中村哲物語
¥1,760
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 中村哲氏の一生や生きざまを丁寧に描き、小学生でも十分に理解でき、共感できる。また、「寄り添う」姿勢や、「人を育てる」姿勢が読み取れ、用水路建設が成し遂げられた理由が理解できる。

【書籍情報】
出版社:汐文社
著:松島恵利子
価格:1,760円(税込)
あらすじ:医師だった中村哲先生は、アフガニスタンで内戦や干ばつで苦しむ多くの人々を救うためには医療だけでは限界があることを痛感し、水路を作り土地を潤し農作物を蘇らせた人物。凶弾に倒れてしまった今、先生の生き方が多くの人々に与えているものとは。波乱にみちた生涯をつづる伝記。


中学校の部



スクラッチ


スクラッチ
¥1,650
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 コロナ禍初期の制限された学校生活の日常が描かれ、切実感がある。閉塞(へいそく)した状況で、登場人物の成長するようすが読者の共感を呼び、周囲の人物の描き方も丹念。奥深い感想文を期待できる。

【書籍情報】
出版社:あかね書房
作者:歌代朔
価格:1,650円(税込)
あらすじ:コロナ禍で「総体」が中止になったバレー部キャプテンの鈴音。美術部部長の千暁は出展する予定の「市郡展」も審査が中止。「平常心」と自分に言い聞かせ「カラフルな運動部の群像」の出展作を描き続ける千暁のキャンバスに、鈴音が不注意から墨を飛ばしてしまい…。コロナ禍のなかで、もがきながら自分たちらしい生き方を掴み取っていく中学生たちの、疾走する「爪痕」を描く物語。


アップステージ:シャイなわたしが舞台に立つまで


アップステージ: シャイなわたしが舞台に立つまで
¥1,760
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 読書の喜びを与えてくれる物語。持ち前の音楽的能力を生かし、妬みや妨害に立ち向かいながら主人公が成長していくようすが描かれ、読者の前向きな共感が期待できる。

【書籍情報】
出版社:評論社
作:ダイアナ・ハーモン・アシャー
訳:武富博子
価格:1,760円(税込)
あらすじ:シーラは目立つことが大きらいな女の子。学校で「ザ・ミュージック・マン」のミュージカルに取り組むことになり、先生や親友に強くすすめられてオーディションを受けたシーラは、カルテットのひとりに選ばれる。練習を重ねるうち、シーラはこのミュージカルを心から愛するようになる。さまざまなトラブルや淡い恋の芽生えのなか、とうとう幕を開ける日がやってきて…。原題の「アップステージ」とは、舞台で主役がかすむようなことをする、という意味がある。


人がつくった川・荒川:水害からいのちを守り、暮らしを豊かにする


【選定理由】
 荒川の変化や、人の暮らしに深くかかわるようすが歴史的、地勢的に書かれている。大きな河川が人の暮らしを守り、その営みの素晴らしさに気づかせたり、環境問題へ思いをめぐらせたりできる。

【書籍情報】
出版社:旬報社
著:長谷川敦
価格:1,760円(税込)
あらすじ:首都圏をつらぬき、流域に約1,000万人が住む荒川は、人の手でつくられた川。かつて、荒ぶる川=荒川の流れを変えることで江戸の繁栄はうみだされ、たび重なる洪水から人々を守ってた。川の歴史と流域の暮らしの変化をていねいに追いかけながら、地球温暖化が原因とされる近年の大規模な水害をどう防ぐかまで、荒川の過去・現在・未来を旅する。


高等学校の部



ラブカは静かに弓を持つ


ラブカは静かに弓を持つ (集英社文芸単行本)
¥1,760
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 主人公の目や耳を通して、音楽の本質に読者に触れてほしい。また音楽を通して変化していく、主人公の苦悩や想(おも)いを読者に感じ取ってほしい。

【書籍情報】
出版社:集英社
著:安壇美緒
価格:1,760円(税込)
あらすじ:少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘は、ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り…。心震える「スパイ×音楽」小説。


タガヤセ!日本 :「農水省の白石さん」が農業の魅力教えます


【選定理由】
 農業を新しい視点で見つめなおし、その技術力や生産力が進化していることを知ってもらいたい。食料自給率ばかりが問題とされがちな昨今、新しい視点で農業を考えてもらいたい。

【書籍情報】
出版社:河出書房新社
著:白石優生
価格:1,562円(税込)
あらすじ:官僚YouTuberとしてメディアにも登場する著者が、最新の農業から、実はスゴい日本の農作物や日本の農業の未来までを語る1冊。


昆虫の惑星:虫たちは今日も地球を回す


昆虫の惑星 虫たちは今日も地球を回す (&books)
¥1,980
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

【選定理由】
 女性科学者による本書は、理系女子の励みにと期待を込めて選定。地球環境の激変が心配される中、昆虫保護の視点からも高校生がさまざまな考えをめぐらすことができる。

【書籍情報】
出版社:辰巳出版
著:アンヌ・スヴェルトルップ=ティーゲソン
訳:小林玲子
価格:1,980円(税込)
あらすじ:女性昆虫学者が語る奇妙で、美しく、風変わりな虫たちの話。プラスチックを食べるミールワーム、食べ物や日用品に貢献するミツバチ、傷を癒すニクバエ、農耕や牧畜をするアリ、子煩悩なハサミムシ、水中で音楽を奏でるミズムシ…。そんな昆虫たちのめくるめく世界へと誘う、ノルウェーから届いた「知ること」の楽しさに満ちた、世界22か国以上で翻訳されているネイチャー・ノンフィクション。




《編集部》

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