社会貢献の意欲あっても活動は2割程度…若者の意識調査

 日本総合研究所は2023年8月10日、中高・大学生を対象にしたサステナビリティ、金融経済教育、キャリアなどに関する意識調査の結果を公表した。回答者の半数以上が環境問題や社会課題への解決意欲を示しているものの、実際に社会貢献活動を行っているのは2割程度となった。

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社会課題の解決意欲と行動のギャップ
  • 社会課題の解決意欲と行動のギャップ
  • 環境問題や社会課題に取り組む企業への投資に関心があるか
  • 将来結婚した後の希望する働き方
  • 現在の日本は平和であると思うか
  • 次世代からのメッセージ(ハイライト版)

 日本総合研究所は2023年8月10日、中高・大学生を対象にしたサステナビリティ、金融経済教育、キャリアなどに関する意識調査の結果を公表した。回答者の半数以上が環境問題や社会課題への解決意欲を示しているものの、実際に社会貢献活動を行っているのは2割程度となった。

 調査は、国内の中学生、高校生、大学生約1,000人を対象に、2022年11月30日~12月2日にインターネットを利用して実施。同調査は、2020年に行った調査に引き続き、サステナビリティや金融経済教育などに関する若者の意識が、キャリアや結婚、平和に対する考え方にどのような影響を与えているのかを把握するために実施した。また、企業や団体などが政策提言、経営戦略、人材育成などを検討する際に、社会のトレンドを示す指標の1つとして活用できる内容にもなっているという。

 社会課題の解決に役立ちたいかという質問には、「ややそう思う」(38.7%)がもっとも多く、「とてもそう思う」(13.3%)とあわせると、半数以上が環境問題や社会課題への解決意欲を示した。しかし、日ごろ社会貢献活動を行っているかについては、「している」と回答したのは21.3%と、意欲と行動のギャップが見られ、前回調査と同様となった。

 投資をやってみたいかを聞くと、「やってみたい」「どちらかというとやってみたい」と回答した男子は47.8%、女子は39.2%と、男子の関心が高いことがわかった。投資への意欲がある回答者のうち、環境問題や社会課題に取り組む企業への投資の意欲については、「どちらかというとやってみたい」(46.4%)、「やってみたい」(18.6%)と全体の6割を超えた。

 また、将来結婚した後、子供がいない場合に希望する働き方として、「共働き(自分・結婚相手共に働く)」(48.7%)を選んだ若者がもっとも多かった。男子(42.4%)より多くの女子(55.0%)が「共働き(自分・結婚相手共に働く)」を選んでおり、女子の共働きへの意欲が高いこともわかる。

 さらに、「現在の日本は平和である」と思う若者は全体の70.7%である一方、「将来の日本は平和である」と思う若者は全体の49.1%となった。そのほか、「次世代からのメッセージ」として企業に向けたもの、大人に向けたものの2種類を自由記述で設定し、回答結果全文についてAIテキストマイニングを実施。企業に向けたメッセージでは、「景気が良くなるようにしてほしい」「値段を上げるなら給料も上げてほしい」「日本のための行動をしてほしい」など。大人に向けたメッセージでは、「将来のことを考えて行動してほしい」「子供の見本となるようにしてほしい」「下の世代に課題を押し付けないでほしい」などと、それぞれの特徴的なコメントがハイライトされて抽出された。

 日本総合研究所は前回調査において、「環境問題や社会課題への解決意欲はあるが、行動に起こせていない」ことが明らかになったことを受け、自社で開発したサステナビリティ分野の人材育成プログラムを活用し、若者が環境問題や社会課題を学び、解決に向けた行動を体験できる機会を提供。今回の結果も前回調査と同様の結果であったことから、「次世代起点でありたい未来をつくる」取り組みの1つとして、これまで以上に活動を強化する予定だという。

《田中志実》

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