【ICT好事例 札幌】学びの自立を育むICT活用…北海道・東北5校の事例

 文部科学省主催のICT教育活用好事例 研究発表会が1月25日、北海道・東北地域の教育関係者を対象に札幌市男女共同参画センターで開催された。パネルディスカッションでは、5校のICT活用事例の紹介を通じ、授業のあり方が変わりつつある状況がうかがえた。

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パネルディスカッション
  • パネルディスカッション
  • 体育の研究授業での活用状況(幌西小学校)
  • すぐ使える周辺環境の工夫(幌西小学校)
  • 個別学習(旭川第一小学校)
  • 協働学習(旭川第一小学校)
  • 一斉学習(旭川第一小学校)
  • 反転授業についてのアンケート結果(東向陽台小学校)
  • 反転授業を普及させるためのハードル(東向陽台小学校)
 文部科学省主催のICT教育活用好事例 研究発表会が1月25日、北海道・東北地域の教育関係者を対象に札幌市男女共同参画センターで開催された。パネルディスカッションでは、5校のICT活用事例の紹介を通じ、授業のあり方が変わりつつある状況がうかがえた。

 教育関係者によるICTの効果的な活用事例の共有を図るため、札幌、東京、大阪、福岡の全国4か所で研究発表会を開催。今回は、「『学びの自立』と『学ぶ喜び』を育むICT活用」と題し、公開授業とポスターセッション、パネルディスカッション、ICT機材・機材体験展示会が行われた。

 パネルディスカッションでは、東北学院大学の稲垣忠准教授がコーディネータとなり、北海道・東北地域の5校から6人のパネリストが登壇。各学校のICT活用事例を紹介した。

 札幌市立幌西小学校では、平成21年度~23年度に全28教室に「電子黒板」「実物投影機」「PC」のICT環境を常設。しかし周辺機器の準備不足などから広く日常的に利用されないことがあったため、平成24年度は、より日常的な活用を目指し、すぐに使えるように配線を工夫し周辺機器の整備を実施。教師間で実践のアイディアを共有する研修も行ったという。「ICTを活用することにより、先生たちにゆとりが生まれ、子どもの反応を見ながら授業を進められるなど授業の質が向上した。」と新保元康校長は語る。また、「繰り返し行うことと問題の見せ方を工夫することが学びの自立に繋がる。」と谷坂俊典先生は付け加えた。

 北海道旭川市立旭川第一小学校は全校生徒14名の小規模校。石本周司先生が同校におけるICTを活用した「個別学習」「協働学習」「一斉学習」を紹介。市で契約している「ラインズeライブラリアドバンス」を利用し、早く課題の終わった児童は予習・復習をするといった、進捗度合いの異なる子どもたちの個別学習に役立てている。また、国語の授業では、小規模校間をスカイプで繋ぎ、意見文の2校合同発表会を行ったという。

 宮城県富谷町立東向陽台小学校では、説明型の講義映像をタブレット端末に収録し、児童はタブレット端末を自宅に持ち帰って講義映像を見ながら予習。教室では説明型の講義の代わりに応用課題を行い、対話型に学ぶ授業「反転授業(Flipped Classroom)」を実践している。アンケートの結果から、児童の94.1%と保護者87.9%が「タブレットでの家庭学習は授業に役立つ」と回答。家庭学習の時間は約1.5倍となり、学習に対する自己肯定感が向上したという。佐藤靖泰先生は「反転授業を普及させるためのハードルは、環境整備と保護者や学校の理解だ。」と語る。

 山形県米沢市立第四中学校では、「一人の百歩より百人の一歩」とあるように、ICTに詳しい教員だけがICT活用授業を行うのではなく、全校挙げてICT活用に取り組む。ICTを活用して画面に映したものは「教科書・書籍」と「写真」が多くを占め、ほとんどが大きく映して生徒に見せる使い方をしているという。金俊次校長は「ICTはあくまでも道具であって、ICTを使えばわかる授業ができるとは限らない。」と指摘する。「教師が生徒に何を何のために見せたいか」「何を発問するのか」を意識したうえで、しっかり授業の準備をしないとICTが使いこなせないという。

 宮城県水産高等学校は、教師だけでなく生徒もICTを活用している。生徒自身が「小学生向けの学習ソフトを開発した例」や「子どもの魚離れを食い止めるためのコンテンツを作成した例」「実習の内容を撮影・編集してDVDを作成した例」といった取組事例が挙げられた。杉山秀樹先生は「生徒が学んだ知識を活かして他人の役に立つことを実感し、キャリア形成に繋がった。」と話す。

 東北学院大学の稲垣忠准教授は、「ICTは道具であって目的ではない。ICTを活用することで、学習内容がわかり、自分の学びがわかることで学びの自立となる。さらに自分の学びたいことがわかることでキャリア教育に繋がる。」とまとめた。

 ややもするとICT導入自体が目的となってしまいがちだが、今回のパネルディスカッションを通じて、ICTを授業に取り込むことによって、授業のあり方が変わりつつある状況がうかがえた。

※お詫びと訂正:初出時、デジタルコンテンツ名に誤りがございました。修正してお詫び申し上げます。
《工藤めぐみ》

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