【大学入学共通テスト2023】理科2の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ

 2023年度(令和5年度)大学入学共通テスト(旧センター試験。以下、共通テスト)2日目が終了した。4予備校より提供を受け、理科2(物理/化学/生物/地学)の大学入学共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

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【大学入学共通テスト2023】理科2の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ
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 2023年1月15日、2023年度(令和5年度)大学入学共通テスト(旧センター試験。以下、共通テスト)2日目が終了した。東進、河合塾と、ベネッセコーポレーション・駿台予備校による「データネット」、代々木ゼミナールより提供を受け、理科2(物理/化学/生物/地学)の大学入学共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

 なお、本記事記載の情報は1月15日午後10時50分時点のもの。各予備校のコメントとも詳細な分析の結果、内容に変更が生じる場合がある。

物理

東進

 昨年の共通テストと同じく大問数4題の出題。第1問は小問集合であり、力学、電磁気学、熱力学、原子物理の分野から出題された。第2問の出題分野は力学、第3問は波動、第4問は電磁気であり、第1問から第4問のすべての問題が必答問題である。また、物理の全範囲から広く出題されている。概ね出題傾向としては、昨年の共通テストとほぼ同じであり、「物理的に誤った仮定」を実験的に反証する問題などの共通テストとしての新たな傾向を含む設問もほぼ同様に出題されている。解答選択肢の数が少ないことに加えて、明らかに誤った選択肢を消去することで正解を導ける可能性も高い。しかし、共通テストが始まって以来、最も多い文章量、考察量であったため、制限時間内にしっかりと考察することは難しい。

河合塾

 実験結果を定量的に考察させる問題が増え、題意の把握力とデータの分析力、さらに計算力も問われた。第2問と第4問の実験をテーマにした問題では、問題文や選択肢の把握が難しかった。さらに、実験データの利用とその数値計算が要求された。また、組合せ問題が多く、実質の分量は増加した。昨年なかった会話文形式の問題が復活した。難易度はやや易化。問題文の内容と誘導を十分に理解しないと、物理法則の運用にたどり着けない問題が増え、さらにデータの分析力を必要とする数値計算の問題も増加したが、計算により確実に正解が選択できる問題が増加した。

データネット

 空気中での落下運動やコンデンサーの充電と放電に関する探究活動の問題が出された。グラフの縦軸・横軸の選び方を工夫して関係を見出す手法や加速度の大きさを求めるための手順を問う点、実験データからより正確な電気容量を推定するための解析方法の工夫を問う点は目新しい。難易は昨年並。

代ゼミ

 大問として原子分野からの出題がなくなり、代わりに波動分野からの出題となった。昨年に引き続き考察力を試す出題が目立った。まず、原子分野から出題された設問が小問集合の中の1つになったのが目を引く。また、実験および実験データの分析など、探究活動を意識したと思われる出題が目立った。さらに、第4問問1のガウスの法則は1990年以降、初の出題と思われる。

化学

東進

 大問数は5題、設問数は18で変化がなかったが、マーク数は33から35に2つ増加した。昨年と比べて出題形式に大きな変化はなかった。また、全体を通して思考力を要する問題が多く出題された。第1問の問4、第2問の問4、第3問の問3などの計算問題は、受験生にとって見慣れたテーマではあったものの、解答を導くための式を立てるまでに思考力を要するため、難しい問題も含まれていた。第5問では、「無機物質」と「物質の変化と平衡」から硫黄を含む物質を題材に出題され、昨年は姿を消した方眼紙を用いて解答を導く問題が復活した。受験生にとって見慣れないテーマであり、与えられた文章の内容を正しく理解する必要があるため、解答を導くのに時間がかかる問題であった。

河合塾

 基本的な知識に関する問題に加え、実験問題を中心に与えられた情報と既習の知識を組み合わせて判断する力が重視された。難易度は昨年並み平均点が低かった昨年に引き続き、問題文やグラフから必要な情報を読み取ったり、正しいグラフを判断したりする思考力を要する問題が多く出題された。

データネット

 実験を題材にした問題が多く、紫外線の透過率を扱った問題が目新しい。文章を読み解く問題や知識を活用する問題が数多く出され、思考力を要した。実験を題材にした問題も多く、グラフを描図させる問題や数値そのものをマークさせる問題も出された。紫外線の透過率から二酸化硫黄の濃度を求める問題が目新しい。難易は昨年並。

代ゼミ

 実験の内容と結果を整理して考察させる問題が複数出題され、時間をかけて問題をしっかり読む必要があった。標準的な問題が多くを占めたが、あまり見かけないような実験を題材として読解力と考察力を問う問題が散見された。特に、第5問の問3の透過率による気体濃度決定は題材自体が目新しく、問題文を丁寧に読む必要があった。

生物

東進

 昨年と同様に、大問数は6題である。分量は29ページで昨年の28ページよりもやや増加した。設問数は23問(マーク数28)であり、昨年の26問(マーク数28)より設問数が3つ減少したが、マーク数は同じであった。昨年と同様、実験考察問題が主体であるが、リード文が長くなり、図・表の数が増えため、処理にかなり時間がかかったと思われる。しかし、選択肢が減少したこと、グラフやデータの読み取りは取り組みやすいものが多かったことから、全体として難易度は昨年度並みであった。

河合塾

 読解力と高度な思考力を要する考察問題が多かった。生物の知識を活用した上で、読解力と高度な思考力を要する考察問題が多く、生物の知識のみで解答できる問題や、生物の知識を必要としない考察問題は少なかった。難易度は難化与えられる情報が多く、読解力と高度な思考力を必要とする問題が増加した。仮説を検証するための実験を考える問題も複数出題され、正誤の判断に迷うような紛らわしい選択肢も多かった。

データネット

 さまざまな切り口の出題がみられ、高い思考力が求められた。全6大問必答で、複数の大問で分野融合問題が出された点は昨年同様であったが、大問間での配点のばらつきは昨年より小さくなった。全体的に、判断すべき情報量が多く、知識を活用して実験結果を読み取る 必要があり、昨年より難化した。

代ゼミ

 特定のテーマに関する文章と複数の資料を解析させる問題が分野横断的に出題され、読解力や思考力が総合的に試された。昨年通り、実験・観察や資料解析を通じて読解力や考察力・解析力など総合的な理解度を試す内容であった。選択肢が絞りやすく取り組みやすい問題があった一方で、読み取る文章が長く解答に時間を要する問題もみられた。

地学

東進

 教科書の基本事項を丹念に学習することと、標準レベルの問題を多く演習することに加えて、分野総合的な学習が求められる出題である。地質図学の出題は1問。計算問題は2問。図を読む力を確認する問が増加した。第1問は地学の情報について、二次元情報と三次元情報の関係をテーマに各分野の問題5問。いずれも各分野の基礎的内容で問題相互のつながりはない。第2問は固体地球とプレートテクトニクス・マグマの発生の小問5問で1問減。標準的。第3問はマグマの化学組成、地質と古生物、人類の進化の6問。いずれも標準的問題である。マグマの混合に関する出題は初出。第4問は気象分野で、大気圏の構造とオゾン層の破壊、海洋表層の大規模循環の小問5問で1問減。標準的問題。第5問は天文分野で、惑星の視運動、太陽系と恒星の6問で1問減。いずれも標準的問題。計算問題は惑星の視運動の基礎的事項。

河合塾

 マーク数は27であり、昨年よりも3減少した。第2問、第4問、第5問で設問数およびマーク数が1ずつ減少した。図表を扱った問題は昨年に比べて増加した。難易度は昨年並み第1問では、地学の様々な分野における二次元と三次元の図を相互に置き換える、やや難しい考察問題が出題された。しかし、第2問以降は取り組みやすい問題が多く、全体として難易度は昨年と同程度と思われる。

データネット

 グラフから読み取った数値をもとに考察する問題が多く出題された。第1問では、二次元の図から三次元的な構造を推定することを主題として、幅広く出題された。第3問では、マグマ混合により生じたマグマの特徴について考察する目新しい問題が出題された。図表の読み取りを求められる問題が多かったが、地学基礎の知識で解答できる問題も多く、昨年よりやや易化した。

代ゼミ

 問題数は減少したが、図表問題が全体の3分の2を占め、読解や考察問題の占める割合が大きくなった。設問数と解答数がともに、総合問題と固体地球分野と大気・海洋分野が1題ずつ減少し、全体では3題の減少となった一方で、図表問題が3題増加したことで、問題量は昨年並みだった。計算問題は昨年並の分量で、正答は選びやすかった。

 リセマムで公開している問題分析および難易度、解答速報に関する記事は下記のとおり。

<1日目>

>> 4予備校の【地理歴史・公民の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【国語の問題分析】はこちら
>> 1日目の【難易度分析】はこちら
>> 1日目の試験【問題・解答】はこちら

<2日目>

>> 4予備校の【理科1の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【数学1の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【数学2の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【理科2の問題分析】はこちら
>> 2日目の【難易度分析】はこちら
>> 2日目の【問題・解答】はこちら

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