発育阻害にある子ども、世界で1億5,900万人

 ユニセフ(国連児童基金)、WHO(世界保健機関)、世界銀行は9月22日に、発育阻害や低体重、子どもの栄養不良に関する最新の推定値を発表した。それによると、2014年時点で1億5,900万人の子どもたちが発育阻害にあることがわかった。

生活・健康 未就学児
発育測定を受ける子ども(パキスタン)
  • 発育測定を受ける子ども(パキスタン)
  • 栄養センターで栄養状態の検査を受ける子ども(チャド)
  • 1990年と2014年の比較・発育阻害
  • 1990年と2014年の比較・低体重
  • 1990年と2014年の比較・過体重
  • 報告書
 ユニセフ(国連児童基金)、WHO(世界保健機関)、世界銀行は9月22日に、発育阻害や低体重、子どもの栄養不良に関する最新の推定値を発表した。それによると、2014年時点で1億5,900万人の子どもたちが発育阻害にあることがわかった。

 調査は、最近発表された「2015年グローバル栄養報告書(2015 Global Nutrition Report)」で示していた子どもの栄養不良に関する数値を更新し、さらに57か国で実施した62の新しい調査の結果を含んだもの。

 発育阻害とは、乳幼児期の慢性的な栄養不良の兆候を示す指標で、栄養不足により身体的および認知的に十分成長できず、年齢相応に背丈が伸びていないことでわかる。発育阻害に陥る子どもの数は、1990年の2億5,500万人(39.6%)から2014年は1億5,900万人(23.8%)と世界的には減少傾向にあるが、アフリカでは1990年以降、その割合が23%も上昇し、アジアを中心に多くの子どもたちが発育阻害の影響を受けているという。特に低所得国では、5歳未満児人口のうち栄養阻害に陥っている子どもの割合が高く、その後の成長や発達において不利な立場に置かれているという。

 低体重は、子どもたちが年齢相応に体重が増加していない状態のことで、栄養不足や病気などをきっかけに、突然あるいは急性の栄養不足に陥り、死の危険にさらされる場合もあるという。世界にいる5歳未満の低体重児5,000万人のうち、68%がアジアの子どもたちだ。また、5歳未満の低体重児のうち約3分の1にあたる1,600万人は重度の低体重の状態にあるという。

 過体重は低体重とは逆に、背丈に比べ体重が重すぎる状態。消費する以上にカロリーを摂取するため、将来的に非伝染性の疾患のリスクが高くなるという。1990年は3,100万人(4.8%)だったが、2014年には4,100万人(6.1%)と世界的に増加傾向にある。2014年時点では過体重の子どものほぼ4分の3がアジアとアフリカに集中しており、もっとも増加しているのが低中所得国で、1990年以降でその数は2倍以上になっている。

 このような5歳未満児の栄養不良のおもな形態は、子どもや家族、地域社会や国の長期的かつ短期的な発展に対する脅威だという。報告書をダウンロードすると、詳細を見ることができる。
《外岡紘代》

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