スタートダッシュが重要…中学さきどり学習のススメ<英語編>

 中学校で新しく教科に加わる「英語」は、初めての定期テストの結果が良くないと自信をなくしてしまったり、嫌い、苦手…となってしまうかもしれない。「中学英語のさきどりが7日間でできる本」(KADOKAWA)より、新中学1年生向けの英語の学習法を紹介する。

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「CD付 中学英語のさきどりが7日間でできる本」(KADOKAWA)より
  • 「CD付 中学英語のさきどりが7日間でできる本」(KADOKAWA)より
 この春に中学生になるお子さんのいるご家庭では、初めての中学校での生活や勉強に備え、さまざまな準備を整えている時期ではないだろうか。中学校での学習はスタートダッシュが重要だ。新しく教科に加わる「英語」は、初めての定期テストでの結果が良くないと自信をなくしてしまったり、嫌いな教科、苦手な教科となってしまうかもしれない。

 リクルートの運営するオンライン予備校「スタディサプリ」の講師である関正生氏は、TOEIC RL&Rテスト990点満点で、スタディサプリでの有料受講者数は年間90万人以上いるという。英語教育界の革命児といわれる関氏が監修の「中学英語のさきどりが7日間でできる本」(KADOKAWA)より、関氏の解説をまじえた新中学1年生向けの英語の学習法を紹介する。

「基礎」とは「簡単なこと」ではない



 書店には「中学英語の入門書」だけでもたくさんの本が並んでいます。それぞれの本に各自の特長があるでしょうが、私が普段教えている方法と、他の本と決定的に違うところがひとつあります。それは基礎に対する考え方です。多くの本では、「基礎」とは「最初に習うこと・簡単なこと」と捉え「やさしく説明する」というスタンスとなっています。

 しかし、英語を学ぶうえで重要なのは、「ちょっと難しくても、英語の考え方の中心となる大事な考え方」を学ぶことです。私はこれを「基礎」と考えています。その「基礎」を身につけるためには、「英語は暗記科目じゃないんだ」と気づくことが大切です。

 私が監修をした「CD付 中学英語のさきどりが7日間でできる本」では、「英語の核心」として、本質に迫るワンポイントのアドバイスを入れています。たったこれを知るだけで、「英語は暗記科目じゃないんだ」と気づくことができ、丸暗記英語から解放され、これから進むべき英語の世界を垣間見ることができるはずです。

「CD付 中学英語のさきどりが7日間でできる本」(KADOKAWA)より
※紙面にあるように、多くの人がつまずく「3単現のs」もしっかり学びます。難しいからといって後回しにするのではなく、本当に大事なことを学んでいきましょう。

「さきどりだけ英語」になってはいけない



「たださきどって英語を学ぶ」のではなく、次のようなことまで見据えて学びましょう。

1.従来の参考書には書いてないような「英語の背景や由来」まで知っておく



●英語のつづりって、なんで発音と違うことが多いのか?


 たとえば「英語のつづりって、なんで発音と違うことが多いの?」では、決して「それが英語の決まりなんだから、がんばって覚えよう」というのではなく、きちんと英語の歴史を振り返り、15世紀に起きた「発音の大きな変化」と「印刷技術の発明」という出来事から理解すべきです。

・昔はつづりと発音は同じだった

 大昔の英語では単語のつづりと発音は同じでした。つづりをそのまま読めばOK だったんです。たとえばname は「ナーメ」、stone は「ストーネ」のようにです。また、時代や流行で発音が変わっても、それに合わせてつづりも変えていったので、発音とつづりは一致していました。

・「大母音推移(だいぼいんすいい)」と「印刷技術」の発明

 ところが15世紀から16世紀にかけて「大母音推移」という歴史的な現象が起きました。これは「母音(a・i・u・e・o)の読み方が大きく変わってしまった」現象です(なぜ起きたかはいまだに不明)。

 name 「ナーメ」→「ネイム」
 stone 「ストーネ」→「ストウン」

 そして偶然にも、この発音の劇的な変化と同時期に「印刷技術」が発明されました。印刷できるということは文字が活字になる、つまり「つづりが固定化されてしまう」ということを意味します。それまでは発音の変化に合わせて手書きでつづりも変えていましたが、それが気軽にできなくなってしまったのです。

 印刷技術でつづりが固定されたのに、大母音推移によって発音はどんどん変わってしまった。これにより、つづりと読み方に大きなギャップが生まれ、現在に至るというわけなのです。

 このように、「大母音推移」や「印刷技術」の発明のような歴史的な背景などによって、つづりと発音にギャップが生まれたのです。

 この出来事は、大学で専門的に英語を勉強するときに出てくる内容ですから、小学生はもちろん、中学生・高校生、英語が得意な大人たちも知りません。でもこういった事実を知ることで、ただ早くやるだけの、さきどり英語とは明らかに違った視点を持つことができるようになるはずです。

●Good morning. から広がる世界


 たとえば、Good morning. というあいさつは誰もが知っていますよね。もしこの意味を聞かれれば、日本人全員が「おはよう」と答えるはずです。
でももう1 度、Good morning. という言葉をよく見てください。素直にそのまま訳せば「良い朝」になるはずですよね。ではなぜ、Good morning. が「おはよう」になるのでしょうか?

・英語のあいさつは「お祈り」

 実はこのGood morning. は、本来はその前にI wish you が省略されていて、{I wish you} good morning. というのが本当の形なのです(wish は「祈る」の意味で、「私はあなたに良い朝が訪れることをお祈りしています」となります)。歌やCM などでI wish you a merry Christmas.(クリスマスおめでとう)なら聞き覚えがある人もいると思います。このように、英語のあいさつでは、その前にI wish you が省略されているのです。

 つまりGood morning. とは「あなたに『良い朝』が訪れることをお祈りしています」という「お祈り」なんです。だからどんなにひどい天気であっても“Bad morning.” といったあいさつは存在しません。常に前向きのお祈りを捧げる発想があるからです。

・日本のあいさつは「事実」

 一方、日本人にとってのあいさつは、「事実をそのまま口にする」という発想で、朝のあいさつは「今日は朝からお早くいらっしゃいました」の「お早く」が「お早う」となっ
たものです。

 このように、Good morning. という表現1つとっても、英語圏の人と日本人との考え方の違いを理解することができるんです。「英語のあいさつはお祈りなんだ」と理解しているだけで、次にGood morning. と言うときに気持ちをこめてあいさつすることができ、生き生きとしたコミュニケーションになるはずです。

 こういった「本当の基礎」を知ることで、中学だけでなく、高校・大学はもちろん、英語の資格試験でも、日常会話でも、海外旅行でも、仕事でも、趣味で見る海外映画でも、必ず役立つ英語力につながっていくはずです。

2.知識を詰め込んでもすぐに追いつかれる



 せっかくちょっと早くスタートしても、英語の知識を「詰め込む」だけであれば、中1の後半、遅くても中2になるころには、知識の貯金はあっさり尽きてしまいます。早く始めたはずなのに、あっさり追いつかれる人がほとんどなんです。そんな人を予備校でたくさん見てきました。

 私が教える生徒には絶対にそうなってほしくないのです。だからこそ、「ちょっと面倒そうな説明だな」と思っても、これまで説明したようなことを意識して、英語の学習に取り組んでみてください。

3.定期試験対策も、将来のことも考える



 もちろん将来のことばかりを見過ぎて、もうすぐやってくる中学校の英語のテストができないようではいけませんよね。

 「CD付 中学英語のさきどりが7日間でできる本」では、25年の予備校講師としての経験から、定期試験に出るポイントをしっかり押さえつつ、中学生がよくやるミスについても触れています。「すぐに役立つ英語」と「将来も役立つ英語」を両立させていきます。がんばったことは、すべてが効率良く、英語の力に変わっていくはずです。

CD付 中学英語のさきどりが7日間でできる本

発行:KADOKAWA

<監修者プロフィール:関 正生(せき まさお)>
 1975年東京生まれ。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。TOEICテスト990点満点。リクルート運営のオンライン予備校「スタディサプリ」講師。スタディサプリでの有料受講者数は年間90万人以上。今までの予備校では、250人教室満席、朝6時からの整理券配布、立ち見講座、1日6講座200名全講座で満席など、数々の記録を残した英語教育業界の革命児。著書は『世界一わかりやすい英文法の授業』(KADOKAWA)など累計100万部突破。英語を学習する全世代に強力な影響を与えている。

《リセマム》

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