私大生の仕送り額、過去最低8万3,100円…9割以上の家庭「負担重い」

 私立大学学生への仕送り額が、月額8万3,100円と過去最低を記録したことが2019年4月3日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査結果から明らかになった。一方、入学費用の借入額は過去最高の199万円となり、9割以上の家庭が費用負担を「重い」とした。

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「6月以降の仕送り額」の推移
  • 「6月以降の仕送り額」の推移
  • 「6月以降の仕送り額」に占める「家賃の割合」の推移
  • 「6月以降の仕送り額」から「家賃」を除いた生活費の推移
  • 「借入あり」と「借入額」の推移
  • 「受験から入学までの費用」の「負担感」の推移(全体平均)
  • 「受験から入学までの費用」の「負担感」(資金の調達別、住居別)
  • 受験から入学までの費用(住居別)
  • 「受験から入学までの費用」の推移と各費目の構成比
 私立大学学生への仕送り額が、月額8万3,100円と過去最低を記録したことが2019年4月3日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査結果から明らかになった。一方、入学費用の借入額は過去最高の199万円となり、9割以上の家庭が費用負担を「重い」とした。

 東京私大教連は1都9県(東京、千葉、埼玉、神奈川、群馬、茨城、栃木、山梨、長野、新潟)の私立大学などの教職員組合で構成する連合体。「私立大学新入生の家計負担調査2018年度」は2018年5~7月、2018年度に首都圏の私立大学に入学した新入生の家庭を対象に実施し、4,181人の有効回答数を得た。

 仕送り額の平均は、入学直後の新生活や教材の準備で出費がかさむ「5月」が前年度比1,800円減の9万9,700円、出費が落ち着く「6月以降(月平均)」が前年度比3,000円減の8万3,100円。「6月以降」の仕送り額は、1986年度の集計開始以来、もっとも低い水準となり、過去最高だった1994年の12万4,900円との比較では4万1,800円(33.5%)もの減少となっている。

 一方、「家賃」の平均は、前年度比1,200円増の6万2,800円。「6月以降」の仕送り額に占める家賃の割合は75.6%にのぼり、仕送り額から家賃を除いた生活費は2万300円、1日あたり換算で677円と、過去もっとも低い水準となっている。

 入学費用を借入した家庭は17.0%。住居別では、自宅外通学者20.0%、自宅通学者15.0%。借入額の全体平均は、前年度比1万9,000円増の199万4,000円。住居別では、自宅外通学者238万2,000円、自宅通学者165万9,000円。自宅外通学者の借入額は、前年度から4万3,000円増加し、過去最高額となった。

 受験から入学までの費用の「負担感」については、9割を超える家庭が「重い」と回答。入学費用を借入した家庭に限ると、99.4%が「重い」と感じており、負担の大きさを示す結果となっている。

 このほか、「受験から入学までの費用」は、自宅外通学者が前年度比4,400円増の218万1,818円、自宅通学者が前年度比1,400円増の156万4,418円。「受験から入学までの費用」のうち、初年度納付金の割合が自宅外通学者で61.1%、自宅通学者で85.2%を占めている。

 今回の調査結果について、東京私大教連は「私大生を抱える各家庭の学費等の負担はもはや限界にきていることが明らかになっている。経済的な理由によって私立大学への進学をあきらめる若者を生まないために、私立大学への補助金の大幅な増額によって学費負担を軽減し、奨学金制度を抜本的に拡充することが必要不可欠」とコメントしている。
《奥山直美》

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