【大学受験2021】現高2生の入試はどう変わる?英語民間試験導入見送りの影響

 新テストの対象となる現高2生以下向けに、新大学入試のポイントや英語民間試験導入見送りの影響などについて、東進ハイスクールを運営するナガセ 常務執行役員 広報部長の市村秀二氏と、コンテンツ本部 教務制作部部長の島田研児氏に話を聞いた。

教育・受験 高校生
ナガセ 常務執行役員 広報部長の市村秀二氏(左)とコンテンツ本部 教務制作部部長の島田研児氏(右)
  • ナガセ 常務執行役員 広報部長の市村秀二氏(左)とコンテンツ本部 教務制作部部長の島田研児氏(右)
  • ナガセ 常務執行役員 広報部長の市村秀二氏
  • ナガセ コンテンツ本部 教務制作部部長の島田研児氏
 2020年度の大学受験は、センター試験最終年となり、2021年度からは大学入学共通テストに移行し、大学入試が変わる予定だ。しかし2019年11月1日には、英語民間試験の2021年度からの導入見送りが発表されるなど、入試改革は先行き不透明な状況となっている。新テストの対象となる現高2生以下向けに、新大学入試のポイントや英語民間試験導入見送りの影響などについて、東進ハイスクールを運営するナガセ 常務執行役員 広報部長の市村秀二氏と、コンテンツ本部 教務制作部部長の島田研児氏に話を聞いた。

大学入試改革の基礎知識



--現在の高2生以降、大学入試はどのように変わるのでしょうか。

 ご存じのとおり、大学入試センター試験が来年度(2021年1月)から大学入学共通テストに移行します。もっとも大きく変わるのは英語で、リスニングの配点比率が現行の2.5倍になり重視されます。国語と数学には記述式問題が導入され、試験時間が長くなります。なお、予定されていた英語民間試験の導入を見送り、2024年度入試を目途に延期されることが2019年11月1日に発表されました。

--なぜ今、大学入試改革を行う必要があるのでしょうか。

 グローバル化や技術革新に伴い、新たな時代を切り開く人材を育成するために、文科省は大学入学希望者に求められる共通の学力として、これまでのような知識・技能だけでなく、思考力・判断力・表現力等を評価することが重要だと考えているからです。

大学入学共通テストの教科ごとの傾向



--各教科の変更点を教えてください。

 大学入学共通テストの英語で注目すべきは配点の大幅な変更です。センター試験では筆記が200点、リスニングが50点でしたが、共通テストではリーディングが100点、リスニングが100点となり、リスニングの比重が一気に高まります。

 リーディングの試験では、センター試験で出題されていた発音と語句整序の問題がなくなり、読解がメインになります。読解は量が増え、スピーディーに読んで大意を把握する力が求められます。また、リスニングの試験は、現行のセンター試験では問題文が2度読まれていますが、共通テストでは1度しか読まれない問題文も含まれ、問題の難易度は上がると予想されます。リスニングは強化しておいたほうがいいでしょう。

 一方、信州大学では、リスニングの成績を40点満点に圧縮し、リーディングの成績を160点満点に換算し、合計200点満点を現行のセンター試験と同じ1:4の比率で評価するなど、独自に配点比率を変えて評価を行う大学もあります。

ナガセ 常務執行役員 広報部長の市村秀二氏
ナガセ 常務執行役員 広報部長の市村秀二氏

英語民間試験導入見送りの影響



--英語の民間試験導入の見送りで何か変わることはありますか。

 英語民間試験導入の見送りで、共通テストに変わるものの、英語については従来どおり「読む」「聞く」の2技能が測られることになりました。ただし、ここで注意しなければならないのは、英語民間試験を見送ったことに伴い、今後連動してさまざまな変更が出てくる可能性があるということです。個々の大学の入試の内容はもちろん、共通テストにおいても、必ずしも試行試験のとおりではなくなる可能性があること、また、国語や数学の記述試験についても同様で、今後公表される情報にしっかりと注目し、冷静に対応していってほしいと思います。

 一方、英語4技能がこれからの社会で活躍していくために必要であることには変わりありません。東進の調査によると、「スピーキングを頑張った生徒は、従来の読む・聞く2技能における模擬試験の成績が、スピーキングをやらなかった生徒と比較して、格段に伸びている」という結果が出ています。入試に出ないからやらないというのではなく、読む、聞く、話す、書くという4技能をバランスよく勉強していくことで、将来役立つ力となることはもちろん、2技能の入学試験においても効果を発揮するのです。

--次に、数学の変更点を教えてください。

 数学は数学I、数学I・Aが10分長い70分の試験になり、記述式の問題が3問出題されます。2017年、2018年に行われた2回の試行調査では、記述問題の正答率は低くなり、また無答率も高かったため、大学入試センターは「問題解決のための方略等を端的な短い文で記述する問題」については出題しないことを明言しています。数学の記述式問題は、国語の段階別評価とは異なり、マーク式問題の問題と合わせて100点満点とする得点により評価されます。記述式の配点は試行試験では100点満点中15点でしたが、本番での配点は未公表です。

--国語の変更点も、やはり記述問題の導入というところでしょうか。

 はい、そのとおりです。国語はセンター試験より20分長い100分間の試験となります。配点は従来どおりの200点満点のマーク式問題に加え、記述式の問題は点数ではなくA~Eの5段階で評価されます。記述式の小問は、字数がもっとも長い問題で80~120字程度となる3問が出題され、小問ごとに解答が3段階で評価されます。また書き表し方に関する評価は「*(アスタリスク)」で付記されるようになります。

 試行調査で記述を書かせる問題では、扱われる素材がこれまでのような論理的な文章だけでなく、たとえば「規約」や「新聞記事」「データをまとめた表」などといったさまざまな資料と組み合わせる形での出題形式になっています。1つの文章を精読するよりも、複数の素材を関連付けて解答を考えるような訓練が必要となります。自己採点の難しさや民間委託の採点業務で公正な採点ができないのではといった批判はありますが、答える際にはさまざまな条件が付き、解答の方向性はある程度しぼられる出題となっており、しっかり対策をすれば大丈夫です。

 ただし、従来から2次試験で記述問題を出している大学のなかには、論理的な思考力や表現力は独自の試験で十分に測れるとし、共通テストの国語の記述を評価に加えないところもあります。英語と同様、国語についてもどこまで評価の対象にするかは大学によって異なるので、確認が必要です。

思考力、判断力、表現力が問われる



--全教科に共通し、現行のセンター試験と大きく異なるのはどういった点ですか。

 先ほど申し上げたように、国語の記述問題でも複数の素材を関連付けて読ませるといった、多くの情報を組み合わせて分析する力が求められるなど、全教科を通して問題に含まれる情報量は増加しています。たとえば理科でも、実験や観察の結果をまとめた表やグラフから必要な部分を抽出して分析し、知識に基づいて論理的に解釈する力が求められます。社会も同様で、地図やグラフ、資料、図版を判読し、背景や経緯、原因、影響などを考えさせる思考力、判断力が問われる問題が出題されるようになります。

ナガセ コンテンツ本部 教務制作部部長の島田研児氏
ナガセ コンテンツ本部 教務制作部部長の島田研児氏

--入試改革以降に大学受験をする高2生以下の皆さんにアドバイスをお願いします。

 色々と細かい変化をお話ししましたが、若干のルール変更があるといった程度で、サッカーという競技が来年からバレーボールに変わるほどの変化ではありません。

 強調しておきたいのは、入試制度が変わろうとも、高校で勉強する基礎基本の重要性は今と何ら変わりはないということです。教科書をベースとした基礎基本に日々着実に取り組んでおくことが一番大切です。

 共通テストの対策については、我々のような予備校や塾がこれまでの試行調査に基づき、どういうことを問いたいのか根本のところまで分析し、効果的な模擬試験や教材講座を作って提供していますので、そうしたものをおおいに活用してください。

 ただし、共通テスト対策ばかりに気を取られ、2次試験や私立の個別試験対策をなおざりにしてはいけません。そのためにも高3の夏休みまでに全範囲の学習を終わらせることを目標とし、夏休みからは志望校の過去問演習に取り組めるよう、部活動などと上手に折り合いをつけながら今から少しずつ計画的に学習を進めるようにしてください。

--ありがとうございました。

 英語民間試験の導入の見送りが、共通IDの受付が始まる予定であった11月1日当日に発表されたことで関係者の間には激震が走った。さらには大学入試センター試験の継続を求める声も上がるなど大学入試改革は先行き不透明な状況だ。新テストの活用も大学により異なることから、対象となる生徒は、今後発表される公式情報に注意し、受験に備えてほしい。
《加藤紀子》

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