新入社員の思いが形に…コクヨ・学研プラス「ルーズリーフ参考書」

 2017年の発売当初は中学5教科のみだった「ルーズリーフ参考書シリーズ」は、2018年に高校の各教科をラインナップに加えながら参考書の定番としての道を進んでいます。その発想の源を探るべく、企画編集の石本智子さんにインタビューしました。

教育・受験 中学生
ルーズリーフ参考書シリーズの企画編集を務める石本智子さん
  • ルーズリーフ参考書シリーズの企画編集を務める石本智子さん
  • 資料をお見せ願えますか?の要望に「開発時の資料のほんの一部ですが」と山のような資料。
  • 見本版で社内や書店の納得が得られたそう。
  • ユーザーからの直接の反応が好評!
  • ラフイメージ。
  • ルーズリーフに書き込んだイメージ資料。
  • 書店に並んでいる間にページがはがれおちないためのリボン。
  • 赤フィルターにもルーズリーフ穴を開け、紛失防止に。
 学研プラスより発売中の参考書「ルーズリーフ参考書シリーズ」は、一枚ずつはぎ取ることができ、習う順番やテスト範囲などに応じてルーズリーフのように自由に入れ替えや持ち運びが可能で、これまでにない使い勝手のよさが人気を集めています。

 2017年の発売当初は中学5教科のみだった「ルーズリーフ参考書シリーズ」は、2018年に高校の各教科をラインナップに加えながら参考書の定番としての道を進んでいます。その発想の源を探るべく、企画編集の石本智子さんにインタビューしました。

--ルーズリーフ参考書はどのようにして生まれたのでしょうか?

石本さん:
学生時代からコクヨのルーズリーフを愛用していました。勉強している中で、ノートにはルーズリーフ型と通常のノート型があるのに、参考書にはどうしてルーズリーフ型がないのだろう?とずっと思っていました。作る側の発想というよりは、使う側として私自身が前から思っていた理想の参考書を作りたい!と思って企画しました。

--新入社員として、入社してはじめて提案した企画だそうですね?

石本さん:
文房具におけるルーズリーフの仕様としては当たり前な「穴が開いている」「糊付けされている」「1ページずつばらばらにできる」といった特徴は、書籍としては非常に特殊な体裁です。特殊すぎてベテランの編集さんであればあるほど、作ろうとは思わない形でした。ルーズリーフ参考書の完成形は私自身はイメージできていたのですが、それまで世の中には無かったものです。社内でも「変わった企画だな」という立ち位置だったので、説明に苦労しました。

--企画編集としてトータルコンセプトを管理されたそうですね。どのようにまとめていったのでしょうか?

石本さん:
実際のラフを何度も何度もたくさん書いて、各教科におけるいちばん便利な『まとめルーズリーフ』のかたちを追求しました。要点がぎゅっとまとまっているのはもちろんですが、例えば、社会は年表や地図、理科はイラストやグラフが充実しているので、資料集のコピーをいちいちノートに切り貼りしなくても、この一枚を持ち歩くだけでOK。いわば、ノートまとめがすごく上手い子のノートが簡単に手に入るようなもの、というルーズリーフ参考書の利点を共通認識として作り上げていきました。


 また、書き込むときの書き心地にもこだわり、文房具のように『持つ楽しみのある参考書』を目指して、開発各所に働きかけていきました。開発側もチャレンジの連続でしたが、新入社員の勢いに応えてもらい、「お願いしてみるのって大事だな」と実感しました。

--そうして理想の参考書ができたのですね。

石本さん:
一番嬉しかったのは、読者はがきやSNS等を通して実際に手に取ってくださった方から、反響をたくさんいただけたことです。「この発想はなかった!」「とっても便利!」「すごくよくまとまっていてわかりやすい!」といった生の声が続々と届き、本当にほっとしました。苦手な単元だけバインダーにまとめているとか、復習のために毎日一枚ずつ使っているとか、ルーズリーフの特徴である『自分流に組みかえられる』を実践されている様子を見ると、まさに狙い通り!学習参考書の新定番として定着しつつあるのがとても嬉しいですね。

--高校の生物基礎と化学基礎が新たにシリーズに加わりましたね。

石本さん:
ルーズリーフ参考書の高校シリーズは、自分の必要な1ページでわかりやすくまとまっている、該当するページをノートの間に自由に挟んで使えるという中学シリーズの特徴はそのままに、自分の選択科目が選べるようになっています。さらに、実用的な付録として、バインダーに一緒に綴じることができる『穴あき赤フィルター』も付けました。


 またしても初の試みでしたので、開発は大変でしたが「これがあったら確かにうれしいよね」という共通認識を元に、完成にこぎつけました。すべてはルーズリーフを使って楽しく勉強できるように、という想いが詰まっています。

--今後の展望をお聞かせください。

石本さん:
今まで参考書を使ったことの無いような層の方にも、楽しく・便利な・わかりやすいを入り口に、勉強を楽しめるような本作りをしていきたいと思います。

 ルーズリーフ参考書は、人それぞれの勉強方法に自由に組み込めるとても便利なスタイルです。中学・高校とシリーズ化してきた中で、実は大人の学びなおしとしても好評を得ています。これからも、いろいろな学びのそばにルーズリーフ参考書を提供していきたいと思っています。

--ルーズリーフ参考書の大ヒットの裏には、理想の参考書を作りたい!今までに無かったものを作りたい!という熱い想いがあったのですね。石本さん、ありがとうございました!

新入社員だからこその発想で生まれたルーズリーフ参考書。企画者にインタビュー!

《inspi編集部》

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