【NEE2015】21世紀に対応する「高大接続」改革…鈴木寛氏

教育・受験 受験

東京大学・慶應義塾大学教授 文部科学大臣補佐官 鈴木寛氏
  • 東京大学・慶應義塾大学教授 文部科学大臣補佐官 鈴木寛氏
  • 高大接続改革が目指す方向性
  • 高校でどのような能力が養われていないのか
  • 日本学術会議からの提言
 6月6日まで東京ファッションビルタウンで開催されている「New Education Expo 2015(NEE)」で、東京大学・慶應義塾大学教授 文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏は特別講演「教育イノベーション~入試改革から始める日本再生~」を行った。講演はおもに高等教育と大学入試の関係について触れられ、21世紀の情報社会に対応した教育と入試の在り方が説かれた。

 講演のテーマは「高大接続」。鈴木氏は日本教育の在り方の変遷を振り返ることから始め、情報社会に対応するこれからの教育や、国際的に見た日本の大学入試に関する考察を行った。同氏によれば、日本が得意としてきた「暗記」「反復」の教育法は大量生産が求められた20世紀式で、IT技術の登場で大きな変容を迎えた21世紀では「主体性」「協働性」を伴う創造性の豊かな人材の育成が必要だという。

 「高大接続」改革が目指すものは、「脱・丸暗記」「脱マークシート型試験」、「深い思考力・表現力・判断力を問う出題・論述式の増加」、「AO・推薦入試の活用で高校時代の活動を評価」すること。2014年に文科省中央教育審議会が大学入試の一体的改革を提言したことは記憶に新しいが、「高大接続」改革を実現し、新しい時代に対応した人材を育むためには大学入学者選抜(センター試験)の廃止は意義があるものであるようだ。

 同氏によると、丸暗記を避け深い思考力や判断力を問うためには、知識の暗記や繰り返しを助長するマークシート方式ではなく、論述問題を取り入れた「大学入学希望者学力評価テスト」の導入が望ましい。

 また、新しい時代を生きる人材に必要な主体性、多様性、協働性を評価する指標として、高校時代の活動を評価するためAO入試・推薦入試のさらなる活用も提案された。講演の中では東大、京大などの国公立大学と、早稲田大、慶應大のAO・推薦入試実績があげられ、大学は今後学力だけではなく、研究力や他者をリードする力を身につけた人材を評価できる仕組みを取り入れる必要があることが説かれた。

 しかし、大学入試改革にはさまざまな課題も残されている。ひとつは、受験生が論述式の入試を敬遠しがちであることだ。これにより、受験者数が減少した大学は大幅な収入減が見込まれ、経営に影響が及ぶ。また、採点に関わる人件費の捻出も経済的な課題になり得る。もうひとつは、論述問題の評価基準が不明瞭であることだ。自由な論述は採点の評価基準を設けにくい。

 課題も多く残る「高大接続」改革だが、鈴木氏はこの改革により生徒たちが「書を読み、友や師と語り、仲間と何かを為す」高校・大学時代が過ごせたらと、改革の成功と国内からの理解に期待を寄せ、特別講演を締めくくった。大学入試の一体的な改革の実現には、大学や入試の組織的改革はもちろん、学生の志の向上も必要であると感じた90分であった。
《佐藤亜希》

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