文科省が小中学生の情報活用能力調査…目的に応じた情報収集などに課題

 文部科学省は3月24日、児童生徒の「情報活用能力調査」の結果を公表。小中学生ともに整理された情報は読み取れるが、目的に応じて情報を見つけ出し関連付けることや、受け手の状況に応じて情報発信することなどに課題がみられた。

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「情報活用の実践力」に関する調査結果
  • 「情報活用の実践力」に関する調査結果
  • 「情報社会に参画する態度」に関する調査結果
  • 学校におけるICTの使用状況(児童生徒)
  • ICT活用の自己評価(児童生徒)
  • 情報化に関する取組みの状況(学校)
  • 情報活用能力の育成等に関する取組みの状況(学校)
  • 情報活用能力育成に関する指導力の自己評価(小学校教員)
  • 情報活用能力育成に関する指導力の自己評価(中学校教員)
 文部科学省は3月24日、児童生徒の「情報活用能力調査」の結果を公表。小中学生ともに整理された情報は読み取れるが、目的に応じて情報を見つけ出し関連付けることや、受け手の状況に応じて情報発信することなどに課題がみられた。

 同調査は、児童生徒の情報活用能力育成に向けた施策の展開、学習指導の改善、教育課程の検討のための基礎資料を得ることなどを目的に、2014年10月~2015年1月に実施したもの。対象は国公私立の小学5年生116校・3,343人と中学2年生104校・3,338人。質問紙調査は対象学校の校長と教員にも実施した。

 調査内容は、情報活用能力の3つの観点「情報活用の実践力」「情報の科学的理解」「情報社会に参画する態度」についての問題を小学校60分、中学校68分で解答。併せて、児童生徒を対象にコンピュータを使用した学習状況等について、教員および学校を対象に指導状況や情報通信環境の整備状況等についての質問調査を実施した。

 「情報活用の実践力」について、通過率( 正答+準正答の割合 )が高かったのは、「整理された複数の発言者の情報の正誤を読み取る問題」小学校62.4%・中学校84.3%と、「一覧表示された複数のカードにある情報を整理・解釈する問題」中学校76.4%。特に低かったのは「複数のWebページから情報を見つけ出し、関連付ける問題」小学校9.7%と、「複数のWebページから目的に応じて情報を整理・解釈する問題」中学校12.2%。また「プレゼンテーションソフトにて文字や画像を活用してスライドを作成する問題」については、小中学校とも4割に満たなかった。

 「情報の科学的な理解」について、通過率が高かったのは、「電子掲示板の特性を選択する問題」小学校71.9%。一方「SNSの特性を記述する問題」中学校26.7%、「処理手順のフローチャートを作成する問題」中学校17.9%は低く、中学生には情報手段の特性の理解に課題がみられた。

 「情報社会に参画する態度」について、小学生ではブログ上の情報発信における問題点として「個人情報の取扱い」73.0%は理解しているが、「他人の写った写真の取扱い」41.2%など他人の情報の取扱いについての理解に課題がみられた。中学生では不正請求メールへの対応で「入金後URLから退会手続きをする」43.9%など、危険性への対処についての理解に課題がみられた。

 児童生徒の質問調査において、ICTの使用状況は「情報収集」が小中学校ともに約6割であるが、「資料作成」「発表」などでは小中学校ともに1~4割程度であった。また「ICT活用の自己評価」が高いのは「情報検索」で小中学校ともに約7割であるが、「資料作成」「発表」などでは1~3割程度であった。

 学校への質問紙調査において、小中学校ともに6~9割が「個人情報保護手段策定」「積極的な校務の情報化」など学校の情報化に関わる取組みを実施している。一方、情報活用能力の育成等に関する取組みのうち「校内研修」などの実践的研修の実施は、小中学校ともに1~3割と低い傾向にある。教員の質問紙調査において、小中学校ともに6~9割が「情報の誤認性や危険性」「情報社会のルール」「健康面への注意」など情報モラルに関する項目についての指導力の自己評価が高かった。

 また、小中学校ともに調査結果が上位の学校群の教員は、情報を整理させる、自分の考えを表現させる、情報の特性に応じた伝達・コミュニケーションを行わせるなどの授業頻度が高い傾向にある。また、これらの学校群は児童生徒が学校でICTを使用する頻度が高い傾向にある。
《荻田和子》

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