大学の学費「家庭で負担すべき」半数超え…文科省調査

 文部科学省は2024年6月28日、2023年度(令和5年度)先導的大学改革推進委託事業「高等教育の教育費負担等に関する調査研究」の報告書を公開した。国公立大学の学費総額は481.2万円。学費の負担は50.2%が「家庭」がすべきと考えていることがわかった。

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子供の人数別 大学などは、社会に出るための準備であるから、 学費は家庭(保護者など)が負担することを原則とした制度とすべき
  • 子供の人数別 大学などは、社会に出るための準備であるから、 学費は家庭(保護者など)が負担することを原則とした制度とすべき
  • 学校段階別学習費総額(幼小中高は公立、大学は国公立の場合)
  • 子供の人数別「卒業までの学費・生活費は親が出すのが当然だ」
  • 年齢別人口の推移
  • 18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移
  • 令和4年度 高校新卒者の4年制大学、短期大学への進学率(都道府県別)
  • 各国の高等教育費の公私負担割合(2020)
  • 世帯収入別高校卒業後の進路 (2021年度:令和4年3月高校卒業予定の保護者を対象に調査)

 文部科学省は2024年6月28日、2023年度(令和5年度)先導的大学改革推進委託事業「高等教育の教育費負担等に関する調査研究」の報告書を公開した。国公立大学の学費総額は481.2万円。学費の負担は50.2%が「家庭」がすべきと考えていることがわかった。

 「高等教育の教育費負担等に関する調査研究」は、2024年度以降の奨学金制度の改正の実施状況や取組みの効果を今後検証するための基礎とすることを目的に、文部科学省の委託業務として、リベルタス・コンサルティングが実施。現時点における高等教育の投資効果等に係る状況の整理を行うとともに、高等教育費の負担の在り方および負担軽減策の認知度に関する意識を調査した。意識調査は2023年12月12日~20日、全国の19歳以上64歳以下の男女を対象に実施、有効回答数は5,378人。

 2030年には15歳未満人口は10%を切ると推計される中、高等教育機関への進学率は長期的にみて上昇しており、2023年度には84.0%に達している。国別の高等教育費に占める家計支出の割合は、OECD平均約22%に対し、日本は50%以上と高く、公財政支出の割合は、OECD平均の半分程度と他国と比べて低い。

 学校段階別の学習費総額(幼小中高は公立、大学は国公立の場合)は、「小学校」211.2万円、「中学校」161.6万円、「高校」154.3万円、「大学」481.2万円。JASSOの奨学金の利用者数は、修学支援新制度を開始した2020年度(令和2年度)以降、貸与型奨学金の利用は若干減った一方、給付型奨学金の利用は2019年度3.66人から2020年度は27.69人へ急増、その後も増加が続いている。

 高等教育費の負担に係る意識調査からは、約6割が「高等教育費が家計の負担であり少子化の要因」と考えている一方で、高等教育費の負担者を順位付けすると、5割以上が「家庭(保護者)」が1位と考えていることがわかった。ただし、子供がいる、貸与型奨学金を子供が利用しているなどの場合は、「社会(国)」を1位とする割合がやや高い。また、高等教育費の負担感が強い人は、「社会(国)」の順位付けが高い傾向にある。

 高等教育費の負担軽減策である奨学金制度の認知度は、JASSOの貸与型奨学金については約4割、修学支援新制度については15.1%。特に、修学支援新制度については、修学支援新制度の利用者層の親世代である40~64歳・子供あり層において認知度が決して高いとはいえなかった。

 奨学金制度の認知度は、回答者の4割以上を占める「普段、教育に関する情報を得ていない」層において低かった。中でも、世帯年収400万円未満、19~39歳または中卒者である場合においては、さらに高い傾向がみられた。また今回の調査により、高卒者の生涯年収(19歳~65歳)はおよそ1億9,800万円、大卒者は2億6,746万円と推計されたことから、高等教育がもたらす公的効果が大きいことも明らかとなった。

 調査の詳細は、文部科学省のWebサイトで確認できる。

《川端珠紀》

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