◆民の立場で…ICT CONNECT 21の挑戦 最後に登壇したのは、日本教育情報化振興会会長、ICT CONNECT 21会長の赤堀侃司氏。まず、ドリームスクール発祥の地であるフィンランドで2014年から行われている、オープンソース型のデジタル教材クラウド・プラットフォーム構築プログラム「EduCloud」を紹介した。 「EduCloud」は、デジタル教材を購入できるネットショップ“BAZAAR”、教員同士の教育や技術サポートを行う“KNOW-HOW”、授業活用での共有化/デザインの“GET INSPIRED”の3つの仕組みからなる。BAZAARでは教材のレビューも参照し、導入の参考にできる。教育の平等化を目指すというところでも、フィンランドと日本は共通する点があると赤堀氏は語る。 日本では現在、210社もの教科書・教材メーカーがそれぞれ競争をしており、各社間の協調は難しい。しかし、デジタル教科書では、協調せざるを得ない点も多々出てくるという。事実、教科書会社などによるデジタル教科書のコンソーシアム「CoNETS」では、共通のデジタル教科書フォーマットにのっとったコンテンツ開発を進めている。 クラウドの活用については、現在クラウドシステムを容認しているのは3県のみで、自治体の多くがクラウド上に個人情報を蓄積することを承認していない。相次ぐ個人情報流出などの問題もあり、いまだ大きな課題となっている。 また、赤堀氏はICT教育のモデル校に選ばれた学校が、国のサポートがなくなった後、ICT教育を維持できない例も指摘し、質を落とさないままICT教育を継続していくことの難しさも語った。 一方で、サウジアラビアの学校関係者が日本に視察に来た際、掃除などの課外活動や給食といった日本独自の文化を見て感嘆し、実際に自国の学校に取り入れたことをあげ、「もともとある日本のすばらしい文化に、ICTのテクノロジーを融合させていきたい」とした。 最後に、赤堀氏が会長を務める、学習・教育オープンプラットフォームを目指す「ICT CONNECT 21」の活動を紹介した。デジタル教科書の普及や、技術標準化への取組みなど、「官と民が一緒に、日本の将来のために子どもたちを育成する環境を作っていきましょう」と改めて呼びかけた。
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