児童館の利用者数が半減、新型コロナの影響…全国調査

 全国の児童館を支援する児童健全育成推進財団は、全国の児童館の現状や課題を把握するための「2021全国児童館実態調査」を実施。新型コロナの影響で児童館の利用者数は半減したこと等が明らかになった。

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児童館の有無
  • 児童館の有無
  • 児童館の利用対象
  • 児童館ガイドラインに基づく児童館の活動内容
  • 延べ利用人数
  • 障害のある児童の利用状況
 全国の児童館を支援する児童健全育成推進財団は、全国の児童館の現状や課題を把握するための「2021全国児童館実態調査」を実施。新型コロナの影響で児童館の利用者数は半減したこと等が明らかになった。

 「全国児童館実態調査」は厚生労働省補助事業として、児童健全育成推進財団が1996年(平成8年度)より5年に1度行っている。同調査は2021年、市区町村や児童館への質問紙調査や、自治体へのヒアリング調査によって行われた。対象となったのは児童館4,397か所および市区町村1,741か所。

 全市区町村を対象に自治体内に児童館があるか質問したところ、回答のあった市区町村数内の児童館の設置率は60.6%であり、前回調査した2016年(平成28年度)とほぼ同率であった。人口規模別にみると人口規模が大きい市町村ほど設置率が高く、50万人以上の市町村では9割を超える設置があるが、人口が5万人未満では、設置率は5割に満たないことがわかった。

 2020年(令和2年度)の児童館利用の延べ利用人数を質問したところ、1万564.9人であった。コロナ禍以前の2015年(平成27年度)は、延べ利用人数は1万9,534.1であったことから、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、利用者数は半減していることがわかった。

 コロナ禍ではあったものの、児童館ガイドラインに基づいて実施した児童館の活動内容を質問したところ、95%以上の児童館で「遊びによる子供の育成」「子供の居場所の提供」を実施していた。また、前回の調査と比較すると微減する活動が多かった中で、「子供が意見を述べる場の提供」が3.9%、「配慮を必要とする子供(要保護児童)への対応」が4.7%増加したことがわかった。子供が主体で行事を企画運営する等、「子供が意見を述べる場の提供」の実施割合は増加傾向にあり、この10年で2割ほど増えている。

 配慮を必要とする児童の利用の有無について質問したところ、対応を行っている児童館は約7割であった。配慮を必要とする内容については、「障害のある児童の利用あり」が82.1%でもっとも多く、ついで「保護者に不適切な養育等が疑われる児童の利用あり」が29.4%であった。前回の調査と比較すると障害のある児童の利用は微増していることがわかった。

 調査により、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年(令和2年度)児童館の利用者数は減少する一方で、「子供が意見を述べる場の提供」や「配慮を必要とする子供の利用」は増加傾向にあり、児童館は子供が安心して過ごすことができる居場所となってきていることがうかがえる結果となった。今後も、子供たちがより一層安心して過ごすことのできる場が提供されることが望まれる。
《木村 薫》

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