熊本【高校受験2024】目標の2段構えで、2学期以降も飛躍を…英進館に聞く合格戦略

 九州地方における高校受験において、難関校合格者を毎年多数輩出する学習塾「英進館」。複雑な入試システムと言われる熊本県公立高校入試における知見をもつ同塾に、熊本県公立高校合格を目指す受験生にアドバイスをもらった。

教育・受験 中学生
PR
英進館熊本本館 外観写真
  • 英進館熊本本館 外観写真
  • 令和5年度(2023年度)熊本県公立高等学校入学者選抜における後期(一般)選抜出願者数(一部)
  • 熊本県公立高等学校入学者選抜 後期(一般)選抜の平均点
  • 令和5年度(2023年度)熊本県公立高等学校入学者選抜後期(一般)選抜における学校選択問題一覧(一部)
  • 英進館名物「大予想模試」では、2023年度も的中問題が続出した
  • 熊本県私立高校奨学生制度について(一部)
  • 2024年度入試に関して、すでに入試日程の変更が告知されている

 九州地方における高校受験において、難関校合格者を毎年多数輩出する学習塾「英進館」。教場を構える各県で、2023年度入試においても輝かしい合格実績をあげた。公立志望者の多い熊本県内の状況を知り尽くす英進館の講師陣に、最新動向や出題傾向、夏休みを有意義に過ごす心構えなどを聞いた。

 取材に協力いただいたのは、英進館・熊本ブロック長の奥畑健太郎氏、江津校教室長の荒木規克氏、帯山校教室長の林田尚氏、京町校教室長の山下真一氏の4名。熊本県公立高校に関して造詣が深い先生方だ。

熊本県内で圧倒的な合格実績「英進館」の詳細はこちら

2023年度の熊本県公立高校入試を振り返って

--難関校の2023年度入試について、概況を教えてください。

林田氏:熊本県では伝統的に公立高校の人気が高く、第一志望にする学生が多くを占めます。特に、熊本市内には県内の人気校が集中していることもあり、それら人気校のほとんどが倍率1.5倍以上です。難関校として人気のある、熊本・済々黌・第二・第一の4校も同じく熊本市内にあります。英進館は熊本市内に10か所の教場を構えていることもあり、2023年度入試では、上位4校に過去最高の443名の合格者を輩出することができました。

 熊本は2023年度の医学部医学科合格者数が公立高校の中では全国1位を誇る、県内最難関校です。倍率は1.5倍で、2022年度の1.39倍からさらに高倍率に推移しました。その他の難関校の2023年度入試における倍率は、済々黌が1.33倍、第二が1.58倍、第一が1.71倍という結果でした。トップ4校の中では、例年済々黌は倍率が高い傾向にありますので、今回の熊本の高倍率は受験生としても注目のニュースとなりました。

令和5年度(2023年度)熊本県公立高等学校入学者選抜における後期(一般)選抜出願者数(一部)

--熊本県公立高校入試のシステムを、今一度整理してご紹介いただけますか。

荒木氏:熊本県の公立高校入試では、前期特色入試と後期一般入試の2つが実施されます。普通科の大多数は、後期一般入試による選抜です。他県と異なり、推薦入試は実施されていません

 前期特色入試は普通科以外で実施され、学校ごとに入試問題が異なり、倍率が高いことが特徴です。現在、熊本市内のトップ4校で前期特色入試を実施しているのは第二の理数科では、2023年度の倍率も約4倍と、非常に狭き門となっています。

 なお、前期入試は、各校における問題作成等の負担の軽減や公平な選抜体制の確保のため、2027年度からの廃止が検討されています。

--後期一般入試についてはいかがでしょう。

荒木氏:後期一般入試は、5教科各50点の250点満点で、試験時間は各50分間です。2023年度の県全体の入試平均点は119.3点。例年、満点の半分前後で推移しており、記述式の問題が多く難易度が高いのが特徴です。

熊本県公立高等学校入学者選抜 後期(一般)選抜の平均点(情報提供:英進館)

 英進館では、次年度の受験生の合格判定のためのデータ分析を行っています。受験を終えた塾生に入試の得点開示に協力してもらうことで、精度の高い合格判定につながっています。2023年度入試の合格ボーダーラインをみると、熊本は189点前後、済々黌は171点前後、第二は153点前後、第一は149点前後でした。

 ここで「前後」と表現するのは、当日の点数だけではなく、中学3年間の内申点も加味されて合否が出されるという理由からです。当日の点数と内申点の比重や選抜方法が学校ごとに異なるなど、各校が非常に複雑な選抜を行っています。県内の中学校では入試制度の説明会が開かれることが多いですが、その説明だけでは完全に理解することはなかなか難しいのが現状です。情報収集でお困りの際には、ぜひ塾を頼ってほしいですね。英進館では、三者面談などを通して保護者と生徒の皆さんに志望校に応じたきめ細かいサポートをしています。

--2023年度の各教科の出題内容について教えてください。傾向はありますか。

林田氏:近年、全科目で論述問題や、図表や資料を用いた思考力を問われる出題が増えています。一問一答のような知識問題はほとんど出題されません。とりわけ2023年度は、理科で実験内容を読んで考えさせる問題の難易度が高く、科目平均点は過去最低となりました。

 また、英語と数学にはA問題とB問題の2種類があり、学校選択問題と呼ばれています。熊本市内の高校では、B問題を選択している高校がほとんどです。B問題は難易度が高く、たとえば英語ではリスニングも含めて、おもに語彙量や文章量の点においてA問題より難しく設定されています。

令和5年度(2023年度)熊本県公立高等学校入学者選抜後期(一般)選抜における学校選択問題一覧(一部)

2024年度の入試に向けて

--2024年度の入試に関して、すでに発表されている変更点等はありますか。

山下氏:すでに公開されている情報の中での大きな変更点としては、入試日程の変更があります。前期特色入試が2024年2月1日、後期一般入試が3月5・6日に予定されており、2023年度からすると7~10日後ろ倒しでの実施となります。これはコロナ禍、追試を3月中旬に実施するため入試日が前倒しになっていたものを、かつての入試スケジュールに戻す動きです。

2024年度入試に関して、すでに入試日程の変更が告知されている(情報提供:英進館)

 また、熊本県内に2つある市立高校、千原台と必由館についても変更点を紹介しておきましょう。これら市立2校は、いずれも人気校です。熊本市教育委員会では、九州で初めて市立高校の後期一般入試で市独自のマークシート方式の導入を検討しています。これに先駆け、千原台は2024年度から、必由館高校は2025年度から採用予定です。具体的なサンプル問題等の発表はまだありませんが、内容としては基本的なものだと説明されています。

 必由館では文理総合探求科が新設され、現在の普通科は文理コースに、服飾デザイン科は生活デザインコースに名称を変更予定です。従来の国際コースは廃止となります。

--そのような変更を踏まえ、難関人気校の倍率は2024年度どのように予想されますか。

山下氏:上位4校(熊本・済々黌・第二・第一)の人気は例年と変わらないと予測されます。昨年倍率が逆転した熊本・済々黌に関しては、例年どおりに戻るかもしれませんね。

--熊本県内の人気は「公立優位」とのことですが、併願の私立校についても状況を教えてください。

荒木氏:熊本市内の上位4校を志望する生徒の併願校としては、熊本学園大学付属が人気です。同校は国公立大学への進学に強く、2023年度は約120名が国公立に合格しています。

 また、医学系に強いと言われる真和のほか、熊本マリスト学園九州学院も人気です。近年、就学支援金制度による授業料の実質無償化や各校の魅力化(特進コースの設置やそれにともなう大学合格実績の引き上げなど)により、私立を志望する割合も以前より増加傾向にあります。

 私立の入試は1月下旬の奨学・特待入試や専願入試と、2月中旬の一般入試の2回実施され、公立が第一志望の場合、まずは1月入試を受験することがほとんどです

熊本県私立高校奨学生制度について(一部)(情報提供:英進館)

公立トップ4校への盤石な合格実績、レベル別のクラス編成でサポート

--県内の公立トップ4校に安定的に合格者を輩出し、2023年には第一・第二で過去最高の合格実績をあげました。そんな英進館のクラス編成や特徴を教えてください。

奥畑氏:まず、大きな特徴として、県内だけでなく久留米大学附設やラ・サール、灘といった全国の超難関私立校にチャレンジする「TZクラス」と、そこからさらに選抜された生徒が学ぶ「TZSクラス」があります。これらのクラスは高校受験だけでなく、その先の大学入試を見据えて特別なカリキュラムを組んでいます。公立志向が強い熊本県においては最終的にクラスの8割が熊本高校に進学しますが、超難関のための極めてレベルの高いカリキュラムを学んでおくことで、入学時からアドバンテージをもって高校の授業に向かえると好評です。

 また、それに続く「TSクラス」では各中学校のトップ層が集まり、県内最難関の熊本高校を目指して学びます。入試本番では1点の差が大きいため、正答率が低い問題も確実に得点できるよう、各科目で一歩踏み込んだ指導を行います。

 そのほか、先ほどご紹介した公立トップ4校を目指す「Sクラス」、それに次ぐ公立高校への進学を目指す「Aクラス」の計5つのクラスで習熟度別に編成しています。

レベル別コースで志望校を目指す「英進館」の高校受験カリキュラム

受験生の学習戦略、目標設定は「2段構え」が鍵

--夏休みの効果的な学習の進め方や心構えについて、受験生にアドバイスをください。

荒木氏:夏休みで部活動や行事が一区切りする受験生も多いと思います。この40日間は、丸々集中的に勉強に取り組める貴重な期間です。冬休みは直前期にあたり、総復習や私立併願校の準備が必要になってくるため、「成績を上げる」ための地固めができるのは夏休みが最後のチャンスです。夏期講習中にいかに集中して取り組めるかが非常に大事。1学期までに思うような結果が出ていない方も、まだ十分取り戻すことが可能です。

--夏休みの学習において、受験生はどのようなことに照準を合わせれば良いでしょうか。

荒木氏:第1の目標地点は、2023年10月24日・25日に実施される「熊本県共通テスト」です。県中学校共通テスト実施協議会が作成する全県共通の問題で、7~8割が中2までの履修範囲から出題されます。このテストの結果を元に学校で三者面談を行い、志望校を決定していくため、ここでいかに点数を取れるかが重要です。

 このテストはコロナ前には年2回実施されていましたが、ここ数年は年1回のみとなっています。学力を測る機会が減ったこと、そして1回のテストの結果をもとに志望校を決めることに、不安を抱かれている受験生や保護者は多いように感じます。

 そこで英進館では、9月2日と10月14日に問題形式や難易度、出題範囲を熊本県共通テストの本番を模した「熊本県共通テスト予想模試」を実施します。まずは熊本県における高校入試の第一関門となる熊本県共通テストで実力を発揮できるように準備するための模擬試験です。受験者数が多いこともあり、正確に合格ラインを割り出すことができますので、結果を見て「次はこの問題のレベルが解けるように頑張ろう」と小目標を設定することにも役立ちます。目標設定によってモチベーションも変わりますし、その大きな分かれ目となるのが、この夏休みだと思います。ふだん英進館に通っていない一般生も受験できるので、ぜひ本番を安心して迎えるためにチャレンジしてほしいですね。

 第2の目標地点は、後期一般入試本番です。言わずもがな後期一般入試の本番の問題の方が熊本県共通テストより難易度が高いため、夏休み中の学習をテストの対策に終始してしまうと、秋以降に追いつけなくなってしまいます。テストと入試本番への対策のバランスをとり、並行して進めていくことが大事です。

林田氏:英進館では中3の2学期にはすべての学習範囲を終え、それ以降、実際の入試レベルの演習を重ねていきます。その中で私たちがもっとも注力しているのが、直前期の「大予想!模試」です。模試の作成は外部に委託するのではなく、入試問題を研究し尽くした講師陣自らが問題を作成するため、出題の的中率も高い、英進館の名物とも言えるものです。毎年、本番入試直前の数日前に実施した模試の中からズバリ的中が続出しています。そうした受験終盤の追い込みに向けて、まず夏休み中には中3の1学期までの内容を確実に押さえていく必要があります。

英進館名物「大予想!模試」では、2023年度も的中問題が続出した

--最後に、熊本県の公立難関校を志望する保護者の方にメッセージをお願いします。

荒木氏:熊本高校志望者には、国立熊本大学附属中等の中学受験を経験し、小学校時代から入試力を養っている子も多いです。そのため、中学受験を経験していない場合でも熊本高校を第一志望にすると決めた時点で数学・英語を中心に学習を先取りし、固めていくことをお勧めします。

 また、「将来何になりたいのか」「どの大学に進みたいのか」といった目標設定がとても大事です。長期目標を置くことで、高校入試という中期目標や、模試や小テストといった目の前の小目標を突破していくことができます。いざ受験勉強に取り組むとなると、出題範囲が広く、どこから手を出せば良いかわからない方もいると思います。我々講師陣も授業や普段のコミュニケーションを通して受験生の皆さんのモチベーションを上げていくことが大きな務めだと思っています。英進館の模試や授業を、目標管理のツールとして最大限活用していただきたいですね。

--ありがとうございました。

天王山を制する!中3生対象「英進館」の夏期 後期集中クラス

 複雑な熊本県の公立高校の受験事情を知り尽くす、英進館の講師陣。長年に渡って蓄積された精度の高いデータを用いて解説いただいた本記事を通し、合格への道筋をイメージすることができた受験生もいるのではないだろうか。夏休みという貴重な時間を、大きな目標を抱く仲間とともに切磋琢磨することで、飛躍の2学期を迎えてほしい。

《土取真以子》

土取真以子

関西在住の編集・ライター。教育、子育て、ライフスタイル、お出かけのジャンルを中心に、インタビュー記事やイベントレポートなどの執筆を手がける。教育への関心が強く、自身の出産後に保育士資格を取得。趣味が旅行とハイキングで、目標は親子で四国お遍路&スペイン巡礼。

+ 続きを読む

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top