困窮子育て家庭、給食ない夏休み「不安」87%

 困窮子育て家庭の87%が、夏休みで給食がなくなることに不安を感じていることが、子供の貧困対策に取り組むNPO法人キッズドアの調査結果から明らかになった。今後求める支援では、「特別給付金等の現金給付」が88%でもっとも多かった。

生活・健康 未就学児
夏休みの影響(給食がなくなることの影響等) (c) 2021NPO法人キッズドア
  • 夏休みの影響(給食がなくなることの影響等) (c) 2021NPO法人キッズドア
  • 2020年~2021年の収入、失業等の状況 (c) 2021NPO法人キッズドア
  • 二人親家庭の実態 (c) 2021NPO法人キッズドア
  • 生活、子育てへの深刻な影響 (c) 2021NPO法人キッズドア
  • 今後求める支援 (c) 2021NPO法人キッズドア
 困窮子育て家庭の87%が、夏休みで給食がなくなることに不安を感じていることが、子供の貧困対策に取り組むNPO法人キッズドアの調査結果から明らかになった。今後求める支援では、「特別給付金等の現金給付」が88%でもっとも多かった。

 生活困窮家庭にとってコロナ禍の長期化と夏休みの影響は深刻で、子供の成長や健康に取り返しのつかない被害が出る可能性があるとして、NPO法人キッズドアが2021年6月26日~7月3日、緊急Webアンケート調査を実施した。調査対象は、キッズドアがサポートする末子が高校生までの子供をもつ困窮世帯。1,469世帯から回答を得た。

 調査結果によると、2020年時点で年収200万円未満の家庭が6割を超えている。「2021年の収入は減収しそうか」との問いには70%が「はい」と回答。貯蓄額は10万円未満の家庭が半数を超え、コロナ禍で失業や転職を経験している家庭が3割を超える等、多くの困窮家庭が不安定な状況に置かれている実態が浮き彫りとなっている。

 一人親家庭だけでなく、135件の二人親家庭の実態についても調査。二人親家庭であっても、年収200万円未満の家庭が約3割、300万円未満の家庭も含めると約半数を占めている。貯蓄額も10万円未満が6割を超えており、二人親家庭も一人親家庭と同様に困窮し、孤立、仕事や勉強の効率低下等の課題を抱えていることがわかった。

 生活状況については、79%が「より安いものを買うことが増えた」と回答。教育の支払い等については、39%が「そういったことはなかった」とした一方、「学校関係の支払いが遅れた」38%、「習いごとの支払いができなかった」28%、「学校関係の引き落としができなかった」26%と、学校・教育関係の支払いに影響したという回答も少なくなかった。

 給食がなくなる夏休み中の食事に不安を感じている家庭は87%。不安の具体的な内容では、「子供に栄養バランスの良い食事を与えられない」が76%で最多。「子供に十分な食事を与えられない」(40%)や「子供の食事をよくするため、親が十分な食事を取れない」(38%)という回答もあった。

 政府・自治体のコロナ支援策については、「もらえる額が少ない」という回答がもっとも多い55%。現在もっとも求める支援では、「特別給付金等の現金給付」を選択した人が88%に達した。

 キッズドアは、調査結果について「2020年度と比較して、さらに困窮家庭が困難を抱えつつある現状が明らかとなった」とコメント。コロナ禍の長期化等によって子供や保護者の生活・健康に大きな影響が出始め、夏休みに入って子供の食生活の重要な基盤となっていた給食がなくなることで、状況は急速に悪化する可能性があると危惧。「今、困窮家庭にとってもっとも重要な支援は速やか現金給付であり、それを実現するための施策を至急ご検討いただきたい」と訴えている。
《奥山直美》

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