子供たちのアイデアいっぱい…2代目「グリコワゴン」始動

お菓子メーカーの江崎グリコが「日本中においしさと健康、ワクワクと笑顔をお届けしたい」という想いから全国を走らせている『グリコワゴン』。このほど2代目が完成、3月30日に東京・原宿の商業施設で披露された。ベース車両はホンダのミニバン、『ステップワゴン』だ。

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2代目グリコワゴン
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◆全部食べたい

お菓子メーカーの江崎グリコが「日本中においしさと健康、ワクワクと笑顔をお届けしたい」という想いから全国を走らせている『グリコワゴン』。このほど2代目が完成、3月30日に東京・原宿の商業施設で披露された。ベース車両はホンダのミニバン、『ステップワゴン』だ。

子供たちの夢を具現化する社会貢献活動として江崎グリコは、モビリティカンパニーの本田技研工業(ホンダ)、自動車の開発支援を手掛けるシバックスと共同で、2代目グリコワゴンを製作した。デザインは全国の子どもたちによる189件の応募作品をもとに決定した。

2010年に誕生したグリコワゴン初代は、同年の12月から約2か月間をかけて日本全国を縦断し、また東日本大震災の被災地訪問など、全国に「笑顔とグリコ商品を届ける」活動を続けてきた。総走行距離は10万kmを超えている。

2代目の特徴は、ルーフに巨大なグリコ商品の模型を載せたことや、リアゲートを開けると子供たちとコミュニケーションがとれるようにしたことだ。

◆インディ500優勝の佐藤琢磨選手が接点

2代目の構想は2021年春に始まった(公式資料)。江崎グリコのグループ広報部石河壮太朗さんによると、正確にはもう少し早い。「2019年にグリコワゴンの動画を作った時に、2台目が欲しいと思った。20年の春に制作したいと決心、21年の夏にホンダとディスカッションを始めた」という。

グリコとホンダとの接点は、レーシングドライバーの佐藤琢磨選手だ。佐藤はホンダの選手であり、江崎グリコもサポートしている。2020年に佐藤選手がインディ500で2度目の優勝をした後、ホンダが動画を制作するにあたってグリコの動画素材を借用したのが、2代目グリコワゴンに至る両社の最初のコンタクトだった。インディで優勝した時に佐藤選手がグリコの“ゴールインマーク”ポーズを披露したのは話題になった。

石河さんは「子どもたちの力となる活動を続けたい。2代目の制作では、共感してもらえる企業に参加して欲しかった。車種の要件は、たくさん荷物を詰めるということ。全国各地に様々な状況で走って帰ってこられること。子ども向けの車なので、ファミリー向けの車が良かった。これらの条件から、ハイブリッドもあるステップワゴン1択だった」と説明する。制作コストは公表されていない。

◆子どもたちのデザイン案を掛け合わせて

2代目グリコワゴンのコンセプトやデザインテーマは1からディスカッションしたという。江崎グリコデザイン部の大塚夏希さんは、「どうやったら子どもが笑顔になるか。子どもがいちばん知っているということで、作品を募ることにした」そうだ。全国の3歳から15歳の子どもたちのアイデアが、2か月間で189点集まった。

本田技術研究所(本田技研工業の子会社で開発部門)デザインセンターの浅井啓輔さんは「集まった絵からはどれもパワーを感られ、選ぶことが難しい中で、少しずつ要素を絞って行った。モチーフには虹やハートが多く、みんなの思いをひとつにするような形だ」とデザインの進行を振り返る。

このデザインを実際の車両にしたのが、技術開発会社であり、試作車なども制作するシバックスだ。シバックス横浜開発センターの西岡大輔センター長は「もう1年以上前になる。ホンダとグリコから猛烈なアピールをもらい、思いと熱量が心に突き刺さった。シバックスも自分たちの得意な分野で子どもたちに感動を与えたいと思った」という。

絵で描かれたデザインを実物に起こすのが、また次の苦労だ。「苦労は絶えなかった。いちばんの苦労はデザインの決定。決定までたいへん時間がかかった。たいへんだったけれども、子どものことを思うとそれが楽しさに変わった」と語る。

◆ルーフにグリコの商品

このように、完成した車両のデザインには子どもたちが描いたアイデアが詰まっている。車両の側面には虹を描き、ルーフにはグリコの代表的な商品である『ポッキー』、『ビスコ』、『ジャイアントコーン』のほか、アーモンド、キャラメル、チョコレートを載せた。

初代のルーフにはポッキーが載っている。「子どもたちのアイデアはいろいろ。できるだけ夢を叶えてあげたかった」と言うのは大塚さん。「全部食べたい」と笑うのは浅井さん。西岡さんによるとジャイアントコーンは実物の8倍の大きさ、ポッキーは16倍、ビスコとアーモンドは20倍、キャラメルは24倍。「大きくしただけでなく実はデフォルメしてある。置く場所や向きで見え方は変わるから、リアルになるよう工夫した」と西岡さん。

◆リアゲートを開けるとコミュニケーションの仕掛け

浅井さんは、「リアゲートを開けた瞬間に喜んでもらえるよう、こだわった」という。子どもたちに親しみやすい存在となるため、2代目はコミュニケーションがとれる仕掛けを新たに搭載した。リアゲートを開けると大きな顔(ディスプレイ)が車内に設置されている。子どもたちの会話に反応して表情が変わり、両手で差し出すようにお菓子を渡す。

本田技術研究所デザインセンターの大富部渚さんは、「初代を越えなきゃならないと思った。そこで動く要素、お友達的なものがあるといいね、となった」と明かす。

●「グリコピア神戸」と「グリコピア・イースト」で展示

グリコワゴンは、今後は2台体制になる。4月12~27日に江崎グリコの工場見学施設である「グリコピア神戸」(神戸市)で、4月29日~5月31日に「グリコピア・イースト」(埼玉県北本市)で初代と2代目のグリコワゴンを展示する予定だ。

2代目『グリコワゴン』始動、子どもたちからデザイン案を募集…ステップワゴンが変身

《高木啓@レスポンス》

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