【ICT好事例 札幌】小中高ICT活用授業のアイディアを多数紹介

 文部科学省主催のICT教育活用好事例 研究発表会が1月25日、北海道・東北地域の教育関係者を対象に札幌市男女共同参画センターで開催された。公開授業やポスターセッションでは、ICTを活用した授業のアイディアが多数紹介された。

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 文部科学省主催のICT教育活用好事例 研究発表会が1月25日、北海道・東北地域の教育関係者を対象に、札幌市男女共同参画センターで開催された。公開授業やポスターセッションでは、ICTを活用した授業のアイディアが多数紹介された。

 教育関係者によるICTの効果的な活用事例の共有を図るため、札幌、東京、大阪、福岡の全国4か所で研究発表会を開催。今回は、「『学びの自立』と『学ぶ喜び』を育むICT活用」と題し、公開授業とポスターセッション、パネルディスカッション、ICT機材・機材体験展示会が行われた。

 文部科学省生涯学習政策局参事官付参事官補佐の西條英吾氏は冒頭挨拶で「ICT教育活用の全国的な動きはバラバラ。機会均等であるべきだ。」と主張。全国的なICT活用事例として、佐賀県では、教員採用の2次試験に電子黒板の模擬授業を行っていることなどを挙げた。

 札幌市立幌西小学校5年生と谷坂俊典先生による公開授業では、まず、英語の雰囲気に慣れるためのウォーミングアップとして、電子黒板に表示された画像を英語で答えるゲームや小グループでのゲーム、英語の歌、フラッシュ型教材を用いた英単語の発音練習を行った。電子黒板を効果的に使用し、児童たちが体を動かしながら英語の表現に慣れ親しんでいる様子が印象的だった。

 授業のテーマである「夢の時間割をつくろう」では、授業を受けたいと思う有名人を時間割表に書き込み、「夢の時間割」を作成。小グループでお互いの時間割を発表し合い、教科名を当てる。さらに、グループから選ばれた代表者が登壇して発表する。発表の際、実物投影機を使用して時間割表をモニターに映し、作成した時間割をクラス全員で共有しながら話し合うというもの。

 授業の最後に学習を振り返り、児童は「みんなの前で発表するのは緊張するけどよい経験になった。」「英語の歌を歌ったのが楽しかった。」との感想が述べられた。教師が一方的に教えるのではなく、子どものそばに寄り添い、子どもと積極的にコミュニケーションを取りながら英語の授業が行われていた。

 その後、4人の教諭によるポスターセッションが行われた。札幌市立山の手南小学校では、「確かな学力を育成する日常授業の改善」をテーマに、効果的なICT活用を進めている。菅野牧子先生は、4年間のICT活用の取組みを振り返り、「ICTは道具の1つであり、大事なのは授業力の向上。」と語る。ICT活用に取組む前は、教材開発に時間をかけ、教材解釈がおそろかだったことや教師間で共有するという意識が薄かったことを挙げ、ICTは特別なものと考えていたという。「ICT活用をきっかけに日常の授業を改善するという意識が高まり、全教員が同じ問題意識で授業改善に取組むことで学校全体としての授業力向上に繋がった。」と振り返る。

 札幌市立平岡中学校は、「ICT環境の整備と有効活用するための授業実践」がテーマ。情報機器は準備に時間がかかり、一部の利用にとどまっていたという。尾崎廉先生は、「ICT環境の整備にパナソニックの支援制度を利用した。校長が率先して環境整備に取組んだのが大きい。」と語る。流氷を実際に見たことがない生徒が多くいたので、YouTubeで流氷の映像を見せてどんな音がするのか観察をするなど、経験不足を映像で補完することができるという。

 北海道札幌拓北高等学校では、わかりやすい授業の実現を目指し、ICT教材を活用して生徒参加型の授業を推進している。河村真一郎先生は、「数学の問題説明にアニメーションを活用することで正解を求めるまでの道のりについて理解が深められる。」という。高大連携の取組みなども行っている。

 北海道高等聾学校では、数学の授業でICTを活用して視覚的にわかりやすい教材提示をすることにより、生徒の興味関心を高めるための授業の工夫を行っている。新谷洋介先生は、時計の読み方やサイコロの目の数え方のアプリケーションを自ら作成し、生徒に体験させながら遊びも取り入れたりして理解を深めている。数の数え方や分け方は、黒板よりもパソコンのアプリを使ったほうが教えやすいという。

 ポスターセッションでは、発表者への質問が飛び交っており、ICTを活用したさまざまな取組みに影響を受けた先生方が多かったようだ。
《工藤めぐみ》

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