進む塾のオンライン学習、指導形式や準備はどうする?

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、大きな不安をかかえて新年度が始まった。花まるグループの中学受験、高校受験対応の進学塾部門「スクールFC」代表の松島伸浩氏に、休校時のオンライン授業の取組みについて聞いた。

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オンライン学習のようす
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 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、2020年4月7日に改正特別措置法(新型コロナ特措法)にもとづく緊急事態宣言が発令された。塾や予備校も休業要請の対象に含まれていることから各社対応に追われている。受験生とその保護者は学びを止めないために家庭でできることを模索しながらも、大きな不安をかかえての新年度スタートとなったのではないだろうか。

 中学受験から高校受験まで対応している進学塾「スクールFC」代表の松島伸浩氏に、休校時の遠隔授業の取組みについて聞いた。

授業の実施状況



 今回の新型コロナウイルスによる休校のための対策として、4月13日の週より、すべての授業をオンラインでの学習指導に切り替えます(一部授業では、開始日が前後する場合があります)。4月6日から12日まではオンライン授業への移行準備期間として休講しています。

オンラインでの指導形式



 ZOOMと授業動画を組み合わせた会議システムで、普段の塾の時間割でLIVE配信を行います。児童・生徒と先生も含め皆が通うのではなく、自宅から会議システムにアクセスして集まり、黒板の代わりに動画を使った授業を行うというイメージです。スマホ・タブレット、パソコンでアクセス可能です。ZOOMを使わずに、会員サイトから動画授業を視聴することも可能です。

 また、通常授業以外にも、すでに3月から「ZOOM自学室」を開設しています。スクールFCは「自学ができる子を育む」という指導理念をもとに指導していますので、ZOOM自学室に入室した児童・生徒たちは自分で計画(plan)を立て、自分で実行(do)し、修正(check)をかけながら、改善(action)をしていくPDCAサイクルを実践できるよう講師が常駐してサポートしています。

オンライン授業の準備



 スクールFCでは、1年前の2019年2月からオンライン学習と週2日の通塾を組み合わせたコース「シグマTECH」を新たに開講しました。中学受験の勉強は、年々厳しさを増しています。長時間の通塾、大量の宿題、徹底した競争主義、お弁当や送迎など親の細かいサポートが必要という学習環境は、もはや過当競争とまで言える状況です。シグマTECHはこういった状況を踏まえ、「夕ご飯をお家で食べ、週2日の通塾で志望校に合格する」という新しい中学受験の形を提案したコースで、現在、お茶の水校、自由が丘校 あわせて100名(2020年4月現在)が利用しています。思いがけない形ではありますが、今回の新型コロナウイルスへの対応として、このシグマTECHで培ったノウハウを生かす機会となりました。

 シグマTECHは、通塾の時間を短縮することで、小学生という多感な時期を受験勉強だけで終わらせず、自分の好きなこと、興味のあることの探究学習に充てることができるのが特徴で、受験で習う知識を「実体験」を通じて学ぶ特別講座を用意しています。花まるグループはSTEM学習のコンテンツも多数提供しているので、今回のコロナ対応で、スクールFCでのすべての授業をオンライン授業に切り替えることによって、受験に向けた学びを止めずに、かつ探究学習にも時間を充てられるバラエティ豊かな学習を提案できると考えています。

児童・生徒、保護者の反応



 ZOOM自学室の使い方を子どもたちはすぐに覚え、すでに使いこなしています。お互いの顔が見えますので、子どもたちも集中している友だちをみて、自分も刺激を受けるようで授業と同じように集中しています。講師も子どもたちの笑顔を見ることで励みになっています。

 最初は抵抗があった保護者の方も、実際にZOOM自学室を子どもが使っているようすを見て、良い点があることを理解してくれました。オンラインでも学習指導はできる、授業はできる、子どもたちも集中できる、という価値の共有ができたと感じています。保護者の方から「コロナ終息後もZOOM自学室は続けてほしい」という意見もありました。今回オンライン授業に切り替えることも「価値変容のチャンス」と捉えています。とは言え、リアルな現場で子どもたちと学習する楽しさは何ものにも代え難いので、リアルな現場は大切にしていき、それぞれのメリットを生かしていきたいです。家に長時間いると大人も子どももストレスがたまりますので、この状況が終息することを願っています。

受験生へのメッセージ



 受験生の皆さん、心配しなくても大丈夫です。勉強を続けられるよう先生たちは頑張っていますし、この緊急事態はいつか必ず終息し、塾は必ず再開します。まだ受験まで10か月ありますので、取り戻せるところも沢山ありますし、皆が同じ条件です。自分だけ遅れてしまうということはないので、先生を信じて、命を大切にして過ごしてください。命が一番大事です。命があればその先の夢を叶えることができます。今はしっかりと家で過ごして、学習したり、健康に気をつけて笑顔で過ごしてください。会える日を楽しみにしています。

 「こういうときこそ笑顔で」と講師の皆さんに伝えているという松島氏。困っている子どもにも保護者にも寄り添っていきたい、という思いから、通塾生以外でもスクールFCのオンライン授業の受講を希望者するという相談には柔軟に対応していくという。また、例年春に開催している受験相談会や基調講演、学校と協力したオンライン学校説明会の開催も予定している。
《田口さとみ》

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