【大学入学共通テスト2023】数学1の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ

 2023年度(令和5年度)大学入学共通テスト(旧センター試験。以下、共通テスト)2日目「数学1」が終了した。4予備校より提供を受け、数学1(数学I/数学I・数学A)の共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

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  • 数学1の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ

 2023年1月15日、2023年度(令和5年度)大学入学共通テスト(旧センター試験。以下、共通テスト)2日目「数学1」が終了した。東進、河合塾と、ベネッセコーポレーション・駿台予備校による「データネット」、代々木ゼミナールより提供を受け、数学1(数学I/数学I・数学A)の共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

数学I

東進

 会話文で考察やヒントを与える中問が昨年の3題から1題に減少した。しかし、昨年同様に問題の文章が長く、読んで設定を理解することに時間を取られる問題が多かった。

 第1問[1]絶対値のついた1次不程式についての問題である。似た式が混在しているので注意が必要である。[2]集合の記号とベン図の関係を調べる問題である。共通部分、和集合や補集合の意味が理解できていれば問題ないであろう。第2問は 図形と計量の問題であり、円に内接する三角形の面積、および球面上の4点を頂点とする四面体の体積を考察する問題である。第3問は データの分析の問題であり、1世帯当たりの調理食品の年間支出金額の分析に関する問題である。前半ではうなぎのかば焼きのデータを分析、後半はやきとりとかば焼きの2つのデータの関係を調べる。第4問[1]は二次関数のグラフに関する分析を行う問題であり、標準的な内容である。[2]はバスケットボールのシュートの軌道を考察する問題であるが、多くの仮定などもあって情報を正確に読み取り、解くことが大切である。

河合塾

 分野を越えた融合問題の出題がなくなり、問題文は読みやすく計算量も抑えられ全体的に解きやすくなった。昨年は、複数の分野の融合問題が出題され、高度な思考を要する問題や計算量の多い問題もあり、時間内に解ききるのは難しかった。それに比べ、今年は誘導がわかりやすく解答方針が立てやすい問題が多かった。

 昨年は典型的な問題が少なかったが、今年は典型的な問題が適度にあり、取り組みやすい構成であった。また、初めてみるような問題でも誘導が丁寧であり、解きやすかったと思われる。昨年と比べると、思考力を要する問題は少なくなり、計算量も減った。

 今年は2次関数で日常の事象に関する問題、図形と計量で出題頻度の低い立体図形に関する問題が出題された。 共通テストの特徴の1つである日常の事象に関する問題以外でも、典型問題ばかりにならないようにする工夫がみられる。

データネット

 第2問で空間図形の問題、第4問で現実事象の問題が出題。第3問と第4問の分野の順序が変更。第2問では、空間図形の出題もあった。第4問では、バスケットボールに関する現実事象に対し、与えられた【仮定】をもとにボールの軌道を2次関数として考察する出題であり、対話文もあった。昨年と比較して、各問題の導入部分で取り組みやすいものが多く、昨年より易化。ページ数は22ページ(下書き用紙除く)で、昨年より6ページ減少した。

数学I・数学A

東進

 問題の分量は昨年度と同程度であるものの、計算量、考察する量は昨年度と比べやや減少。正誤を判定する問題は出題されなかった。難易度は易化。必答問題が2題と、選択問題3題から2題の選択、合計4題を解答する形は、昨年度までの形式と同様である。問題文の文章量はページ数が昨年度と同程度であるものの、具体的に計算する量、考察する部分は昨年度比では減少している。それでも試験時間に対して分量が多いことに変わりはない。会話形式の問題が一部に含まれていることも昨年度と同様である。また、今年度は必要条件・十分条件といった集合と論理についての出題がなかった。

河合塾

 大問数は五題。第1・2問は数学Iの分野で必答問題、第3~5問は数学Aの分野で二題を選択する形式であり、昨年と同様であったが、第2問の[1]と[2]の出題単元が入れ替わるなどの細かい変化がみられた。文章量は昨年からやや増加したが、全体的に問題文が読みやすく、計算量はやや減り、時間内に解き終えられるようにする配慮がみられた。数学Iの分野については、昨年は出題された集合と命題が出題されなかった。一方、数学Aの分野については、第3問で確率は問われず、場合の数からのみの出題であった。また、第5問では共通テスト初年度の第2日程と同傾向の作図に関する問題が出題された。

 第1問[2]は出題頻度が低い立体の問題が出題された。第2問[2]はバスケットボールのシュートを題材に、ボールの放物運動について考察する2次関数の問題が出題された。設問を解くために必要な情報を問題文や会話文から素早く抜き出す必要があり、苦戦した受験生が多かっただろう。第3~5問は丁寧な誘導があり、大問全体としては解きやすかった。

データネット

 第2問で現実事象の問題、第3問で場合の数のみの出題。第2問〔2〕では、バスケットボールの2つの軌道を比較する「2次関数」の問題が出題された。第3問では、大学入学共通テストで初となる「場合の数」のみからの出題であった。第3問、第5問では、【構想】をもとにして解く問題が出題された。昨年と比較して、各問題の導入部分で取り組みやすいものが多く、昨年より易化。ページ数は22~23ページ(下書き用紙を除く)で、昨年より2~3ページ増加した。

代ゼミ

 昨年よりはやや解きやすくはなっているが、分量は少ないとはいえず、煩雑な設定もあるので、時間内に解答するにはやや厳しい内容であった。昨年よりはやや丁寧な誘導ではあるが、完答にはかなりの力が必要である。第1問[1]は、近年の傾向通りセンター試験に類似した出題である。第1問[2]は、三角比の問題であり、これも同様にセンター試験に類似しているが、(2)では空間図形を題材とするところが珍しい。第2問[2]でバスケットボールのシュートをモデル化した2次関数の問題が出題された。選択問題である第3問以降は、昨年よりはやや解きやすくなっているが、誘導が少なめであることは変わらず、かなりの力が問われている出題といえるだろう。問題文の分量は昨年並みである。全体として計算量は昨年より少ないため、思考に費やすことができる時間は幾分増加したと思われる。しかしながら、煩雑な設定の設問もあり、また誘導の少なさも考慮すれば、今年も時間内に完答するには処理力と数学的な思考力がなお高いレベルで要求されている。

 リセマムで公開している問題分析および難易度、解答速報に関する記事は下記のとおり。

<1日目>
>> 4予備校の【地理歴史・公民の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【国語の問題分析】はこちら
>> 1日目の【難易度分析】はこちら
>> 1日目の試験【問題・解答】はこちら

<2日目>
>> 4予備校の【理科1の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【数学1の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【数学2の問題分析】はこちら
>> 4予備校の【理科2の問題分析】はこちら
>> 2日目の【難易度分析】はこちら
>> 2日目の【問題・解答】はこちら

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