【共通テスト2024】地理歴史・公民の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ

 2024年1月13日、2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト(旧センター試験、以下、共通テスト)1日目が終了した。4予備校より提供を受け、「地理歴史」「公民」の共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

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【共通テスト2024】地歴公民の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ
  • 【共通テスト2024】地歴公民の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ

 2024年1月13日、2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト(旧センター試験、以下、共通テスト)1日目が終了した。4予備校より提供を受け、「地理歴史」「公民」の共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

世界史A

東進

 昨年より大問数が1問増加して5問構成、設問数は変化なく30問で、全大問の設問数・配点が均等になった。昨年と同様、史料・統計・グラフ・生徒作成資料など幅広い素材をもとに出題された。加えて、昨年には登場しなかった位置を判断させる地図問題が1問復活した。さらにグラフをもとに正誤を判断する問題が昨年より1問増加して2問になった。今年は新たに風刺画が表現している情勢を判断する問題が出題されており、より読解力や思考力が求められたといえる。とはいえ、11点以上平均点が下落した昨年よりは易化したと思われる。

河合塾

 昨年と同様、資料やグラフから読み取った情報と、世界史の知識とを組み合わせて解答する問題が多く出題された。従来通り、授業などを想定した先生と生徒による会話文が多く使用されている。 文献資料だけでなく、風刺画のような絵画を読み取らせる問題も出題された。

データネット

 欧米史が増加し、会話文やさまざまな資料の読み取りが重視された。欧米史の割合が増加し、前近代からの出題がやや増加したものの、近世から戦後までバランスよく出題された。図版や文字資料、グラフなどさまざまな資料を読み取る力は昨年と同じく求められた。文章を丁寧に読むことで解答が導ける出題もあり、昨年よりやや易化。

世界史B

東進

 昨年と同様、資料を多用した「思考力を問う問題」が多く、「連動型問題」が1問出題された。難易度は昨年並み。大問は4問、設問数は33問と昨年度から大問が1問、設問数も1問減少した。出題形式に関しては、資料(地図、絵画、写真、史料、グラフ・表)の数は23と、2023年の21、2022年の12より増加したが、会話文による出題数は4と、2023年の10、2022年の5に比べて減少した。資料を読解しつつ知識を合わせて考えないと解答にたどり着けない「思考力」を問う問題も昨年と同様に多く出題されている。

 出題形式の変化としては、正解が2つに分岐して次の設問に連動した「連動型問題」が本試では初めて出題された(追試では2022年に出題されており、形式も同様である)。その他は大きな変化は見られず、例年通り史料、グラフ、地図などを用いた「思考力と考察力を問う問題」が設問の大半を占めており、共通テスト4年目になって出題形式がほぼ固まったと言えるだろう。全体として、時代、地域、分野ともにバランスのとれた出題であったが、リード文や資料をしっかりと読解しなければ解けない問題が大半を占めたため、曖昧な知識だと試験時間内に余裕をもって解き終わることは難しかったであろう。しかし、解答を導くために細かい知識が必要なわけではなく、あくまでも基本的な知識のみで解答できる。模試などを活用して共通テスト型の問題に慣れていたかどうかが、高得点へのカギとなっただろう。

河合塾

 大問4題、マーク数33で、昨年の大問5題、マーク数34から減少。会話文を利用した問題は半減した。ただし、問題全体のページ数は変化がなく、資料(史料文・グラフ・図版・地図)の読み取り問題がすべての大問にあったこと、前近代史や欧米史からの出題が多かったことも昨年と同じだった。資料や会話文など複数の材料から必要な情報を読み取り、習得している知識と結び付けながら総合的に判断する問題が多く、注意深く解答することが必要である。

データネット

 資料読解と基本的な知識を組み合わせる思考力が求められた。昨年より易化。大問数は5から4に減少し、解答数は34個から33個に減少した。連動型の問題が出題された。昨年と同様に資料やグラフが多く出題されたが、判断ポイントが平易であったため、難易は昨年より易化。

代々木ゼミナール

 昨年の傾向がおおむね踏襲され、長文を読解させる問題が多かった。読解だけで解ける問題や、連動式の問題が出題された。文字の史料が多く、史料以外のリード文も読解しなければならない文章が長かった点は昨年と共通する。文章以外の資料は少なかった。それぞれの難易度は高くないが、読み進めるのに苦労した受験生が多かったのではないかと思われる。

日本史A

東進

 「図」をともなう出題がみられず、政治史の出題が減少した一方、外交・経済・文化・社会経済史の出題が目立った。大問数5題、設問数32問は昨年の大学入学共通テスト日本史Aと同じで、日本史Bとの共通問題の配置(第2問・第4問)にも変更はなかった。地図の提示は昨年同様にみられなかっただけでなく、「図」をともなう出題が1問もみられなかった。一方、グラフ・史料・表にともなう問題は例年通りで、史資料を通じてさまざまな角度から歴史を考察させる共通テスト特有の問題が今年度もみられた。出題された史料は、一部を除いて大部分が初見のものと思われるが、歴史的な事実をしっかり理解していれば対応可能な難易度であった。またグラフ・資料・表により提示された情報と、普段の学習により培った知識を整合することで、正解を導き出す傾向がみられたことは例年通りと言えよう。

河合塾

 昨年に引き続き、全5問で高校生の「主体的な学び」を踏まえた場面設定がなされた。一方、高校生の会話形式を利用した出題は1題であり、昨年度の3題から減少した。昨年同様、資料が多く用いられた。

データネット

 史料が増加。情報を適切に処理し知識と結びつける力が求められた。日本史Bとの共通大問は昨年と同様に2大問出題された。近現代の日本の娯楽に関する会話、さまざまなテーマに基づく調べ学習など、生徒が授業のなかで主体的に学習を行うという設定で、明治時代から昭和時代まで幅広く出題された。昨年に比べて読み取る史料の数は増加したが、読み取りは難しくなく、難易は昨年並。

日本史B

東進

 歴史総合を意識したと考えられる、対外関係史からの出題が目立った。難易度は昨年並。大問数6問・小問数32問は昨年度までと変化はなかった。近世、近現代では対外関係史からの出題が目立った点、第5問の「日本史探究部」という設定からも、全体的に来年度からの「歴史総合+日本史探究」が意識されていたと考えられる。昨年は、読解を必要としない設問も目立ったが、そうした傾向は今年も踏襲された。高校生による「探究」を想定した大問が6大問中5大問だった点は、昨年と同様だった(5問中会話文の形式が3問、発表・発表準備の形式が2問)。第1問のテーマ史は例年複雑な設定の設問が多かったが、今年は一般的な問題文の形式で出題され、比較的シンプルだった。

河合塾

 高校生の会話形式が6題中3題、高校生の探究活動が2題を占めるなど、高校生の主体的な学びを踏まえた場面設定や、史料・グラフなど多様な資料を用いて多面的・多角的に歴史事象を考察させる出題が引き続きみられた。特に今年は史料を用いた読解問題が増加し、第3問の問4と第6問の問1は、3つの史料から2つの文章の内容に合致するものを判断させる新傾向の出題形式だった。第5問の場面設定は、来年からの新課程入試(日本史探究)を想定したとみられる。

データネット

 「印刷の歴史」「古代の食物」と身近な題材続々。読解力と情報活用力重視で難易は昨年並 大問数、解答数に変更はなかった。8世紀から明治にかけての印刷の変遷、古代の食物や調理道具など、日常生活に関するトピックから出題が展開。文章資料に加え、統計グラフ、写真など多彩な資料を通じ、読解力が引き続き求められた。受験生が苦手とする、時期の判断を要するものも散見されたが、基礎基本事項も多く難易は昨年並。

代々木ゼミナール

 史資料の読み取りなど思考力・判断力を測る問題が多い傾向は変わらず、丁寧な読解と確かな知識が求められる。通常のリード文形式の出題は第1問のみで、他は会話文や、生徒の発表原稿や作成プリントをもとにしたリード文形式であった。史料や図表などの読み取り問題の比重は高いが、リード文を踏まえた正誤問題は見られなかった。

地理A

東進

 初見のデータを用いて考察させる形式が特徴。組み合わせ式の問題が18から20に増加し、うち11題は6択式である。複数の資料の判定を組み合わせる形式の出題が定着しており、資料点数は34で、前年より5つ減ったもののセンター試験時代に比べると極めて多い。ただし、過去の地理Aで多用されていた写真は2点しか使用されず、前年より5点減った。

河合塾

 昨年に引き続き、全5問で高校生の「主体的な学び」を踏まえた場面設定がなされた。一方、高校生の会話形式を利用した出題は1題であり、昨年度の3題から減少した。昨年同様、資料が多く用いられた。

データネット

 実際のハザードマップをもとに避難時の判断を問う問題が出題された。地図や図表・写真などの資料を注意深く読み取り、多様な課題と基本的な知識を結びつける力が問われた。第1問問6ではハザードマップをもとに避難時の適切な行動についての判断が問われるなど、最後に課題の解決策やまとめとなる問題をおく大問が多くみられた。出題内容は標準的で、難易は昨年並。

地理B

東進

 組み合わせ式6択が増加、地誌は初めて「環太平洋地域」を取り上げた。難易度は昨年並み。大問数は5題、設問数およびマーク数は30。組合せ式問題のマーク数は16で、前年より2つ減ったが全体の半分以上を占める。特にやや面倒な6択式問題は前年の10から2つ増えている。過去に出題された8択式は出題されなかった。文章を選ぶ選択問題が前年の5から8へと増加した。図版(図、表、写真、資料)の点数は37で、前年より1つ減ったものの、多用の傾向は続いている。 

河合塾

 昨年と比べ分量の大きな変化はなく、大問数は5題、マーク数は1つ減り30であった。資料の判読は多いが、共通テストで定着した複数の資料から判断させる形式は減り、単純な組合せが多いため受験生にとっては取り組みやすく、やや易しくなった。出題内容は自然環境と自然災害、資源と産業、都市と生活文化、環太平洋地域の地誌、島根県浜田市の地域調査であった。地域調査は地図と地理情報、地域問題への取り組みなど基本的知識で判断できる問題が多かった。

データネット

 現代の地理的事象について、確かな知識に裏づけられた思考力が求められた。難易は昨年並。地図や統計表、写真などを含む多様な資料が用いられ、限られた時間のなかでの図表読解力と地理的思考力が問われた。基礎的な知識をもとに判断できる問題も多く、知識と現実の地理的事象を結びつけて定着させている受験生にとっては考察しやすかったであろう。

代々木ゼミナール

 図表は例年通り多く使われているが、特に判断に迷うものはなく、正確な知識があれば正解できる。注意深く問題を解き、失点を防ぎたい。地理の全分野について満遍なく学習することが求められている。図表の分析問題は、正確な知識があれば正解できるものが多いので、手堅く解答したい。各小問とも学力が直接反映されるものが多く、良く練られている。

現代社会

東進

 設問数は1問増加。オーソドックスに幅広く問われたが、複雑な計算問題も。難易度は昨年並み。大問5、小問31で、昨年より小問が1つ増えた。図表・グラフはあまり多くなく、やや長めの文章からなる選択肢を空欄の穴埋めとする問題が目立った。しかも、選択肢の数が7、8となっている問題が比較的多く、正確な判断が必要とされる。第2問の問6は倫理分野の出題で、現代社会としてはやや高度な知識を必要とする。第3問の問5は期待値の計算問題で、複雑な設定なので、正確に理解しなければ正解にたどり着けない。ここで時間がとられた受験生も多かっただろう。

 基本的な問題が多いが、長文を読みこなし、やや深く考えさせる問題も散見される。全体として、長文を速読し、基本的知識を生かし、常識的判断を働かせれば解答できる問題が多かった。教科書の基礎内容をしっかり身につけ全体を俯瞰する広い視野も必要になっている。また、設問方式が単純では無く多様であり、事前に類題で訓練する必要がある。時事問題も多く出ているので、普段から新聞に目を通して実社会への関心と感覚を養う必要がある。

河合塾

 昨年と同様、資料・情報を読み取る能力や思考力・判断力が問われる一方、基本的知識を問う問題も少なくない。4つの短文から正解を選ぶ形式が減り、語句や記述などを組み合わせて解答する問題の比重が高まった。大問数は昨年と同じだが、解答数が1増えた。

データネット

 政治分野の出題が増加。具体的事例から知識を問う現代社会らしい出題。難易は昨年並。昨年同様、全ての大問で生徒の活動場面が題材となり、学習した事項を具体的な事例に関連づけて考察することが求められた。文献や統計、模式図などさまざまな資料が使われ、多くの情報を効率よく読み解く必要があった。政治分野からの出題が増加した。文章選択問題が減少し、8択の組合せ問題が増加した。

代々木ゼミナール

 全体的な形式に大きな変更はないが、資料の分量が増加し、各分野の基礎的知識に加え、読解力・思考力・判断力も問われている。問題の形式は前年から大きな変更はないが、読み解くべき文章や資料の量は増加した。教科書の知識を習得した上で、共通テストの形式を意識し、思考力・判断力が問われる問題への対策をしたか否かで差が生まれただろう。

倫理

東進

 出題形式・分量ともに昨年とほぼ同様。難易度はやや易化。大問は4題、マーク数は33で、昨年と同じであった。2018年の共通テスト試行調査には、「二つ選べ」、「過不足なく選べ」といったタイプの設問があったが、今回を含め、現行課程のもとでの実際の共通テストでは最後までこうしたタイプの設問は出題されなかった。またセンター試験の倫理では、各大問の冒頭に1ページ分のリード文があり、その趣旨を読解させる設問があったが、共通テストになってからはリード文はいっさいなく、各大問はすべて会話文形式であった。現行課程の最後でもあり、出題形式で目新しいものはほとんどなかったが、第2問の問5では4つの短文の正誤組合せが問われた(過去の類題は短文が2~3)。出題内容でも、センター試験時代からのものを踏襲するものが多く、目新しいものはほとんどなかったが、第4問の問5のクーリーは初めての登場である。オーソドックスな設問が多く、読解力だけで解けるものも多かったため、平均点はやや高くなると考えられる。

河合塾

 傾向に大きな変化はない。資料文や会話文を用いる問題が今年も多数出題された。石橋湛山の思想など難易度の高い事項も出題されたが、知識を試す問題は標準的なレベルのものが大半。着実に学習を進めてきた受験生には取り組みやすいものとなっている。

データネット

 選択肢の数と文章量が増え、資料の内容や趣旨をとらえる力の問い方に工夫がみられた。難易は昨年並。大問構成や出題分野は昨年同様であった。組合せ問題では8択が大幅に増加し、7択、9択も昨年同様出題された。知識や読解力、判断力などを組み合わせて問う多面的・多角的な出題が増加したため、受験生は解答に時間を要しただろう。

代々木ゼミナール

 おおむね前年通りの問題編成で図版がないことに加え、グラフも消え、原典資料を多用した文章読解力重視の傾向が継続された。心理学分野で新課程への移行を意識したような出題も見られた。

 「君たちはどう生きるか」の作者である吉野源三郎の著書からの引用があった。レイアウト面には目立った変化はないが、大局的な思想史や社会状況の理解が求められ、一人の人物について3つから4つの文を提示してそれぞれ正誤判定させるような問題が増えた。グラフは消え、心理学的な実験が引き続き出題され、移行後のカリキュラムも意識されていた。各大問のコンセプトも変わらず高校生がテーマの認識を深めるもので、全体を通して読解力が求められた。

政治・経済

東進

 図表を使用した問題は10問で、論理的思考力を問う姿勢が顕著。難易度はやや易。第1問は知識を問う問題がやや多めの中、資料読み取り問題と計算問題が含まれていた。第2問は多くが基本的な知識問題や資料読み取り問題であるが、文章量が多く解答に時間を要したと思われる。第3問は、国民所得や比較優位、需要曲線など経済分野の問題で占められているが、応用的な問題が多い。第4問は「政治・経済」で初登場の用語「人口オーナス」を除けば、問われていることは基本的である。全体を通して見ると、昨年と同様に問題で問われている内容は、単に知識を使うだけでは解答に至るのが難しいものが多い。さまざまな分野の知識を組み合わせて解答したり、論理的に思考したりして粘り強く解答にたどり着くことが求められている。

河合塾

 大問数、マーク数は昨年と同じ。思考力や読解力を試す問題も引き続き多くみられた。選択肢の多い問題が増えたが、資料の読み取りがやや容易になった。日ごろから図表などを参照しつつ、基本的事項について理解する学習で対応できる問題と言えよう。

データネット

 読解力や計算力が求められ、解答に時間を要する問題が目立った。難易は昨年並 。「倫理、政治・経済」との共通の設問が4大問中3大問で出題された。経済分野からの出題が増加し、国際政治分野・国際経済分野の出題が減少した。全大問において、文献・判決文・統計・模式図などの多様な資料を読み解く力や、計算が求められる問題が出題された。

代々木ゼミナール

 政治分野ではマックス・ヴェーバーなど古典的著作の出題のほか、宇宙条約違反となる事例を考える問題など、読解力・思考力を問う設問が多数を占めた。経済分野では、統計の設問が半減した代わりに模式的なデータが示される設問が増え、数量的な理解力・思考力を問う設問が増えた。

 単純な知識問題はわずかしかなく、設問の誘導に沿って考えていく理解力・思考力を問う設問が前年以上に多くなった。たとえば政治分野では教科書・資料集に載らない条文などが多く示された。経済分野では模式的なデータを用いた計算問題が目立ち、そうした数量的な理解力・思考力のために得点差が広がるだろう。共通テスト4年目に至り、思考力型の設問が増えてきている。

倫理、政治・経済

東進

 すべて「倫理」、「政治・経済」と共通の問題。設問数1つ減った。大問数は前年と同じ。難易度はやや易。大問数は昨年同様、7題構成となった。第1~4問が「倫理」の第1~4問からそれぞれ抜粋、第5~7問が「政治・経済」の第2・3・4問からそれぞれ抜粋されている。設問数は1つ減っているが、昨年同様に会話文や資料文を読ませる設問が多く、解答に時間がかかるため、全体としては時間的にも変わっていないと言っていい。試行調査でみられた正解の組合せが複数存在する連動型タイプの設問は本年もなかった。リード文が置かれた出題はなく、倫理分野ではすべての大問で会話文ベースで出題が行われた。

 第2問や第3問は、与えられた資料文の内容を十分に理解しないと答えられない問題が出るなど、分量の割に解答に時間がかかる大問になっている。一方第6問では、資料やグラフ、表などが多く出ているが、メモとして解答への誘導があるなど、オーソドックスな知識があれば極端に時間がかからない出題になっている。全体を通して見ると、問題のテーマは基本的なものが多いが、単に知識を使うだけでは解答を出すのは難しい出題だった。知識と知識を組み合わせて解答したり、論理的に思考して粘り強く解答にたどり着くことが強く求められている設問も存在しており、時間内に解答するためには、どちらのタイプの設問かの見極めと、文章の読解力が重要となっている。

河合塾

 昨年同様、全設問が「倫理」と「政治・経済」の科目からの流用で、配点・設問数はそれぞれ半分ずつ。知識・理解を試す設問とともに、資料の読解やモデル計算など、思考力・判断力が試される設問も多くみられる。やや難しい設問が昨年よりも若干目立つ。

データネット

 昨年に引き続き正確な知識と資料の読解が必要。具体例の考察も求められた。難易は昨年並。すべての設問が単独科目「倫理」および「政治・経済」と共通であった。昨年同様、倫理分野では、資料の読み取りと知識の組合せが問われ、政治・経済分野でも、文章資料や統計など多様な資料を読み取り、正確な知識を活用して考察する問題がみられた。

代々木ゼミナール

 倫理分野は引き続き読解力重視で、「君たちはどう生きるか」の吉野源三郎の著書からの引用もあった。政治分野では宇宙条約違反となる事例を考える問題など、経済分野では模式的なデータを用いた問題など、思考力型の設問が例年以上に多かった。

 第1~4問の倫理分野では6~8択の選択肢がやや増加。影響関係など大局的な思想史の理解も求められ、新課程移行を意識したような心理学の内容も見られた。政経分野の第5~7問では、単純な知識問題はわずかしかなく、設問の誘導に沿って考えていく理解力・思考力を問う設問が前年以上に多くなった。なかでも経済分野で模式的なデータを用いた計算問題など、数量的な理解力・思考力によって差が広がりそうな設問が目立った。

 今後、塾・予備校や新聞社は1日目の試験科目について本日中に詳細な分析や解答速報を掲載するとしている。また、各予備校のWebサイト上では情報が追加修正されることもある。

《川端珠紀》

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