テレビ・DVD視聴時間、乳幼児の発達に影響…千葉大ら研究

 千葉大学予防医学センターの山本緑助教と、国立成育医療研究センターエコチル調査研究部の目澤秀俊チームリーダーらの研究グループは2023年9月19日、調査結果を公表した。メディア視聴時間が長くなると、1年後の発達スコアが低くなる影響を認めたという。

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メディア視聴時間と発達スコアとの関連
  • メディア視聴時間と発達スコアとの関連
  • メディア視聴時間と発達スコア(領域別)との関連
  • 子供の発達スコアと関連する育児環境要因

 千葉大学予防医学センターの山本緑助教と、国立成育医療研究センターエコチル調査研究部の目澤秀俊チームリーダーらの研究グループは2023年9月19日、乳幼児期のメディア視聴時間と子供の発達について調査結果を公表した。メディア視聴時間が長くなると、1年後の発達スコアが低くなる影響を認めたという。

 今回の研究は環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者のうち、すべての質問票に回答し、自閉スペクトラム症と診断されていない5万7,980人を対象に、メディア視聴時間(テレビ・DVD視聴時間)と発達について個人差を調整したうえで、それぞれに影響があるかを検討した。

 その結果、メディア視聴時間が長くなると、1年後の発達スコアが低くなる影響を1歳から2歳、2歳から3歳の子供に対して一貫して認めた。コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、個人-社会の発達領域ごとの影響をみると、メディアの視聴時間が長くなると、1歳から2歳はコミュニケーション領域へ影響があったのに対し、2歳から3歳では粗大運動、微細運動、個人-社会の3つの領域への影響があることがわかった。また、コミュニケーション領域の発達スコアが高いと、1年後のメディア視聴時間が短くなる影響を1歳から2歳、2歳から3歳ともに認めた。

 子供の発達スコアを高くする育児環境要因として、年上の兄弟、保育園の利用、子供への読み聞かせなどの関連を認めた。

 著者らの見解では「メディア視聴時間と発達の個人差を調整しても、1歳からメディア視聴時間が長いと子供の発達スコアが低くなる関連が認められた。これは、メディア視聴時間と発達の関連の因果関係を示す重要な成果。一方で、本研究結果から『メディア視聴は発達によくない』と判断し、現段階で家族や支援者が親に『子供にメディアを見せない指導』をするには及ばないと考えられる」としている。

 研究の結果は2023年9月18日、国際的な医学雑誌「JAMA pediatrics」に掲載された。なお、今回の研究は環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用いたもので、研究の内容は、すべて著者らの意見であり、環境省の見解ではない。

《中川和佳》

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