高等教育の無償化、国立大・私大間の「不当な格差」是正を…私大団体連

 日本私立大学団体連合会(私大団体連)は2018年2月16日、政府が掲げる「高等教育の無償化」について、授業料減免措置等拡充の施策が国立・私立の大学生間の不当な格差を固定化しかねないとして、2017年12月に引き続き「高等教育の機会均等に関する要望」を再提言した。

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  • 参考 高等教育の機会均等に関する要望
 日本私立大学団体連合会(私大団体連)は2018年2月16日、政府が掲げる高等教育の無償化について、授業料減免措置等拡充の施策が国立・私立の大学生間の不当な格差を固定化しかねないとして、2017年12月に引き続き「高等教育の機会均等に関する要望」を再提出した。

 政府は2017年12月8日に、少子高齢化への対応を柱にした「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定した。そのうちのひとつである高等教育の無償化」では、低所得世帯を対象とした授業料減免措置や給付型奨学金の支給額増などを示している。授業料減免措置については、住民税非課税世帯の子どもたちを対象に、国立大の場合は授業料を免除、私立大の場合は国立大の授業料に加え、私立大の平均授業料の水準を勘案した一定額を加算した額まで対応を図るとしている。

 こうした政府の方針を受け、私大団体連はこの措置が国立大と私立大の間にある不当な格差を固定化する恐れがあるとして、私立大学の要望をまとめた「高等教育の機会均等に関する要望」を2017年12月と2018年2月の2度にわたり、関係方面に提出した。

 私大団体連によると、現在、国立大生と私立大生には公財政支出1人当たり13倍という不当な格差があり、国立大生約54万円、私立大生約122万円という、授業料等納付金の格差を生み出しているという。私大団体連によれば、この格差を是正しないままに政府の授業料減免措置などを拡充すると、現行の私立大の授業料減免措置に対する公的支援の対象者を縮小させる可能性があり、納税者間の不平等の拡大になりかねないという。

 そのため要望書では、まず国立大生と私立大生の間にある大きな公的支援の格差と、学生納付金額の格差を是正するよう求めている。さらに、私立大生の学生納付金には、授業料以外に実験実習費や施設設備費、教育充実費など諸会費などが含まれていることから、授業料減免措置額を定める際は「授業料」に限定するのではなく「学生納付金全額」を対象に検討するよう求めている

 国立大、私立大の格差を是正したうえで、国立か私立かの設置形態で無償化の対応内容を決定するのでなく、学生ひとりひとりの能力と経済状況に応じたきめ細かい支援体制を構築するよう要望している。
《畑山望》

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